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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
44/120

想像力は無限大なのかもしれない。①

「それでは、団体戦に向けて、作戦会議をしたいと思います!」


 カンナが大きな声で、そう宣言した。

 

 マリーとゲッケと出会った翌日。

 俺たちは授業をしっかりこなしたのち、 

 学園内にある中庭のようなところに集まっていた。

 

 その目的は、それぞれの力を把握するため。

 そして、団体戦に向けて、作戦を立てるためだ。


 団体戦は7人と、大人数のチームで行われる。

 いくら個々が強くても、連携が取れていなければ、負けるのは目に見えてる。

 そのため、あらかじめ連携を考えておいたりと、

 作戦を考えておくのが大切らしい。


「さて、まずはうちの力から見せて行こうか!」


「あー、ちょいまち。実はあたしらは、みんながどんな力を持ってるか知ってんだよね」


「え、そうなの!?」


「そ、アリムはこの不思議な時期の転入生、他のみんなは最初のダンジョン授業で、いきなりルールを破った問題児ってことで、みんな有名人なんだよ?それもあって、みんなの力とかは広まってるんだよ」


「問題児……」


 問題児か。

 まあ、確かに傍から見たらそうだな。

 最初のダンジョン攻略で、禁止されたエリアに入り、

 最終的に先生に助けられ、怒鳴り散らされる。

 どっからどう見ても、問題児だ。

 

 しかし、隣のクラスであるマリーたちにも伝わっているとは。

 人が少ない田舎の集落並みに、噂が広がるの早すぎるだろ。

 これからは問題を起こさないように気を付けないとかもな。


「なら、うちらの説明は良いか!それじゃあ、マリーたちの力を教えてほしいかな!って言っても、マリーの力も昨日大体わかったし、とりあえずはゲッケだけで良いかな」


「それじゃ、ワイの力を見せたろか。アリウムはん、ちょっとその缶貸してくれ」


 そう言って、ついさっきまでアリウムが飲んでいたジュースの空き缶を持つと、ゲッケは空き缶を軽く潰した。

 そして、目を瞑ったかと思うと、ゲッケの手を鼠色のオーラが覆い始めた。

 それから数秒後、ゲッケが何かを呟くと、空き缶は急激に変化を始める。

 潰された空き缶は、大きな音を立てながら変形していき、

 物の数秒で、潰れる前の姿へと変化した。


「え、こ、これどうやったんですか?」


「ワイの力を使ったんや。ワイの力は物の状態を数秒前に戻す力。普通に考えりゃ弱いが、使い方によれば、中々良い力やで」


 一見何の役にも立たなそうだが、上手く使えば超強そうだな。


 例えば、敵から逃げている時。

 他の仲間に壁を破壊してもらい、破壊された壁を元に戻したりすれば、それだけで敵から逃げきることが出来る。

 他にも、あらかじめ壊しておいた物の上に敵をおびき寄せ、敵がその上に立った瞬間、物を元に戻して、その物に敵をはめるとか、いろいろなことが出来そうだ。

 面白そうな力だな。

 

 そう思っていると、ユリがゆっくりと口を開いた。 


「とりあえず、みんなの力を大まかにまとめてみよっか。えーと、力に関して言えば、私とカンナ、それにコウキくんとアリウムくんが、前に出ての戦闘向き。マリーとゲッケくんがアシスト向きで、グリシアさんは弓だし両方いける感じかな。あ、身体能力で言えば、獣人のマリーも十分戦えるね」


「うん、私は一対一でも戦えるし、アシストも出来るよ」


「となると、戦闘向き4人、アシスト向き2人、両方いけるのが1人か。実は見てほしいものがあるんだけど……」


 そう言って、ユリはバックから一冊のノートを取り出した。

 ユリが開いたページには、過去の団体戦の情報が大量に書かれていた。


「え、これユリが書いたの!凄すぎるって!それぞれの団体戦のポイントが、綺麗にまとめられてる……。あたしじゃ絶対できないよ!」


「ノートにまとめたりするのが好きだからさ、試しに少しまとめてみたら、止まらなくなっちゃってね。それに、やるからには絶対勝ちたいでしょ!……それで、皆に見てほしいのはここの部分」


