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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
52/120

コミュ症とギャルが力を合わせれば、いじめっ子を倒すことが出来るのかもしれない。①

 体中が熱く、痛い。

 まるで、炎で焼かれているかのような熱さを感じ、

 体を押しつぶされているかのような痛みが体を襲っている。

 足に力が入らず、立つこともままならない。

 目がぼやけて、周りが良く見えない。吐き気もすごい。


 俺はボロボロの体を何とか動かしながら、顔を上げ、周りの様子を確認してみる。

 顔を上げた俺の目の前には、真っ赤に燃える地面が広がっていた。

 驚きながら隣を見ると、そこにはボロボロになったマリーが倒れこんでいた。

 怪我を負っているのか、気絶しているようだ。


 少し前の記憶があいまいだ。

 一体、何があってこんなことになったんだっけか。



 数分前。

 俺たちはリアトリスたちと対峙していた。

 

「それじゃあ、行くぜ坊主!」


 そう叫びながら、丸刈りの男は右腕を大きく上げ、俺へ殴り掛かかった。

 俺はそれを慣れた動きで避け、作っておいた影の剣で、カウンターを喰らわせようとする。

 が、丸刈りの男は地面を強く蹴り、その一撃を軽々と避けた。

 

 避けられたか。

 だが、攻撃を綺麗に避けれただけで、上々だ。

 分かりやすい大振りだったってのもあるだろうが、

 ここ数日間で鍛えた成果が出た。

 

「ほー、俺の一撃を躱すか―。坊主にしてはやるじゃねえか。……なあ、リアトリス。温存とかしないで、最初っから力使って良いよな?あの坊主を潰したくて、俺はもう我慢ならねえんだ!」


「えー、もうー?しょーがないなー。いーよ、デル。最初っから飛ばしちゃえー」


「おう!」


 そう答えると、デルと呼ばれた丸刈りの男は、大きく息を吸いながら両腕を上へと上げていく。

 両腕が頂点へと昇った所で、デルは大きく笑い、叫んだ。


「ミノロスタ!」


 瞬間、デルに大きな変化が起こり始めた。

 肌の色は黒く変色していき、少しずつ体が大きくなっていく。

 頭からは角の様な物が生えていき、数秒で人間とは思えないような姿へと変貌した。

 

 変貌した顔は、まるで牛の様な顔をしている。

 体半分は人間のようだが、半分は別の生物の一部に見える。

 

 あの牛と人間が合体したような見た目。

 前世の本で何度か目にしたことがある。

 あれは確か……。


「ミノタウロス!これが俺の力だぞおおおおお!」


 デルの声が、その場周辺に響き渡る。

 

 ミノタウロス。

 大きくて、怖くて、強そうだ。

 あんな化け物の攻撃を一撃でも喰らえば、ひとたまりもなさそうだな。


「どうだあああああ!俺の姿に、ビビッて声も出ねえかあああああ!」


「……確かに、凄い力だと思うよ。……でも、こっちも負けちゃいないさ。…………お、俺が身に着けた新技。見せてやるよ」


「ほうううううう!見せてみろおおおおお!」


 俺は話し終えると同時に、周辺の影に触れていく。

 大体の影に触れた所で立ち止まり、イメージする。

 ここ数日間で作り上げた、新たな武器を。

 俺の身を守り、俺の動きをサポートする、頑丈かつ身軽な武器を。


「……影」


 俺がそう呟くと、触れた全ての影が俺へと集まってくる。

 影は一気に俺の体中に広がっていき、それぞれの部位を作っていく。


 数日前、マリーのアドバイスを得て作った鎧。

 初めてにしては中々の出来だったが、それでも問題点はいくつもあった。

 俊敏性、防御力、転ぶと立ち上がれない。


 だが、この数日間で、ほぼすべての問題点を解決することが出来た。

 すべての問題点を解決した、新しい鎧。

 それこそが、俺の新たな武器。


「……どうだ、これが影で作った鎧。……その名は、シャドウメイルだ!」


「シャドウメイルううううう?」


 守りたい部分を多くの影で覆い、関節など動く上で邪魔な部分は皮一枚程度の影で覆った。

 関節部分の鎧をなくしたことにより、より動きやすくなっている。

 関節部分の影を他の部分に利用できたことにより、所々の防御力は上昇している。

 さらに、試行錯誤を繰り返すことにより、最もバランスの取れた鎧を生み出すことが出来た。


 今出来る最高の鎧。 

 これが俺の身に着けた、新技だ。


「……良く分かんねえが、俺の拳の前じゃ無力だぜえええええ!」


 そう言いながら、デルは俺の方へ突進してくる。

 それに対し、俺は腕を前に出し、足、腰、腕に力を籠める。

 

