表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
35/120

無能力者だろうが、諦めなければ強くなれるらしい。②

 戦闘場には、ロメリア先生が一人。

 仁王立ちで俺たちの事を待っていた。

 先生は全員来たのを確認すると、説明を始めた。


「これから、授業を始める。力の弱点を把握するために、今回の授業では私と戦ってもらう!戦ったのち、私がそれぞれの弱点を分析し、説明していくため、本気で取り組むように!」


 先生と戦うって、まじかよ。

 先生が戦っている姿は少ししか見たことはないが、先生は強い。

 まず、生呪の力を抜きにして、運動神経が尋常じゃないほど高い。

 そして、戦闘経験が俺たちの数倍は多いはずだ。

 その上、先生の生呪の力は分からない。

 

 授業だし、そこまで本気で戦うわけではないのだと思う。

 それでも、俺たちの技術が通用するとは、全く思えない。

 これは授業にならないんじゃないか?

 そんな事を考えていると、準備が終わったのか、先生が話を再開した。


「さて、準備は完了した。誰からでもいい、順番にかかってこい!」


 先生は開始の合図をしたが、誰一人としていこうとはしない。

 さすがに先生相手に、最初の一人目はきついのだろうか。

 辺りが静まり返っていると、隣にいたアリウムが話しかけてきた。


「誰も行かなそうなら、俺が行こうかな」


「……え、まじかよ。よく、最初に行けるな」


「別に普通だろ?自分の今の実力も早く知りたいし、」


「……そう言えば、アリウムはどんな力を持ってるんだ?」


「ん?俺は無能力者だよ。……それじゃあ、行ってくるわ」


「お、おう。……って、無能力者?それってどういう……」


 俺の話を聞くことなく、アリウムはゆっくりと前へ出て行った。

 無能力者って……能力がないってことだよな。

 能力ってのが生呪の力だとすると、生呪の力を持っていないってことになるよな。


 ……え、生呪の力を持ってないのか?

 生まれながらに誰しもが持っている力だと聞いたが、持っていない人がいるのか。

 というか、持っていないのなら、ムクゲの一味との戦いでは、どうやって戦っていたんだ?

 力を持っていないのに、あの長時間三人を止めるなんて、不可能だろ。

 一体どういうことなんだ?


 衝撃の事実を聞き、様々な疑問が生まれてくる中。

 アリウムと先生の戦いが始まろうとしていた。


「ほう、最初はアリウム生徒か」


「はい、よろしくお願いします!」


「さて、どこからでもかかって来い!」


 先生がそう言うと、アリウムは慣れた動きで、腰から剣を引き抜いた。

 剣の大部分は綺麗な銀色で、長年使ってきたせいか、所々汚れや傷が目立つ。

 アリシアは剣を先生に向けたと思うと、少し笑い、叫んだ。


「行くぞ……変剣!」


 瞬間。

 剣が光ったと思うと、剣先は光りながらグニャグニャと形を変え始めた。

 そして、物の数秒で剣先は変化を終えた。

 

 その剣は、いや、その大剣は大きく、綺麗な銀色で、

 不思議な文様が描かれている。

 美しく、見ただけで、どんなものでも斬れると思わせるほどの、迫力がある大剣だった。


「……いや…………は?」


 ついさっきまで普通サイズの剣だった物が、一瞬にして大剣に変化した。

 なるほど。いや、何が起こったんだ?