 ユリが指さしたほうを見てみると、そこにはここ数回の団体戦の特徴が書かれていた。


 昨年はシンプルな戦いで、まずチームから二人か三人で一組を作り、合計三組を作り出す。

 その後、それぞれのチームが一組を選出し、順番に戦ってもらい、

 最終的に勝利数が多いチームの勝利。


 一昨年はチーム対抗の迷路。

 チームを三組に分け、それぞれ別の迷路に入り、

 それぞれの迷路で、先に脱出したチームが多いチームが勝利。


 他にもいろいろ書いてあるが、

 全てに共通しているのはチームを三組に分けるという点だ。


「これを見て分かる通り、チームをあらかじめ三組に分けておくべきだと思うの。みんなはどう思う?」


「ユリに賛成だな。傾向から考えるに、三組に分かれる事になるに、決まってるぜ」


「うん、うちも賛成!というか、みんな賛成でしょ!」


「よし、それならチーム分けなんだけど、さっきの戦闘向けとアシスト向けの話と、それぞれのバランスを考えて、私とカンナ。アリウムくんとゲッケくんとグリシアさん。コウキくんとマリーってのはどうかな?」


 なるほど。

 恐らくこの中では一番の古くからの友達であるユリとカンナ。 

 二人は連携がしっかりとれそうだし、実力的にも問題はない。


 アリウムとゲッケとグリシアは、近距離戦闘が強いアリウムを、ゲッケとグリシアが上手くアシストし、場合によってはグリシアが直接戦うような感じだろうか。

 バランスが良くて、実力的にも問題はない。


 そして、俺とマリーは……問題しかないな。


「えっと、俺とマリーさんの所に、誰かひとり入れられたりしないかな?」


「もしかして、何か問題でもあった?」


「いや、その、マリーさんが獣人の身体能力を駆使して、戦えるとしても、流石に俺と二人じゃ厳しいんじゃないかな。……ハッキリ言って、俺は弱いしさ。確実に足を引っ張ることになると思うんだ。そ、そうなると、流石にもう一人必要かも……」


 俺がそう言うと、みんな何とも言えない顔をして俺を見てきた。

 やはり、意見すべきじゃなかったのかもしれない。


 いや、これで話さずに、俺のせいで本番負ける方が大変だ。

 そう考えると、今意見するのは正しかったはずだ。

 そう信じよう。

 というか、そうであってくれ。

 

 そう自分に言い聞かせていると、

 少し黙っていたユリが口を開き、意味の分からない言葉を放った。


「いや、コウキくんは十分強いでしょ」


「……え?いや、俺は弱いですよ?」


「……おい、コウキ。お前と一緒にいて、分かったことがある。お前は自分を過小評価しすぎだ。お前はちゃんと強い。俺が保証する!……だから、ちゃんと自分に自信を持てよ。お前はやるやつなんだからさ」

 

 ……確かに、アリウムの言う通り、俺は自分を過小評価しているのかもしれない。

 だが、それでも俺は弱いと言いきれる。


 実力テストでは最下位だったし、モンスター一体倒すのに、中々の時間を要する。

 ムクゲとの戦いでは、体中を殴られ、ボコボコにされた。

 最終的に勝てたのは、運が良かったからだ。

 俺は変わろうと息巻いてはいるが、今はまだ変われていない、ただの弱者だ。

 今回ばかりは、ユリもアリウムも見当違い過ぎる。

 

「……そうだな。とりあえず、今回は俺たちを信じて、この組み分けで行ってみないか?大丈夫、お前なら出来るさ!俺を、俺たちを信じてくれ!な!」


「…………分かった。アリウムたちを信じるよ」


「お、ありがとな!大丈夫だよ、お前は強いからな!」


「……良く分かんないけど、問題が解決したならよし!それじゃあ、次は連携の練習でもしようか!」


 そう言って、カンナは準備に取り掛かった。


 ……ついつい信じると言ってしまった。 

 少しでも押されると、すぐに同意してしまう。

 

 ……しかし、やることになったからには頑張らないとだよな。

 団体戦。何としても、足を引っ張らないように、しないとだな。

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