 デルの体が俺に衝突した瞬間。

 俺は簡単に吹き飛ばされ、数メートル先まで飛ばされてしまった。


「ほらなあああああ!一撃で倒れそうじゃ……あああああ?何でそんな平気な顔してんだあああああ!?」


「……これでも試行錯誤して作った鎧なんでな。そう簡単には攻略できないぞ」


 あまりの強さに吹き飛ばされてしまったが、体には大したダメージはない。

 それどころか、影で作った鎧にすら、傷一つついていない。

 これならいけるかもしれない。


 俺は使っていない影に触れ、巨大ハンマーを形作る。

 俺は巨大ハンマ―を握りしめ、デルの方をしっかりと向く。


 デルはいつの間に手に取ったのか、さっき俺目掛けて投げた斧を片手に持っていた。

 表情から察するに、あの斧を使っての戦闘には相当自信があるようだ。


 少しの間見合ったのち、俺とデルは同時に駆け出す。

 そして、斧とシャドウハンマーが甲高い音を上げ、ぶつかった。

 武器同士がぶつかった瞬間、武器を戻し、次の攻撃を仕掛ける。

 攻撃を仕掛け、ぶつかり、仕掛けを繰り返す。

 ただひたすらに勝つという思いだけ持ち、互いの武器を全力でぶつけあう。


「やるじゃねえか、坊主ううううう!」


「……そ、そっちこそ!」

 

「それじゃあ、これは耐えられるかなあああああ!」


 そう言うと、デルは斧を大きく振り上げ、

 俺目掛けて全力で振り下げた。

 何とか避けるが、その風圧により、俺は少しとばさっれてしまった。

 

 一体どんな力してるんだよ。

 こんなの、まともに喰らったらひとたまりもないぞ。


 ……だけど、しっかり戦えてる。

 今は互角だけど、少しずつデルの動きも読めてきた。

 この調子で頑張れば、もしかしたら勝てるかもしれない。


 そう思った直後だった。

 俺の真横へ、マリーが吹き飛ばされて来た。


「え、ま、マリーさん!大丈夫ですか?」


「なんとか……ごめん、コーキ。あたしリアトリスの事甘く見てたかも。あたしが思ってたいじょーに……強い」


「そりゃあそうでしょー。わたしはすっごく強いんだぞー」


 マリーの方を見てみると、マリーの周りには小さなナイフや、小石など様々なものが浮いていた。


 あれがリアトリスの生呪の力か。

 事前にマリーから聞いていたが、物を浮かせる事も出来るのか。


 あらゆるものの働く方向を操る力。

 想像以上にめんどくさそうな力だ。


「んー、もういいかなー。抵抗されるのめんどくさいしー。とりま適当にボロボロにしてから、あとは楽しもうかなー。デルー。例の合体技やろー」


「ああああああ?もうやるのかよおおおおお!もっと楽しみたかったのによおおおおお!……しょーがねえなあああああ!」


 デルはそう言うと、口を全開で開き、俺たちの方へと向けてきた。

 何をやってるかと思い見ていると、デルの口の中に、赤い光の様な物が集まりだした。

 

 直感でやばいと思ったが、その時にはもう遅い。

 デルの口から放たれた炎は普通じゃない勢いで広がり、

 俺たちを巻き込み、その周辺を包み込んだ。




 ……そうだ、そうだよ。

 あのデルから炎で、燃やされたんだ。

 

「ぐっ……」


 体を動かすと、途轍もない痛みが体全体を襲う。

 体中がやけどしているような感覚もする。

 いくらシャドウメイルが硬くても、それを貫通する熱には無力なのか。

 

 直前、マリーの前に出て、炎が直撃しないようにはしたが、大丈夫だろうか。

 一向に起きる気配はないし、マリーの状態が心配だ。


「あれー、あの一撃を喰らって、まだ動けるんだー」


「……リアトリスさん」


「わたしの名前知ってくれてたんだねー。んー、この一撃に耐えるなんてすごいねえー!何かご褒美でもあげたいけどー……。あ、そうだ!君は見逃してあげるよー」


 見逃してあげる?

 この状態で、一体何の話をしてるんだ?


「ほんとなら、君にも酷い事をする予定だったんだけどさー。ご褒美に、見逃してあげるー。あたしは元から、マリーだけが目的だからねー。デルにはわたしから言っとくからさー。武器置いて、泣きながら逃げちゃいなよー」


 ……なるほど。

 懐が深いリアトリスさんは、俺を見逃し、マリーと俺に酷い事をする予定を変えて、マリーだけに酷い事をしてくれるのか。


 ……前世の俺なら、もしかしたら逃げていたかもしれない。

 実際の所、俺は今怖いし、泣きたい。

 全てを諦めて、ここから逃げてしまいたい。


 でも、それでも俺は……。


「……に、逃げないよ。……マリーは大切な、と、と、友達なんだよ。そんな友達を置いて逃げるわけないだろう。……そ、そっちこそ、今なら逃がしてやるぞ」


「見逃してやるぞー?状況分かって言ってるー?何でわたしたちが逃げえるのよー」


「そんなの決まってるっしょ……あたしらがこれから大逆転するからだよ!」


「……マリーさん!」


 横を見ると、そこにはボロボロになりながらも、何とか立ち上がろうとしているマリーの姿があった。

 どうやら俺たちが話しているうちに目を覚ましたようだ。


「ごめん、少し寝てた。けど、もう大丈夫!コーキ、もう出し惜しみなしで行こう!あたしたちの特訓の成果、見せてやろう!」


「特訓……あ、マリーさん、やるんだね」


「うん!コーキこれを!」


 そう言って、マリーはバックから一つの玉を俺に渡してきた。

 その玉は赤くて、ほんのり甘い香りがする。

 そう、これこそが、俺たちの特訓の成果だ。

 

 リアトリスにデル。

 見せてやるよ、俺たちの力を!

上手くまとまらない…


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