表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ症異世界生存史  作者: GIN
仮冒険者編
73/120

コミュ症は初めて仮冒険者として、仕事をこなす。②

「やっと……着いたー!」


 カンナが背伸びをしながら、そう叫んだ。

 

 デイングの町から南東方向へ歩き進んだ所にある草原。

 俺たちは依頼をこなすため、そこに数分間かけて到着した。

 

 草原は一面緑で、自然の匂いがそこら中からしてくる。

 周辺にはモンスターどころか、生物すら見当たらず、この草原にいるのは俺たちだけのように思えてくる。

 綺麗な風景に見とれていると、アリウムが依頼内容の書かれた紙を取り出し、内容の確認を始めた。


 今回の依頼内容はモグニンをデイングの町の周辺から追い出す事。

 モグニンは前世の世界で言うモグラに似た見た目で、地中を移動するモンスターのようだ。

 基本的に群れで行動しているらしく、大勢で地中を移動するせいで、モグニンたちが通った場所には巨大な空洞が出来るため、地面が崩れやすくなってしまう。

 このまま町の周辺に放置しておくと、町の周辺の地面がボロボロになってしまうため、冒険者に依頼が来たそうだ。


 依頼主曰く、今回のモグニンの行動は異常らしい。

 基本的にモグニンは臆病な性格らしく、人が住んでいる所には近づくことがないモンスターらしいのだ。

 それなのにも関わらず、人がそれなりに住んでいる町の周辺を進んでいるのはおかしい。

 理由は分からないが、モグニンの行動が異常という事で、注意して依頼に当たってほしいとのことだ。


「……よし、依頼内容も確認し終わった事だし、やるか!」


「あ、ちょっと待って!これからしばらくの間、私たちは一緒に戦う訳でしょ。今のうちに、フォーメーションを決めておくのはどうかな?」


「フォーメーション?」


「うん。誰が前線で戦って、誰がアシストをするかとか。今後のためにも、今のうちに決めておいた方が良いかもなってさ」


 確かに、ユリの言う通りフォーメーションを決めるのは良いかもしれない。

 今のうちに決めておくことによって、戦闘中もうまく立ち回ることができ、上手く互いをフォローしあえるだろうしな。

 俺たちは少し話し合ったのち、誰がどこのポジションを決めた。


 最終的に決まったフォーメーションはこうだ。

 まず、接近戦しかできないアリウムとカンナは最前線で戦う。

 基本的に敵を引き付けながら、どんどん敵を倒してもらう。


 アリウムが倒しきれなかったり、アリウムを避けてきた敵を倒すのは俺の役割だ。

 敵を確実に抑えながら、確実に倒していく。

 

 そして、俺たちが倒しきれなかった敵の撃破と、全体のアシストを担うのがユリとグリシア。

 ユリは風を操り、遠距離でアシストしつつも、残った敵の撃破をしてもらい、グリシアには弓で全体のアシストに重点を置きながら、残った敵を撃破してもらう。


 それぞれの得意分野を生かした、中々に良いフォーメーションになっている。

 これなら、モンスターとも対等に戦えるような気がしてきた。


 俺たちは話を終えると、それぞれの配置に着き、戦闘の準備を整えたのち、モグニンを呼び寄せる準備に入る。

 なんでも、モグニンは基本的に地中にいるため、モグニンを呼び寄せるには、地面に強い衝撃を送るのが一番良いらしい。

 驚いたモグニンは状況を確認するために、群れ全体で地上に出てくるのだとか。

 

 カンナは全員の準備が完了したのを確認し、拳に力を溜め始める。

 いつになく真剣な顔をしているカンナは、カンナを覆う全てのオーラが拳に集まると、全力で地面に拳をぶつけた。

 その衝撃の強さで、周囲を地震と間違える程の揺れが襲った。

 

