想像力は無限大なのかもしれない。②
団体戦に向け、俺たちは連携を取る練習を続けていた。
それぞれの組同士で戦ったり、連携技を作ったりと、想像以上に順調に連携練習は進んでいった。
大体の練習を終え、全員がヘトヘトになる頃には、夕方にかかっていた。
「はー、疲れたー」
そう言って、カンナは地面に座り込んだ。
そして、水を飲むと、ゆっくりと話しを始めた。
「さて、時間も時間だし、今日はもうお開きにしない?疲れたしさ」
「良いと思うぞ。それじゃあ、帰るか、コウキ」
「あ、アリウムごめん。俺は少し自主練したいから、みんなで先に帰ってていいよ」
「そうか?じゃあ、先に帰るわー」
そう答え、アリウムたちは先に帰っていった。
全員の事を見送ると立ち上がり、新技開発のための、特訓に入った。
結局、団体戦では俺とマリーが組むことになった。
マリーは確かに身体能力が高くて、俺よりかは全然強いと思う。
だが、生呪の力が戦闘向けじゃないというのが、欠点になっている。
いくら身体能力が高くとも、アリウムの剣のように、特殊な武器が無ければ、力を持った者よりも劣ってしまう可能性が高い。
そう考えると、一緒の俺が足を引っ張るなんてことは、絶対にあってはならない。
足を引っ張らないためには、新技の開発が必須だと思うが、どうする?
ロメリア先生は防御力が足らないと言っていた。
とすると、防御系の武器か。
「……影」
そう呟くと、影は変化していき、盾へと姿を変えた。
俺が今まで作ったことがある防御系の武器はこの盾。
それと、これより一回り大きな盾。
使えはするが、これじゃ駄目だろうな。
防御力は十分にあるが、防御面積が小さすぎる。
防御できていない所を責められると、簡単にやられてしまう。
それに、盾でガードしていると、攻撃が出来なくなるのも駄目だ。
防戦一方になり、最終的に負けてしまう。
そう考えると、今作れる盾以外に、防御力のある武器が必要になる。
だが、どうするか。
盾以外に防御力がある武器なんて、思い浮かばないぞ。
出来る限り防御力があり、全方向を防げる武器。
……駄目だ、全く浮かばない。
誰か良いアイデアを持って来てくれないかな。
そんなことを思っていると、後ろから俺の名を呼ぶ声がした。
急いで振り返ってみると、そこにはマリーが立っていた。
「あー、ごめん。もしかして、邪魔しちゃった?」
「あ、いや、その、大丈夫だよ。…………えっと……何か忘れもの?」
「いや、ちょっとコーキに言いたいことがあってさ」
言いたいこと?
もしかして、何かやってしまっただろうか。
俺の中では、悪いことはしてないと思うが、気づかぬうちにしでかしてしまったのかもしれない。
「……組分けの時、あたしと二人ってなった時、嫌がってたじゃん。結局、あたしら2人になったけど、もし嫌なら今からでも変わらない?実際、あたしの力は戦闘向きじゃないし、弱いしさ。コーキがもう一人ほしいってのも分かるからさ」
どうやら、マリーは自分の力が弱いから、
俺が組み分けを変えたいと思っていると、勘違いしているようだ。
確かに、少しだけマリーの力の事を考えてしまっていた。
しかし、それはほんの少しだ。
大体の理由は、俺が弱いから、マリーの足を引っ張るかもしれないという事だ。
マリーの力の事は、ほとんど関係ない。
「い、良いよ。その、俺が弱いから、マリーさんに負担をかけちゃうんじゃないかなって思ってさ。……その、だから言っただけだから。マリーさんの力は関係ないからさ」
「そっか、なら、まあ良かったのかな?けど、もしあたしの力で、何か心配事とか、困ることがあったら言ってね。……あたしも力を戦闘に生かせるように頑張ってるんだけどさ。やっぱり、料理を戦闘向けにするのは無理なのかなー」
料理の力を戦闘向きにか。
確かに、相当難しいだろうな。
美味しい料理を素早く作った所で、戦闘中は何の意味もないだろうし、
そもそもとして、料理をしてる時間なんてないだろうしな。
