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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
55/120

ギャルはいじめっ子に言い放つ。①

「コーーーキーーー!勝ったよーー!」


 そう叫びながら、マリーは俺へと飛びついてきた。


「コーキ、見てた!?やばくね?あたしリアトリスに勝ったよ!凄くね?やばくね?」


「あ、ああ、見てたよ。す、凄かったね。本当に……本当に凄かった。…………あ、そうだ。少し休んだし、旗を持っていこうよ。他のみんなが勝ったのか気になるしさ」


「あ、そだね!それじゃあ、いこっか!」


 そう話し、俺たちは刺さっている旗を取り出した。

 旗は鉄で出来ていて、それなりに長いせいで重い。

 ボロボロの俺たちが一人で持つには厳しかったため、

 二人で両端を持ち、ゆっくりと持っていくことにした。


 そして、数分後。

 ボロボロの体を動かし、何とか旗を持って行っていると、ついに俺たちの陣地が見えてきた。

 そこには数人の人影と、旗の様な物が見える。

 俺とマリーは一度顔を見合わせると、出来る限りの速さで走り出した。


「……あ、みんなみて、コウキくんたちだよ!」


「みんなーーーーーー!もしかして……もしかして……みんなも勝ったの?」


「おう!勝って来たぜ!強かったけど、俺たちの敵じゃなかったな!」


「さすが!……けど、完全勝利!みんな凄すぎるっしょ!あたしも凄い!」


 ユリたちが負ける姿は想像できなかったが、まさか全勝できるとは。

 相手も強そうだったし、もしかしたら一組くらい負けるかもしれないと思っていた。

 いや、心のどこかでは、全滅する可能性も考えていた。

 それが、まさかまさかの完全勝利。


 みんなボロボロの所を見るに、相当厳しい戦いだったのだろう。

 ピンチに陥ることもあったし、絶望的状況になったかもしれない。

 それでも諦めずに立ち向かい、勝利を掴んだのだろう。

 俺が想像している以上に、みんなは強かったようだ。


 そして、俺もだ。

 俺自身が思っている以上に、俺は強くなっているのかもしれないな。

 少し、少しだけだが、俺自身に自信が持てたような気がする。


 そう思っていると、会場に団体戦主催者の大声が響いた。


「すべての旗が移動したため、勝負を終了します!今回の黄色チーム対赤チームは……黄色チームの完全勝利です!みなさん大きな拍手をお願いします!」


 そう言うと、観客の拍手で、会場は包まれた。


 必死過ぎて、ほとんど観客の事を考えていなかったが、

 こんなに多くの観客が俺たちの戦いを見ていたのか。

 なんというか恥ずかしいし、ムズムズする。 

 少し自信を持てても、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。 


 カンナやマリーは楽しそうに手を振っているが、

 今の俺じゃああ離れないな。

 でも、いつかはあそこまで自信を持てるようになりたいな。


「あ、そうだ!無事かったことだし、皆行くでしょ?」


「え、いくって?」


「コウキくん覚えてないの?お姉さんが言ってたでしょ。祝杯はここで頼むって!だから行こうよ!祝杯しに、お姉さんの酒場へ!」




「いや、ホンマにごめん!完全に足を引っ張ってもうた!」


 ゲッケはそう言いながら、頭を深く下げた。

 団体戦を終えた俺たちは、少し楽しく話したのち、

 祝杯をするために、お姉さんの酒場へと帰って来た。

 今は祝杯の最中というわけだ。 


 何でも、敵と接敵すると同時に、ゲッケは一撃で気絶してしまったらしい。

 目が覚めて、結果を伝えてからゲッケはずっと謝っている。

 そこまで酷いやられ方をしたのだろうか。

 個人的には、今回の事に関しては終わりよければ全てよしだと思うけどな。

 

「だから気にすんなって!さすがにあの一撃は俺らでも避けられないし、良いように考えたら、ゲッケが攻撃に当たったおかげで、俺たちは助かったんだぞ。そう考えると、ゲッケのお陰で勝てたといっても過言じゃないだろ!」


「そか?……まあ、そか!お前がそう言うならそう思っとくで!」


「はいはい!話も終わったみたいだし、カラアゲとジュース持ってきたよ!みんな団体戦勝利おめでとう!たくさん食べな!」


『いただきます!』


 俺たちはそう話し、ご飯に口をつける。

 さすがはお姉さんの料理だ。

 マリーの料理の様に体力が回復したりするわけではないが、

 美味しくて、心の底から温かい気持ちになってくる。

 これが生呪の力じゃないって言うんだから凄い。

 

 そう言えば、お姉さんはどんな生呪の力を持っているんだろうか。

 何やかんや言って、それなりに長い間一緒にいるのに、一度も見たことがない。

 後でそれとなく聞いてみようかな。


「それにしても、凄かったよ、コーキの戦い!最後なんか、でっかいハンマー作って、一撃だったかんね!」


「へー、コウキくん大活躍だったんだね!」


「え、いや、そんなことないよ」


 真正面から凄いって言われると、流石に照れる。

 しかし、まあ、嬉しいな。


「凄い戦いなら、うちのユリも負けてないよ!凄い頭使って、無敵かもしれない力を持つモヒカンを、必殺技で倒したからね!」


「それなら、俺んところのグリシアも凄いぞ!凄い火力の雷で、二人を一撃で倒したからな!」


「やめてよ、アリウム。恥ずかしい」


 どうやら、みんな色々あったようだが、新しく開発した技なんかを使って、

 上手く立ち回り、敵チームのメンバーを倒していたようだ。


 みんな強力な技を開発したらしく、切り札になるものや、常時使える物など様々だ。

 どれもこれも、一風変わった技ばかりで、本人じゃなきゃ思いつかないような物ばかり。

 それでいて、どんな敵にも通用しそうな技ばかりだ。 


 団体戦での出来事や新しく開発した技の他にも、最近おすすめのスイーツなんかを話している時だった。 

 突然、マリーが思い出したかのように話を始めた。


「あ、ごめん。あたしほんの少しだけ、行かないといけない所があるんだった。ちょっとだけ行ってくる。すぐ戻るからね!」


 そう言うと、マリーは急ぎ足で酒場を出て行った。

 あの急ぎようだ。何か大切なようでもあったのだろうか。

 まあ、すぐ戻るらしいし、話しながら待ってるか。


「……あ、マリーのやつバック忘れてってるやんけ。しゃーないな、今なら間に合うやろし、届けに行くか」


「あ、それなら俺行こうか?……その、ゲッケはさっきまで気絶してたし、一番怪我がない、俺が行くよ」


「お、そか?それじゃ、頼むわ」


 俺はマリーのバックを片手に持ち、酒場の外へと小走りで向かう。

 外へ出ると、ギリギリで裏路地へと入って行くマリーの姿が見えた。

 俺は見失わないように、走って裏路地へと向かって行く。


 そして、裏路地に入る直前。

 裏路地でマリーが話しているのを見て、急いで姿を隠した。


 マリーと一緒に話しているのは……リアトリス?

 一体どうしてこの二人が話をしてるんだ?

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