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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
36/120

無能力者だろうが、諦めなければ強くなれるらしい。③

「む、次はコウキ生徒か」


「は、はい。よろしくお願いします……」


「それじゃあ……かかって来い!」


 ロメリア先生が構えたのを見て、俺も戦闘態勢に入る。

 

 さて、どうするか。

 運悪く、今近くに自分の影以外の影は存在しない。

 こうなると、自分の影だけで戦わないといけないわけだが、

 自分だけの影で少しでもダメージを与えられるだろうか。


 ただでさえ、みんなの前で戦うという事で、

 緊張と焦りで手足が震えて、全く本調子を出すことが出来ない。 

 そんな状態で、影も少ししか使えないとなると、相当きつい。

 

 とりあえず、安定のシャドウハンマーで潰すか? 

 いや、いとも簡単に、片手で止められそうだ。

 それじゃあ、剣を使って、素早く動きながら、先生の隙を狙うか?

 いや、アリウムのあの速さに付いてこれてたんだ。

 いくら俺が全力を出そうと、簡単に付いて来られるに決まってる。

 

 ……まじで、どうしよう。

 作戦が決まらず、俺が悩んでいると、痺れを切らしたのか、ロメリア先生がせかしてきた。


「……いつまで考え込んでいるつもりだ!さっさと、かかって来い!」


「……わ、分かりました。…………い、行きます。影!」


 そう言い、自分の影を変化させていく。

 影はいつもの流れで変化していき、大きめのハンマーへと、

 シャドウハンマーへと姿を変えた。

 

 俺はシャドウハンマーをしっかりと握りしめ、先生へと向かって行く。

 そして、ある程度近づいた所で、シャドウハンマーを先生の頭上へと振り下ろした。

 シャドウハンマーは真っ直ぐに振り下ろされ、先生の頭に直撃した。

 しかし、先生は一切動じる事はない。


「……くそっ…………影!」


 俺は数歩離れ、もう一度影を変化させる。

 次に変化させたのはノコギリ。

 ムクゲとの戦いで初めて変化させた、ムクゲを倒すのに最も貢献した武器だ。


 そのノコギリを使い、先生へと斬りこむ。

 ノコギリの刃が当たっているのにも関わらず、

 やはり先生は全く動じていない。

 

 だが、これは想定内。

 ノコギリの真価はここからだ。

 体中に力を入れ、俺は全力でノコギリを引く。

 が、それでも先生の体には傷一つついていない。


 ……まじかよ。

 俺が作った事のある武器の中で、最も火力のあるシャドウハンマーとノコギリ。

 この二つで、傷一つつけられないとなると、もうどうしようもないぞ。


 全力を出した上で、全くダメージが入らなかったことに動揺していると、

 ずっと何もしてこなかった先生が、ゆっくりと動き始めた。

 先生は少し歩き、俺に近づくと、右手のパンチを、俺の腹へと繰り出した。

 パンチを喰らった俺は、あまりの激痛に、その場に倒れこんでしまった。


「……そうだな、影で作り出す武器は個性的かつ強力で良いと思う。しかし、そもそもの身体能力が低すぎる!特に速さと、防御力。これを強化するように!分かったか!」


「……は、はひ…………」


 そう答えて、フラフラになりながらも、俺は元いた位置へと戻っていった。

 

 俺の攻撃が全く通用しなかった。

 心の奥底では、ダンジョンでの戦いと、ムクゲとの戦いで勝てたことから、俺に自身強くなっているんじゃないかと思っていた。

 だが、全然まだまだなようだ。

 冒険者になるからには、もっと力をつけないとだな。

 確か、速さと防御力か。

 どうするかな……。


「おつかれ、コウキ!コウキもやっぱり、きつかったかー」


「う、うん。やっぱり強すぎだよ。ロメリア先生」


「だなー。俺も戦ってみて思ったけど、あの先生化け物だわ」


 俺たちが先生の強さについて話していると、

 カンナが後ろから話しに入って来た。


「二人とも、こっぴどくやられたみたいだねー」


「あ、うん。……やっぱり歯が立たなかったよ」


「……よし、それじゃあ、二人の敵はうちが取ることにしよう!ちょっと、行ってくる!」


 そんな事を言って、カンナは先生の所へと走っていった。

 最初はカンナの力と速さで、もしかしたら一撃位喰らわせられるんじゃないかと思えた。

 だが、その後いとも簡単に一撃を貰い、カンナは即敗北を期した。


 その後も、ユリやグリシアなどのクラスメイトが先生に挑んで行った。

 が、皆いとも簡単に倒されてしまった。

 全員が挑み終えたところで、先生は話を始めた。 


「……これで、全員だな。今回の授業で、それぞれに足りない事や、弱点が分かっただろう!次の授業からは、分かった弱点の克服及び、新たな技の開発を行う!次の授業のために、体をしっかりと休めておくように!……それでは、これで今日の授業を終える。解散!」


 先生の話が終わると、クラスメイト達はそれぞれ戦闘場から帰っていく。

 俺たちもその流れに乗り、教室へと歩き出す。

 

「あ、そう言えばコウキこの後か、明日空いてたりしないか?」


「え、あ、この後は酒場の手伝いがあっていけないけど、あ、明日なら空いてるよ」


「それじゃあさ、明日一日付き合ってくんない?実は入学許可を貰ったのが急でさ、まだ学園に必要な物とか買えてないんだよ。もし良ければ、明日一緒に買い物に行かないか?」


「え、お、俺で良ければ、もちろん良いよ」


「あ、それなら、うちとユリも一緒に言って良い?」


 俺とアリウムが話していると、

 その話を聞いていたのか、カンナが話に入って来た。


「お、別にいいぞ!人数は多い方が楽しいからな」


「やったー!ありがとー!……あ、人数が多くても良いなら、もう一人誘いたいんだけど……良い?」


「もちろん!誰を誘うんだ?」


「それは、明日のお楽しみだよ!いやー、明日が楽しみになったな!」


 ふむ、つまりは五人でのお買い物か。

 なんか……なんか青春っぽくて良いな!


 前世では、友達と遊ぶことはあっても、お買い物なんてしたことはなかった。

 家で一緒にゲームをしたり、一緒に本を買いに行ったりする程度だった。

 それが、大勢の友達と一緒にお買い物か。 

 しかも、女子が二人もいる。


 以前、ユリと二人で出かけた時は、緊張が超絶膨れ上がったせいで、よりまともに話せていなかった一面もあった。

 今度は、緊張のし過ぎで失敗しないように、十分準備をしておこう。

 大勢の友達とお買い物……。

 いやー、今から楽しみだ! 


 流れで決まった、友達大勢でのお買い物。

 俺は新たなイベントに胸を膨らませるのだった。

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