恐らく、マリーは少しでもみんなの力になれるように、
力を戦闘向きにしようと頑張っているのだろう。
しかし、力が力というのもあって、大分苦戦しているのだろうな。
……何か、助けになるようなことを言ってあげたい。
だが、駄目だ。良い言葉が浮かばない。
ユリやアリウムなら、何かアドバイスを出来るのだろうが、
俺にはアドバイスの一つも浮かばない。
何か、何かないのか……。
「その……無理なんてことはないと思うよ。俺もさ、何度も無理だと思ったことはあったよ。何度もくじけて、何度も諦めたよ。……それでも、最後には諦めずに、挑み続けたんだ。……そしたら、最後は意外とうまく言ってさ……その……上手く言えないけど、最後の最後に諦めなければ、出来ない事なんてないと思う。それは、俺が保証するよ」
俺が不器用ながら、思ったことを言うと、
マリーは少し黙ったのち、綺麗に笑った。
「コーキ……ありがと!あ、そーいえば、自主練って、どんなことしてたの?出来る事があるなら、手伝うよ!」
「えっと、今は新しい武器を考えてたんだ。……その、盾以外で、防御力があって、全方向から自分を守れる。……そんな武器を考えてたんだけど…………全然思い浮かばなくてさ」
「んー、それって鎧とかじゃダメなの?」
「……え、鎧?」
「うん。別に自分を守るだけなら、鎧とかでも良くない?あ、凄い防御力が必要なんだっけ、それじゃダメかー」
「……いや、それいいかも」
そうか、鎧か。
ずっと手で使う武器しかないと考えていた。
だが、それは違ったんだ。
別に身に着ける物でも良いんだ。
影なら、それなりに軽くて、防御力の高い鎧を作れるかもしれない。
作れるかどうかは、俺の想像力次第ってとこだ。
それなら……全力で想像するまでだ。
そうだな。
マリーの家で見た、カッコいい鎧。
あの鎧をもとに想像しよう。
硬く、軽く、カッコいい。
そんな……そんな鎧を。
「……影」
近くの木陰に触れ、そう呟く。
すると、木陰はゆっくりと動き始め、少しずつ俺の体を覆っていく。
影は少しずつ形が出来ていき、数十秒立つ頃には、俺の想像したものが完成した。
……完璧だ。
硬く、軽く、カッコいい。
試さずとも分かるほどに硬く、
鎧を着ていると思えないほど軽い。
そして、何よりカッコいい。
問題点は少し動きずらいくらいだ。
そうだな、動きやすくするために、関節の部分を少し変形させよう。
他にも少し違和感がある所を直して……。
そう思った所で、影の鎧は解け、
俺は軽く尻餅をついてしまった。
「え、コーキ大丈夫?」
「……う、うん。……大丈夫」
集中しすぎたせいで、一気に体力を消費してしまったみたいだ。
毎回こんなに体力を使うんじゃ駄目だな。
団体戦までに、鎧を少し修正して、作るのに慣れておかないとだな。
……だけどまあ、一歩。
一歩だけだが、少しだけだが進めた気がする。
そう思いながら、少し休んだのち、
俺はゆっくりと立ち上がり、マリーの方を向いた。
「ありがとう、マリーさん。……マリーさんのお陰で……少しだけ成長できたよ」
「んー、良く分かんないけど、それなら良かった!だけど、とりま休憩したら?大分疲れてるように見えるよ」
「うん、そうだね。……少しだけ、休もうか…………」
「あれー、こんなところで何やってるのー。マリーちゃん!」
突如後ろからした、聞いたことのない声に驚き、振り向くと、そこには数人の男女が立っていた。
声を出したであろう女は赤髪で、派手なメイクをしている。
不気味な笑みを浮かべていて、少し怖い。
その横には丸刈りで、巨大な図体の男が立っている。
様子から察するに、その二人が数人の男女の中心で、
他の数人は取り巻きと考えてよさそうだ。
しかし、俺はこの人たちを見たことがない。
マリーと呼んでいたが、マリーの知り合いなのだろうか。
少しでも面白くなりそうだと感じたら、ブクマ登録か評価お願いします!




