ギャルはいじめっ子に言い放つ。①
「コーーーキーーー!勝ったよーー!」
そう叫びながら、マリーは俺へと飛びついてきた。
「コーキ、見てた!?やばくね?あたしリアトリスに勝ったよ!凄くね?やばくね?」
「あ、ああ、見てたよ。す、凄かったね。本当に……本当に凄かった。…………あ、そうだ。少し休んだし、旗を持っていこうよ。他のみんなが勝ったのか気になるしさ」
「あ、そだね!それじゃあ、いこっか!」
そう話し、俺たちは刺さっている旗を取り出した。
旗は鉄で出来ていて、それなりに長いせいで重い。
ボロボロの俺たちが一人で持つには厳しかったため、
二人で両端を持ち、ゆっくりと持っていくことにした。
そして、数分後。
ボロボロの体を動かし、何とか旗を持って行っていると、ついに俺たちの陣地が見えてきた。
そこには数人の人影と、旗の様な物が見える。
俺とマリーは一度顔を見合わせると、出来る限りの速さで走り出した。
「……あ、みんなみて、コウキくんたちだよ!」
「みんなーーーーーー!もしかして……もしかして……みんなも勝ったの?」
「おう!勝って来たぜ!強かったけど、俺たちの敵じゃなかったな!」
「さすが!……けど、完全勝利!みんな凄すぎるっしょ!あたしも凄い!」
ユリたちが負ける姿は想像できなかったが、まさか全勝できるとは。
相手も強そうだったし、もしかしたら一組くらい負けるかもしれないと思っていた。
いや、心のどこかでは、全滅する可能性も考えていた。
それが、まさかまさかの完全勝利。
みんなボロボロの所を見るに、相当厳しい戦いだったのだろう。
ピンチに陥ることもあったし、絶望的状況になったかもしれない。
それでも諦めずに立ち向かい、勝利を掴んだのだろう。
俺が想像している以上に、みんなは強かったようだ。
そして、俺もだ。
俺自身が思っている以上に、俺は強くなっているのかもしれないな。
少し、少しだけだが、俺自身に自信が持てたような気がする。
そう思っていると、会場に団体戦主催者の大声が響いた。
「すべての旗が移動したため、勝負を終了します!今回の黄色チーム対赤チームは……黄色チームの完全勝利です!みなさん大きな拍手をお願いします!」
そう言うと、観客の拍手で、会場は包まれた。
必死過ぎて、ほとんど観客の事を考えていなかったが、
こんなに多くの観客が俺たちの戦いを見ていたのか。
なんというか恥ずかしいし、ムズムズする。
少し自信を持てても、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
カンナやマリーは楽しそうに手を振っているが、
今の俺じゃああ離れないな。
でも、いつかはあそこまで自信を持てるようになりたいな。
「あ、そうだ!無事かったことだし、皆行くでしょ?」
「え、いくって?」
「コウキくん覚えてないの?お姉さんが言ってたでしょ。祝杯はここで頼むって!だから行こうよ!祝杯しに、お姉さんの酒場へ!」
「いや、ホンマにごめん!完全に足を引っ張ってもうた!」
ゲッケはそう言いながら、頭を深く下げた。
団体戦を終えた俺たちは、少し楽しく話したのち、
祝杯をするために、お姉さんの酒場へと帰って来た。
今は祝杯の最中というわけだ。
何でも、敵と接敵すると同時に、ゲッケは一撃で気絶してしまったらしい。
目が覚めて、結果を伝えてからゲッケはずっと謝っている。
そこまで酷いやられ方をしたのだろうか。
個人的には、今回の事に関しては終わりよければ全てよしだと思うけどな。
「だから気にすんなって!さすがにあの一撃は俺らでも避けられないし、良いように考えたら、ゲッケが攻撃に当たったおかげで、俺たちは助かったんだぞ。そう考えると、ゲッケのお陰で勝てたといっても過言じゃないだろ!」
「そか?……まあ、そか!お前がそう言うならそう思っとくで!」
「はいはい!話も終わったみたいだし、カラアゲとジュース持ってきたよ!みんな団体戦勝利おめでとう!たくさん食べな!」
『いただきます!』
俺たちはそう話し、ご飯に口をつける。
さすがはお姉さんの料理だ。
マリーの料理の様に体力が回復したりするわけではないが、
美味しくて、心の底から温かい気持ちになってくる。
これが生呪の力じゃないって言うんだから凄い。
そう言えば、お姉さんはどんな生呪の力を持っているんだろうか。
何やかんや言って、それなりに長い間一緒にいるのに、一度も見たことがない。
後でそれとなく聞いてみようかな。
「それにしても、凄かったよ、コーキの戦い!最後なんか、でっかいハンマー作って、一撃だったかんね!」
「へー、コウキくん大活躍だったんだね!」
「え、いや、そんなことないよ」
真正面から凄いって言われると、流石に照れる。
しかし、まあ、嬉しいな。
「凄い戦いなら、うちのユリも負けてないよ!凄い頭使って、無敵かもしれない力を持つモヒカンを、必殺技で倒したからね!」
「それなら、俺んところのグリシアも凄いぞ!凄い火力の雷で、二人を一撃で倒したからな!」
「やめてよ、アリウム。恥ずかしい」
どうやら、みんな色々あったようだが、新しく開発した技なんかを使って、
上手く立ち回り、敵チームのメンバーを倒していたようだ。
みんな強力な技を開発したらしく、切り札になるものや、常時使える物など様々だ。
どれもこれも、一風変わった技ばかりで、本人じゃなきゃ思いつかないような物ばかり。
それでいて、どんな敵にも通用しそうな技ばかりだ。
団体戦での出来事や新しく開発した技の他にも、最近おすすめのスイーツなんかを話している時だった。
突然、マリーが思い出したかのように話を始めた。
「あ、ごめん。あたしほんの少しだけ、行かないといけない所があるんだった。ちょっとだけ行ってくる。すぐ戻るからね!」
そう言うと、マリーは急ぎ足で酒場を出て行った。
あの急ぎようだ。何か大切なようでもあったのだろうか。
まあ、すぐ戻るらしいし、話しながら待ってるか。
「……あ、マリーのやつバック忘れてってるやんけ。しゃーないな、今なら間に合うやろし、届けに行くか」
「あ、それなら俺行こうか?……その、ゲッケはさっきまで気絶してたし、一番怪我がない、俺が行くよ」
「お、そか?それじゃ、頼むわ」
俺はマリーのバックを片手に持ち、酒場の外へと小走りで向かう。
外へ出ると、ギリギリで裏路地へと入って行くマリーの姿が見えた。
俺は見失わないように、走って裏路地へと向かって行く。
そして、裏路地に入る直前。
裏路地でマリーが話しているのを見て、急いで姿を隠した。
マリーと一緒に話しているのは……リアトリス?
一体どうしてこの二人が話をしてるんだ?




