人は見た目に寄らないというが、全くもってその通り名かもしれない。①
「今だアリウム!」
「任せろ!」
俺の合図と同時に、アリウムの大剣がロメリア先生へ襲い掛かる。
大剣は一直線に先生へと振り下ろされ、先生へ直撃した。
が、アリウムの渾身の一撃でも、先生に傷一つついていない。
アリウムの攻撃が直撃したのを確認し、俺も素早い動きで先生へ突撃していく。
走りながら作り出した影の槍で、全力で先生を突き刺す。
しかし、それでも先生には効いていない。
俺たちの攻撃が終わった事を確認すると、先生は素早い動きで俺たちに接近し、それぞれの腹に強烈な一撃を放った。
俺たちは抵抗することが出来ず、その場に倒れこんでしまう。
「……そうだな。まず、アリウム生徒は先日言ったように動きが単調すぎる。しっかりと、直していくように。コウキ生徒は新しくつけているベルトのお陰で身体能力が上がっているようだが、まだまだ足りない。より、体を鍛えるようにしろ!」
『分かりました……』
それだけ答え、俺とアリウムはゆっくりと元いた所へと戻っていく。
それを確認すると、先生はまたゆっくりと話を始めた。
「今日の授業はここまでだ!それぞれ、新たな技の開発に精進するように!」
それだけ告げ、先生は今日の授業を終えた。
楽しい買い物をした翌日。
この日の授業は、前回の授業で理解した弱点の克服、新たな技の開発のために、それぞれが今すべきだと思う練習を自由に行っていた。
そして、授業の終わりに成果として、二人一組で先生と対戦をしていたのだった。
「いやー、しっかし、先生強すぎるな!俺もコウキも良い動きしてたのに、全然通用しなかったな!」
「うん。昨日手に入れたベルトの効果もあったし、それなりに戦えると思ってたけど、全然ダメだった。……もっと頑張らないとな」
「……だな!」
と、俺とアリウムが楽しく話していた時。
後ろから、俺の名を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこには一人の男と女が立っていた。
男の方はニコニコしていて、狐顔の青髪の男だ。
女の方は、猫耳が生えた灰髪の女で、
腰には何やら本を付けている。
凄く綺麗で清潔感があり、一目見ただけで、こういう人を清楚と言うんだなと、理解できるほどだった。
……え?猫耳?
いや、確かに猫耳……だよな。
人の頭に猫耳が付いてる。
というか、生えてる。
……そんなことある?
もしかして、これも生呪の力の一種なのか?
それとも、そういう人種なのか?
目の前に存在する、理解できない状況に黙り込んでいると、
ずっと黙っていた、猫耳の少女がゆっくりと口を開けた。
「あのー、生きてる?大丈夫そ?あ、あたしはマリー。気軽にマリーでいいよ、あたしはコーキって呼ぶね!あ、それと、この耳はこう見えてモノホンなんだけど、これ猫耳じゃなくて、狐耳だから、そこんとこよろしく!」
そう言いながら、マリーと名乗る女は、右手を前に出し、親指を立てた。
なるほど。
な、なんか……思ってたしゃべり方と違う!
見た目は凄く清楚っぽくて、気品の良さで溢れてるのに、
なんか凄い、軽い、明るい、ギャルっぽい。
人は見た目に寄らないとよく言うが、そう言うレベルじゃないぞ。
ギャップが凄すぎる。
あと、猫耳じゃなかったのか。
いや、それよりも……。
「……あの、一つ良いですか?……その、その耳って本物なんですか?」
「え、モノホンって言ったじゃん!ちゃんと聞いてたー?……あ、もしかしてコーキ知らない感じ?あたしは父さん獣族で、母さんが人の獣人族ってやつなの」
獣族。それだけなら聞いたことがある。
人間とも、魔族とも違った種族で、モンスターが進化した種族らしい。
基本的に、二足歩行で、進化前のモンスターの特徴を受け継いでいるらしい。
一応人間と獣族は良好な関係らしく、争ったりはしていないらしい。
獣人族は聞いたことがないが、マリーの言う通りなら、獣族と人間のハーフってところだろうか。
しかし、その獣人族が一体何の様だ?
「……えっと、それでその……俺に何か?」
「そう、それでね。あたし実は、コウキに助けられたんだよ。数日前のコーキが解決した事件でなんだけどさー。あたし、その事件で、変な人らに捕まったんだけど、それをコーキが助けてくれたと思うんだけど、覚えてる?」
俺が解決した事件か。
俺が解決したと言っていいかは分からないが、
俺が関わった事件は一つしかない。
ムクゲが主犯だった事件だ。
話を聞いた感じ、マリーは俺がムクゲと戦う前に、ムクゲたちに捕らえられていた人たちの、一人だったようだ。
「……えーと、何となく。……その、あの日は、その……お互い大変でしたね」
「そー、まじやばかった!ホントにありがとね、コーキがいなかったら、今頃あたし死んでたよー!」
「い、いや、そんな……俺は何もしてないんで…………それじゃあ……」
それだけ話して、その場を立ち去ろうとすると、
後ろからマリーに手を掴まれ、去るのを止められた。
「え、えっと……」
「ちょっと待って!さっきのは、ついででさ。……実は、コーキに助けてほしいの!」
……助けてほしいって言ったよな。
凄い陽キャオーラを放っている、どう考えたって一群の狐耳女が?
なんの実力もなく、カーストで言えば最下位と言っても過言ではない俺に?
一体何の話か分からないが、俺に出来る事はないと思うのだが……。
そう思いつつも、俺はマリーの話を聞くことにした。
すると、彼女の口から出てきたのは、とんでもない言葉だった。
「実はあたし、いじめられてるの!」




