コミュ症とギャルが力を合わせれば、いじめっ子を倒すことが出来るのかもしれない。②
「良く分かんねえけど、坊主も潰して良いんだよなあああああ!」
そう言いながら、デルは全速力で俺へと向かってくる。
俺は落ち着きながら、貰った赤い玉を口に含む。
そして、舌を使いその玉を舐める。
瞬間。
心の奥底から力が湧き上がり、自信が湧き上がってきた。
俺はデルの攻撃を軽々とかわし、デルの腹部を全力で殴る。
その後、影で双剣を作り、デルを連続で斬りつける。
デルは俺の動きに動揺しながら、
地面を強く蹴り、元いた場所へと戻っていった。
「……おい、坊主ううううう。なんだ今の動きいいいいい!明らかにさっきとは動きが違うじゃねえかあああああ!さっき何を食べやがったあああああ!」
「さっきの飴の事か。さっきの飴はマリーさんの努力の結晶だよ」
そう、あれは数日前。
リアトリスたちと初めて会った日の事。
俺とマリーはマリーの家で、実験に取り掛かろうとしていた。
「とりま、言われた通りにいろんな食材持ってきたけどどーすんの?」
「マリーさんさっき、凄い料理を作れるって言ってたよね。……その、試しに、力が上がる効果の料理を作ってみてくれないかな」
「力が上がるね。りょーかい。とりま野菜炒めでも作るよ」
そう言うと、マリーは慣れた手つきで料理を始めた。
素早い包丁捌きで具材を切り、豪快に野菜を炒めていく。
マリーの力もあってか、野菜炒めは数分で完成した。
やっぱりマリーの料理は美味しそうだ。
よだれが止まらない。
そう思いながら、野菜炒めに口をつける。
すると、体の底から力があふれ出してきた。
今なら何でも出来ると思えてくるほどに、自信も湧き出てくる。
本当に凄い効果だ。
もしこれを戦闘中に使えたら、凄く有利に戦闘を進められるはずだ。
「ど?おいし?」
「あ、うん。凄く美味しいです。……それでなんだけど、この凄い効果を……飴玉に込めてみるのはどうかな?もし、舐めてるのも食べてるって判定になるなら、舐めていても、効果が発現すると思うんだ。そうなったら、戦闘にうまく生かせるんじゃないかなって……」
「んー……。そもそもとしてさ、アメダマって何?」
「え……あ、そっか…………」
勝手に前世の食べ物全てがあるものだと思っていたが、違うのか。
この世界にしかない食べ物があるように、前世の世界にしかない食べ物もあるのか。
これは困ったな。
飴玉を使って、マリーの力を戦闘に生かせないかと思ったんだが……。
これじゃあ、試す事すら出来ないな。
どうするか……。
あ、もしかしたら、あの人なら知ってるかもしれない。
唐揚げを作れるあの人なら……。
「マリーさん。明日一日、俺に時間をくれないかな……?」
「いけど、急にどしたの?」
「……もしかしたら。マリーさんの力になれるかもしれないんだ」
それから、俺たちは少し話したのち、
俺はゆっくり酒場へと帰った。
そして、翌日。
俺たちはお姉さんに飴玉について聞くために、
酒場へと集まっていた。
「それで光輝にマリーちゃん。お願いってのは?」
「その、もしかしたらお姉さんなら知ってるかもしれないと思ったんです。……お姉さん。飴玉の作り方って知ってますか?」
「飴か。もちろん知ってるぞ。私の得意料理の一つだからな」
やっぱり知っていたか。
唐揚げを作っていたし、もしかしたらと思ったが、ビンゴだったようだ。
もしかしたら飴玉はほとんどの人が知らない料理なのかもしれないな。
お姉さんが知っていてよかった。
「それで、俺たちに飴の作り方を教えてもらいたいんです!」
「いいぞ。それじゃあ、二人ともついて来い」
あっさり承認すると、お姉さんは立ち上がり、キッチンへと歩いて行った。
俺は良く分かっていないマリーを連れ、キッチンへと入って行く。
お姉さんは棚の中から様々な材料を取り出すと、
適当なボールを取り出し、素早く説明しながら、飴を作り始めた。
あまりにも早い説明だったのと、料理のことが分かっていなかったせいで、俺は全く理解できなかったが、料理が得意なマリーは理解できていたようだ。
お姉さんの話を楽しそうに、そして真剣に聞いて勉強していた。