 そして、数秒後。

 奇妙な音を立てながら、地面から十数体のモグラの様な何かが地上へ現れた。

 手は鋭く銀色で、目つきは細く、尻尾は二本に分かれている。

 間違いない。あれはモグニンだ。


 モグニンは一度周囲を見渡すと、俺たちを視認し、睨むような顔をしてきた。

 それと同時に、奇声を発し、戦闘態勢へ入ってくるのが分かった。

 ユリたちは一度顔を見合わせ、頷くと、迎え撃つ態勢に入った。

 その様子を見た俺も、恐怖を抑え込み、戦闘態勢に入る。


 そして、数秒流れた所で、先頭のモグニンが動き始めた。

 奇声を発しながら、一直線にアリウムへと駆け出したのだ。


「来るぞ!気を引き締めていくぞ!」


 そう叫びながら、アリウムはカエデを使い、モグニンに応戦する。

 モグニンは自慢の鋭い手を尖らせ、アリウムの腹部目掛けて一撃を仕掛けた。


 が、カエデが大剣に変剣していたことにより、アリウムのリーチが長く、モグニンの一撃がアリウムへ届くよりも早く、カエデの剣先がモグニンへ直撃し、モグニンはいとも簡単に斬り飛ばされた。

 それを見た他のモグニンは、奇声を発しながら俺たちの方へと駆け出した。


 俺は影で形作ったシャドウハンマーを片手に、モグニンの動きを観察する。

 そして、アリウムとカンナを避け、突進してくるモグニンへ狙いを定め、走り出す。

 モグニンは当然俺の動きに気づき、鋭い手を構えながら、地面を蹴り、俺へ飛び掛かった。

 その動きはそれなりに速く、滑らかな動きだ。

 

 しかし、俺もそれなりに戦いを積み、練習を積み重ねてきた。

 もっと速く、滑らかな動きを何度も見てきた。

 この程度なら、今の俺なら躱せる。


 モグニンの攻撃を慣れた動きで上手く躱し、構えたシャドウハンマーをモグニンへとぶつける。

 攻撃直後だったモグニンは自らの身を守る事すら出来ず、鈍い音を立てながらハンマーはモグニンへ直撃した。

 モグニンはそのまま殴り飛ばされ、一切動かなくなった。

 呼吸をしている所を見ると、気絶しているだけのようだ。


 モグニンが生きていることを確認し、安心していると別のモグニンが攻撃を仕掛けてきた。

 モグニンは手の平を合わせ、両手を前に出すと、金属音を出しながら、両手の先に銀色の光が集まり始めた。

 初めて見る謎の光に見とれていると、光は野球ボールほどの大きさに変化したところで動きを止めた。

 すると、銀色の光はより一層明るく輝き、ビームとなって俺へと放たれた。

 

 突然の放出に動揺し、避けれない事を判断すると、俺はすぐさま振り返り、ビームがローブに当たるよう姿勢を変える。

 姿勢を変え終えると同時に、ビームはローブへ直撃した。

 しかし、ローブには穴は開かず、それどころか汚れ一つついていない。


 ぶっつけ本番だったが、成功してよかった。

 ローブマント。特殊攻撃に強いと言っていたが、カッコいいビームを喰らって、傷一つすら付かないとは。

 流石としか言いようがない。


 そんなことを思いながらも、モグニンを更に気絶させ、他のモグニンの相手をする。

 シャドウハンマーとローブマントを上手く利用し、更に数体のモグニンを倒したところで、群れの一番後ろにいたモグニンが、地面を掘り、この場から去っていった。

 それを見た他のモグニンも少しずつ逃げていき、最終的に全てのモグニンがこの場を後にした。


 一度逃げたモグニンはそこに戻ることはなく、より遠い場所に生息地を移すらしい。

 つまり、俺たちはモグニンを町の周辺から追い払うことに成功したという訳だ。

 戦いを終えたカンナは力を解き、その場に倒れこんだ。


「はーーー……疲れったー!うちはもう限界ー!」


「あー、俺も限界だ!数多すぎだろ!」


「ホントにね!……けど、勝ったね!」


「ああ、勝った……。そうだよ、俺たちは依頼を成功させたんだよ。……冒険者として、依頼を成功させたんだよ!」

 

 カンナとアリウムは依頼達成が嬉しいのか、楽しそうに騒いでいる。

 その様子を見ている俺も何とも言えない気持ちになりながらも、依頼を達成した嬉しさで、少しに焼けてしまう。

 俺たちは初めての依頼を、完璧に達成したのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