表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
33/120

この世で最も怒らせてはならない生物は、陰キャである。②

「……そうだ、アリウムに加勢しないと…………」


 様々な物がしまわれている棚の向かい側から、アリウムたちが戦っている音が聞こえてくる。

 アリウムはまだ戦闘中の様だ。

 人数的にアリウムは一対三で戦っているはず。

 こんな俺でもいないよりかはマシのはずだ。

 そう考え、立とうとするが、体が全然動かない。


 何度も体を動かそうとするが、動けない。

 自分で思っている以上に、体は限界を迎えていたみたいだ。

 体が言う事を聞かない。

 早くアリウムを助けに行かないといけないのに……畜生。


 そんな時だった。

 巨大な破壊音がしたかと思うと、

 銀色の鎧を着た、数人の兵士が部屋へと入ってきた。


「……え、いや……え?」


「大丈夫かい?君はコウキくんだね。私たちはこの国の騎士団員。君の友達のカンナという子から、いろいろと聞いてね。助けに来たんだ」


「カンナが……」


 ほとんど事情を伝えずに出てきたのにも関わらず、

 どうやらカンナは大体の状況を理解し、騎士団に助けを求めていたらしい。

 まさか、間接的にカンナに助けられることになるとは。

 これに関しては後でお礼を言わないとな。

 

 しかし、騎士団が警察的な役割を補っていたとは知らなかったな。

 そんなことを思いながら一安心していると、

 部屋の外から見知った顔の女性が部屋へと入ってきた。


「……え、ロメリア先生!?ど、どうしてここに?」


「どうしてもこうしてもあるか!コウキ生徒、君はここで何をしているんだ!」


 そう言うと、先生はボロボロの俺を正座させ、説教を始めた。

 何で大人に相談しなかったのかとか。

 何で一人で突っ込んだのかとか。

 何で一日で二回も問題を起こすのかとか。

 夕方の数倍強く説教された。


「……全く、良いか、お前はまだ子供だ。自分では出来ることだらけだと思っているだろうが、大人から見たら出来ないことだらけだ。今回は運よく何とかなったかもしれんが、次はどうなるか分からない。良いか、次からは大人を頼れ。駄目そうに見えたり、頼りにならなかったりするかもしれない。だがな、きっと君たちの助けになるはずだ。大人をもっと信じるんだ。分かったか!」


「は、はい!……ところで、何で先生はここに?」


「私はユリ生徒とコウキ生徒の教師だぞ?来るに決まっているだろうが!さあ、とりあえず治療からだ。私について来い」


 そう言うと、先生はゆっくりと部屋を出て行った。

 何とか体を動かしながら、俺はその後をついて行く。

 

 その後、俺は治療系の力を持つ人に治療してもらったのち、

 ロメリア先生に付き添われながら酒場へと帰っていった。

 酒場ではお姉さんとカンナが心配そうな顔をして待っていた。

 事情と、ユリも俺も大丈夫だと伝えると、カンナは緊張が解けたのか泣き出し、

 お姉さんは何も言わずに俺を抱きしめてくれた。

 お姉さんの腕の中は優しくて、抱きしめられていると心が一気に落ち着いていった。


 それから俺はカンナとロメリア先生を見送り、

 その後、自室に入って、即爆睡した。

 

 これは後日聞いた話だが、今回事件を起こしたムクゲとその仲間は、事情聴取を行ったのち、騎士団に捕まることになったらしい。

 アリウムはムクゲの仲間と戦っていたという事実。

 そして、関わった人たちの証言から、無実という事になり、捕まることはなかったらしい。

 今はどこで何をしているか分からないが、アリウムにはまた会いたい。 


 ムクゲたちに倒され、捕らえられていた生徒たちは命に別状はないらしく、

 治療と事情聴取を終えたのち、それぞれの家へと帰っていったとの事だ。


 そして、事件から二日後の今日。

 ユリも酒場へと帰ってきた。

 ユリが帰ってくるなり、お姉さんはユリへと駆け寄り、全力で抱き着いた。 


「ただいま、お姉さんにコウキくん!」


「ユリちゃん!ユリちゃん!ユリちゃーん!無事でよかったよ、本当に心配したんだからね!大丈夫、何もされてない?」


「き、きついよ、お姉さん!私は大丈夫だよ!ちょっと殴られただけで、大した怪我はしてないから!」


「それなら、よかった!もう……本当に気を付けてよ。私は凄く心配したんだからね。もっと、自分を大事にしなさい!」


「分かったよ、心配かけてごめんね」


 ユリがそう言うと、お姉さんはさらに強く抱きしめ、頭を強く撫でた。

 それを見ていた俺は、覚悟を決め、ゆっくりとユリたちの方へと近づいて行く。 

 そして、お姉さんがユリを話したところで、

 覚悟を決め、謝った。


「ご、ごめん、ユリ。……俺が、俺がムクゲに因縁をつけられていなかったら……もしかしたらユリは襲われなかったかもしれない。……その、俺のせいで、ユリを危険にさらしてしまった。……ホント、ごめん…………」


 果たし状の事を考えると、ユリがターゲットにされたのは俺のせいだ。

 ムクゲが俺を狙ったせいで、ユリにも危険が及んだんだ。

 だから、もし、俺がムクゲに狙われていなかったのなら、ユリは襲われることはなかったんだ。

 謝って許されることじゃない事は分かっている。

 だが、今の謝る事しかできない。

 深く頭を下げていると、ユリがキョトンとした声で話し出した。


「いや、何言ってんの?」


「……え?いや、だから、謝ろうと……」


「そもそもとして、犯人たちは生徒全員を狙ってたんでしょ。だったら、遅かれ早かれ私は捕まっていたと思うよ。それに、大切なのはそこじゃないよ。私が捕まって、それをコウキくんが助けてくれたってのが大切なんだよ。……コウキくん、助けてくれてありがとう!」


 本当なら、怒られて、殴られたっておかしくない。

 それなのに、お礼なんて……。


「……お礼を言うのは……俺の方だよ。……改めて、出会ってから今日まで、いろいえお……本当にいろいろありがとう」


「もう、いまさら何言ってんの。友達でしょ!」


「……ああ、そうだな!」


「んー、良く分からないけど、二人とも仲が良いならよかった!ユリも帰ってきたことだし、今日は腕を振るって、料理しちゃうよ!」


 そう言いながら、お姉さんは厨房へと入って行った。

 ユリは荷物を置きに、二階へ階段を上がっていく。

 それを見送り、俺は夕食の準備を進める。


 ……ユリはああ言っていたが、少なからず俺に原因があったのは確かだ。

 今回の一件で良く分かった。

 この世界にも、前世の世界と同じように悪い奴がいる。

 しかも、生呪の力があるせいで、そいつらは前世の奴らよりも、より凶悪になっていた。

 

 もっと、しっかりしないとだめだな。

 どんな状況でも、正しい判断が出来るようにならないと駄目だ。

 明日からの学園生活。

 今まで以上に、真剣に取り組もう。

 もう、友達を危険な目に合わせないように、 

 自分自身も危険な目に合わなくなるように。


 この日、俺はそう心に誓った。

コミュ症陰キャは、更に覚悟を決める。

次回、アリウムがアリウムでアリウム。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