「……と、こんな感じで出来上がりかな。二人とも食べてみな。あ、噛まずに舐める感じでね」
お姉さんに言われた通りに、飴だまを口に含むと、
甘いイチゴの味が、口中に広がった。
しばらく食べていなかったイチゴ飴。
美味しすぎて、ほっぺが落ちそうだ。
「な、なにこれちょーうまい!舐めてるだけなのに口の中に味が広がって、甘くてやばい!とにかくちょーうまい!サイコー過ぎるでしょ!」
「喜んでもらえて良かったよ!そう言えば、飴の作り方を覚えて、どうするつもりなの?」
「あ、それでなんですけど、マリーさんの料理に付けられる凄い力を、飴に付けて作ってほしいんです。もし飴を舐めている状態で、効果が発動したなら、戦闘に生かせるんじゃないかなって」
「……なるほど!確かにおもしろそう!よし、ちょっと作ってみる!」
そう言うと、マリーはお姉さんからキッチンを借り、料理に取り掛かった。
一度見ただけで、大体の料理法を覚えたらしい。
マリーはほとんどお姉さんに聞かずに、飴玉を作り終えた。
マリーが作った飴玉は、お姉さんと比べて丸くなく、少しいびつな形をしている。
それに加えて、少し変な香りもしている。
「いやー、アメ?って作るのむずすぎ!料理の力があるあたしでも、全然上手くできなかったよー」
「い、いや、一回見ただけで、そこまで出来るのは凄いと思うよ」
そう話しながら、俺たちは飴を口にする。
すると、昨日野菜炒めを食べた時の様に、体の底から力があふれ出してきた。
それに加え、今なら何でも出来ると思えてくるほどの、自信も湧き出てきた。
しかも、ただ舐めているだけなのにもかかわらず、その効果が消える様子は一切ない。
どうやら、舐めているだけでも、効果は出るようだ。
これなら、上手く戦闘に生かせるはずだ。
ただ……。
「……まずくね。甘くて全然だめだー。力は出てるっぽいし、実験は成功だけど、味がまずいんじゃなー」
「……仕方がないな。よし、マリーちゃん。これから団体戦まで、毎日私の所へ来なさい!私が飴の作り方を教え込んであげる!」
「え、まじで!?お姉さん良いんですか!?」
「困ってるみたいだしね。何より、光輝の頼みなんだから、手伝ってあげなきゃね」
『あ、ありがとうございます!』
俺とマリーは同時にそう答えた。
それから、お姉さんとマリーの特訓が始まった。
その特訓には味見役として、俺も混ざることとなった。
最初はマリーが作った物とは思えないほどに味が悪く、
ハッキリ言って食べれないほど酷いものだった。
形も悪く、到底飴玉には見えない。
しかし、特訓を重ねていくにつれ、少しずつ味が良くなり、形も丸に近づいていった。
そして、団体戦の二日前。
いつものように、マリーが作った飴を口に放り込む。
「ど、どーかな?おいしかったりする?」
「う……う……美味いです!お姉さんが作った物と同じくらい美味いです!」
「え、まじ!?どれどれ……って、ホントだ!めっちゃうまい!やったよ、コーキにお姉さん!やっとうまくいった!」
ついに完成した。
甘くて、美味しくて、効果もしっかり出ている。
ここまで頑張ったかいがあったようだ。
味見していただけなのに、何故か俺が泣きそうになってくる。
「いやー二人とも良かったな!それで、名前はどうするんだ?一応マリーちゃんの必殺技みたいなもんだし、名前は必要だろ?」
「んーそれじゃあ、コーキが決めてよ!そもそもとして、思いついたのはコーキなわけだしさ!」
「え、俺が?そ、そうだな……確か飴はキャンディー。それでパワーアップするから……。あ、そうだ。シンプルだけど、良いのが思いつきました。その名は……」
「……その名はパワーアップキャンディー。マリーさんが必死に特訓した成果だ!俺たちの奥の手であり、最終手段だ!」
「パワーアップキャンディー?おもしれええええええ!奥の手の力見せてみやがれえええええ!」
「もちろん、そのつもりだよ!」
そう答え、俺は影を変化させる。
壊れかかっていた鎧を直し、他の影でいつものシャドウハンマーを作り上げる。
作ったハンマーを両手で持ち、デルへと構える。
この戦い長いって?
俺もそう思う。次回、この戦い完結します。




