人は見た目に寄らないというが、全くもってその通り名かもしれない。③
『す、すげえ……』
俺とアリウムは、思わずそう呟いた。
その時、俺たちの目の前にあったのは、この世界に来てから見たこともないような豪邸だった。
大きな柵で囲まれていて、外から分かるほど敷地は広い。
城と見間違えるほどの豪邸だ。
凄すぎて、凄い以外の言葉が出てこない。
俺たちが固まっていると、マリーは大きな門を開けながら、口を開いた。
「みんな何突っ立ってるの?入んないの?」
「いや……その……ここってマリーさんの家……なの?」
「あたしんちに向かってたんだし、あたしんちに決まってるじゃん。何言ってんの、コーキ」
まあ、そりゃあ、そうですよね。
マリーの家に行くことになって、マリーについて行ってここに着いたんだから、マリーの家に決まってるよな。
……信じられないな。
もしかして、マリーの家は凄いお金持ちとかなのか?
そう思いながらも、マリーに続いて、敷地内に入って行く。
敷地内には良く分からない銅像や、凄い形の噴水など、
お金持ちの家にありそうなものがたくさん存在している。
凄すぎて、開いた口が塞がらない。
外がこんなに豪華なんだ、中も相当凄いんじゃ……。
そう思いながら、マリーに続いて、豪邸内へと入って行く。
『す、すげえ……』
俺とアリウムは、再度そう呟いた。
中は想像以上に広く、光っていた。
天井には巨大なシャンデリアがあり、床には巨大でお金持ちの家にあるような絨毯が引かれている。
奥には二階へ続く階段があり、横には奥の奥まで続く廊下がある。
所々に良く分からない銅像が置かれている。
なんか凄くお金持ちっぽい。
「す、すげえな……もしかして、マリーって金持ちかなんかなのか?」
「まあ、そんなとこ。親がそれなりにお金持っててさ。ここは母さんたちが持ってる別荘の一つなんよ」
「べ、別荘!?すげえな……」
「そんなことないよ。普通だよ」
普通って知ってる?
どう考えても普通じゃないだろ。
こんな豪勢な家、この世界に来てから初めて入ったぞ。
そうこうしていると、マリーは一つの部屋へ入った。
その部屋には、無駄に長い大きなテーブルと、高そうな椅子が並んでいる。
その様子から見るに、恐らく食事をするところだろうか。
良く分からない絵画や、良く分からない鎧が飾ってあって、何と言うか凄い。
「それじゃあ、あたしたちは色々とやってくるから、皆はてきとーに時間潰してて!」
それだけ言うと、マリーは部屋を出て行った。
俺たちはそこら辺の絵画や、鎧を見て、適当に時間を潰すことにした。
色々とみていると、俺の目に一つの鎧が目に留まった。
ふむ……よく分からないが、カッコいいなこの鎧。
黒くて、紫色のラインが入っている。
どんな攻撃を受けても壊れず、どんな攻撃を受けても傷一つつかなそうだ。
そうだな、鎧とかカッコいいし、
次お金が手に入ったら、ベルトを買った店で、鎧でも買おうかな。
そんなことを考えていると、マリーとゲッケが大量の料理を持って、部屋へ戻って来た。
「はいはい、料理持ってきたから、置くの手伝って!」
「え、料理?」
「話してたでしょ、ご飯食べるって。だから料理作ったんだよー」
テーブルに運ばれて来た料理は、どれもいい匂いがしておいしそうだ。
俺たちは料理を綺麗に置き、それぞれ席に着く。
「よし、それじゃあ、手を合わせてー、いただきます!」
『いただきます!』
そう言って、俺は試しに、近くのパスタに手を付けてみる。
……な、なんだこれ…………超絶美味い!
何のパスタかは分からないが、とにかく美味い。
麺とソースが絡み合ってて、良く分からないが美味い。
とにかく美味い。箸が止まらない。
「どう?うまいっしょ!」
「え、うん、すっごくおいしい」
「良かったー。まあ、これがあたしの力だからね」
「……え、マリーさんの力?」
「そ、あたしの力は凄い料理を凄い速さで美味しく作れる力なの」
「そ、そうだったんだ」
なるほど、これがマリーの生呪の力だったわけか。
道理で途轍もなく美味しい訳だ。
「あたしさ、夢があってね。冒険者になって、いろんなとこに行ながら、いろんな人を助けてさー。それでもって、あたしの作った料理で、助けた人を笑顔にしたいんだ。今はまだ弱いし、料理も全然だけど、いつかきっと、夢を叶えたいんだ。まー、今は夢のまた夢なんだけどねー」
マリーがそう言うと、カンナはフォークを置き、大きく口を開いた。
「そんなことないよ!マリーなら、きっと叶えられるよ!こんなに美味しい料理が作れるんだもん!」
「カンナの言う通りだよ。きっとマリーなら、夢を叶えられるよ!」
「カンナにユリ、ありがと!さ、みんなドンドン食べてね!まだまだあるからさ!」
そう言ってマリーは皿に料理をよそりだした。
俺たちはよそられた美味しい料理を食べ切ったのち、
明日会う約束をし、そこで現地解散となった。
ユリは緊急の買い物があるらしく、商店街へ向かったため、
今日は俺とカンナの二人だけで帰ることにした。
よく考えたらカンナと二人で帰るのは初めてだな。
何と言うか、少し緊張する。
「いやー、おいしかったね、マリーの料理!」
「う、うん。そうですね。…………それにしても、カンナさんは優しいですよね。その、初対面の人に簡単に手を貸してあげるなんて……」
「普通の事だよ。いじめられてるって話を聞いちゃったら、誰だってそうするよ!……あ、そうだ!一つお願いしたいんだけどさ、敬語止めてくれない?」
「え、敬語?」
確かに、カンナには敬語で話している。
別に深い意味とかはなく、何も考えずただ敬語で話していただけだが……。
もしかして、何か不快にしてしまったのだろうか。
「うん、友達なんだから、別にカンナでいいし、敬語じゃなくていいよ!うちだって、そうしてるしさ!」
「友達……うん、わ、分かったよ。……カンナ」
「それでよし!あ、もう着いちゃったね。うちこっちだから、またね、コウキ!」
「うん、またね!」
それだけ話して、俺とカンナも別れた。
俺はそれから、自室へ帰り、明日の準備をしたのち、ベットへ潜った。
今日もいろいろあったな。
ロメリア先生には相変わらず敵わなかったけど、ベルトのお陰で、それなりに動けてはいたな。
急に話しかけてきたマリーの見た目とのギャップには驚かされたけど、良い人そうだった。
いじめの話を聞いて、みんなで団体戦に出る事になって、マリーの美味しい料理も食べた。
カンナとも、少しではあるけど二人で話せて、友達だって言われた。
そう言えば、ロメリア先生に言われた防御力の件も…………考えないとな……。
まあ、また明日……考える……か…………。
そして、俺はこの日も眠りについた。
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