なんやかんや誰にでも同じように接する奴が、一番いい奴なのかもしれない。①
学校の入り口から数分進んだ所で、ユリは急に足を止めた。
そして、何やら人が集まっている所行き、大きな声で尋ね始めた。
「すみません、試験受付ってまだできますか?」
「志望者の方ですね。受付はまだ可能です。試験に申し込みいたしますか?」
「はい、お願いします!」
そう言うと、受付係のような人にユリが名前や出身地などを話し始めた。
一体何をやっているんだろうかと思いながらその様子を見ていると、隣に座っていたもう一人の受付係が話しかけてくる。
「あの、あなたも志望者ですか?」
「え……あ、えっとですね……俺はちがくて…………」
「あ、彼も志望者なので、急いで受付をしてあげてください!」
俺の言葉を遮り、ユリが俺が志望者だと言い放った。
どうやらユリは時間もないし、急いだほうが良いと思い、俺が言いづらそうにしているのを見て、手伝ってくれたんだろう。
彼女なりの優しさだろうが、その小さな親切大きなお世話だ。
本当の事を言っていなかった俺が100%悪いが、勝手に話を進めないでほしかった。
普通なら今から本当は志望者じゃないんです!とか言えるかもしれないが、俺にはそれが難しい。
さて、どうしようか。
「でしたら、名前、出身地を教えてください。それと、通行証明書の提示をお願いいたします。」
「えっと……名前は光輝で…………出身地は日本……です。通行証明書は……その、なくて……これならあるんですけど……」
そう言って、門番からもらった証明書を受付係に渡した。
受付係はそれをじっくり見ると、証明書と一緒に一枚のカードを渡してきた。
「コウキさんですね、通行証確認いたしました。今渡したカードが試験票となりますので、なくさずお持ちください。それでは、コウキさんの合格を影ながら応援しています」
「え、これでいいんですか?」
「はい、これで受付は完了ですので、どうぞ試験準備会場へ」
これで完了って、受付簡単すぎないか?
まだ名前と出身地を言っただけだ。これ本当に学校に入るための試験なのか、俺の考え違いで、もっと別の試験なんじゃないだろうか。
学校の試験なら、これだけで受けれるわけないだろうしな。
「コウキくん、時間もあるし、早く入ろうよ!急いで急いで!」
そんなことを言いながら、ユリは急ぎ足で準備会場へと向かって行く。
どんな試験をやるのかも、何のための試験かも全く分からない状態だが、その場の流れに抗えず、結局俺はユリについて行く。
準備会場は巨大な庭のようになっていて、真ん中に大きな噴水があり、端には公園にありそうな木製のベンチが置かれてある。
会場はすでに人であふれかえっており、その人たちの話声で賑わっていた。
「いやー、間に合ってよかったね!それじゃあ、私は友達と約束してるから、ここでお別れだね。お互いに試験頑張ろうね!受かったら学園でも仲良くしようね!」
それだけ言い残して、ユリはどこかへ走っていってしまった。
試験の内容も、目的も分からない俺を一人残して。
……どうしよう、ここまで俺を連れてきたユリが、どこかへ行ってしまった。
これからどうしろと言うんだ。
確かにこんな状況になったのは、何も言わなかった俺が悪いけど、仕方がないじゃん。
コミュ症の俺には、あの状況で否定することは出来ない。
まだ異世界に来て、数十分しか立ってないんだし、そんなすぐに人変われないのだから、うん、仕方がない。
しかし、このまま会場のど真ん中で一人、突っ立ってるのはいろいろと精神的にきつい。
そう思い、開いているベンチを探し、ほどよく周りに人がおらず、一番隅っこのベンチを見つけると、そこに向かって歩き始めた。
「……はあ、やっと一息つける」
街についてからいろいろありすぎて疲れたな。
なんやかんや言って、良い人そうな人だったな、ユリ。
めちゃくちゃ可愛くて、スタイルもよくて、優しくて、手が柔らかくて……。
まじで惚れてしまうかと思ったわ。
少し、というか凄い上手く話せなかったけど、美少女と全然話したこともない俺からしたら、よくやった方ではあるよな。
だけど出来る事なら、もっとちゃんと話したかったな。もし試験に合格したら、また話せるかなー。
と、そんなことを思ってる時。
急に見知らぬ男が、座っている俺に話しかけてきた。
「そこの人、隣座ってもいいかな?」
「……え、あ…………どぞ」
「ありがとさん」
そう言って、その男は隣に座ってきた。
空いているベンチは他にあるのに、何でわざわざここに座ったんだろうか。
というか、この男は誰だ?
この男は一体…?
良ければ評価してくれると、嬉しすぎて、小説を書くスピードを倍にします!そして、感謝の言葉を十分間言い続けます!