 無能力者って言ってたよな。

 なら、何であんな芸当が出来るんだ。

 理解不能な出来事に、俺はただひたすらに困惑した。

 俺が困惑していると、先生はゆっくりと口を開いた。


「なるほど、それが例の武器か。……面白い、かかって来い!」


「言われなくても!」


 そう答え、アリウムは強く地面を蹴り、

 物凄い速さで、先生へと斬りかかる。

 大剣は真っすぐに振り下ろされ、先生の肩に直撃した。

 が、先生は一切動揺する様子がない。


「……なるほど、中々の素早さに、中々の力だ。だが、まだまだだな。こんなものでは、私に傷一つつけられんぞ!」


「これなら、どうだ!」


 そう言いながら、アリウムは大剣を横に振り、先生を斬ろうとする。

 しかし、今度はいとも簡単に剣先を止められてしまった。

 しかも、二本指だけでだ。


 アリウムは何とか先生に大剣を離させようとしているが、

 先生が大剣を話す気配は一切しない。


「……これまでのようだな」


 そう呟いたかと思うと、先生は大剣を空に大きく投げた。

 アリウムが大剣に気を取られていると、

 先生の全力パンチが、アリウムの腹へと炸裂した。

 もろに喰らったアリウムは、すぐに膝をついてしまった。


 落ちてきた大剣を軽くとると、

 先生はゆっくりと話し始めた。


「動きはまあ良い。大剣の使い方もなっている。だが、根本的に速さと力強さがまだ足りない。その上、動きが単調すぎる。もっと剣の性質を理解したのち、動きをより良いものに改善しろ!分かったか!」


「……はい」


「よし、次だ!」

 

 終わってみれば、先生の圧勝。

 分かっていたことだが、先生が強すぎる。

 アリウムは強かったし、凄い動きをしていた。


 それでも、ほとんど遊ばれているようなものだった。

 こんな化け物相手に、俺の技術は少しでも通用するのだろうか。

 不安な気持ちになっていると、戦いを終えたアリウムが戻って来た。


「いやー、駄目だったわ。ロメリア先生凄すぎる」


「い、いや、アリウムもすごかったと思う……よ。だけど、やっぱり力を持ってたのか。……何で、持ってないなんて嘘ついたんだ?」


「ん?何言ってんだ、俺は力を持ってないって。もしかして、この剣が変化した事か?さっきこの剣が大剣になったのは、この剣の力なんだよ。この剣の名はカエデと言ってな。俺が思ったように変化する、変わった剣なんだ。俺自体は本当に無能力者だよ」


「……そうだったんだ」


 あの変化は剣特有のものだったのか。

 それなら、納得がいく。

 それにしても、力がなくとも、あんな動きが出来るのか。

 アリウムの動きは速くて、力も相当強かった。

 あれが力なくして出来るなんて……何というか凄い。

 しかし、そう言う事なら言わないとだな。


「なんかごめんな。……その、力の事をいろいろと聞いちゃって。……その…………本当に力がないとは思わなくて……さ」


「ん、別に気にすんなよ。俺が気にしてないからさ。……俺は別に、力なんてどうでも良いと思うんだ。どんな力を持ってるとか、そもそも力を持ってるのかとか。俺は力も個性の一つだと思ってるんだ。……人間、出来る事もあれば、出来る事もあるだろ。俺はただ力を使うってことが出来ないだけだ。だから、他の事で頑張ることにしたんだ。力がない分。俺には他に出来る事があるはずだ。だから、それを伸ばして、力がないのを補う。まあ、誰でもやってる普通の事だけどな」


「アリウム……凄いな、お前」


「そうか?普通だって」


 ……いや、普通じゃない。

 どんな奴でも、他の奴が持っている才能には嫉妬するし、

 力が強い奴は少しでも、弱い力の奴よりも優位に立ってると思ってしまうと思う。

 結果的に、いじめや喧嘩が起きたりするし、

 コンプレックスを持つ奴や、自分の実力を過信する奴が出てる。

 これは俺の考えとかじゃなくて、現実だ。

 

 それを、個性と割り切って、受け入れ、

 それ以外の持ったもので勝負する。

 そうしてくても、普通じゃそうできない。

 アリウムは自分で思っている以上に、凄い奴だと思う。


 アリウムは、俺が前世でなりたかった人物像にそっくりだ。

 俺もこんな風になれるだろうか……。


 俺が浸っていると、不思議そうな目をしたアリウムが、話しかけてきた。


「どうした?なんかあったか?」


「……え、いや……何でもない」


「そうか。お、また、戦いが終わったみたいだし、次コウキが行けば?」


「え、でも……いや、そうだな。…………行ってくる」


「おう、頑張れ!」


 浸っている場合じゃない。

 変わるんだろ。

 なら、行動あるのみだ。

 

 先生に勝つなんて、そんな無茶な事は思わない。

 ただ、一撃は食らわせてやる。

力がなくとも、努力すれば強くなれる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