謎の因縁をかけられたコミュ症は、ただひたすらに困惑する。①
「……やっとついた。…………ここが、ゴミ処理場か」
一度酒場へ戻り、カンナたちにゴミ処理場の場所を聞いたのち、
俺は一人でゴミ処理場に来ていた。
ゴミ処理場は商店街の裏路地を、ひたすら進んだ所にある大きめの木造建築だった。
見た目は家のようにも思えるが、周りに大量のゴミが置いてある所を見ると、ゴミ処理場で間違いないようだ。
もっと大きくて、工場っぽいものだと思っていたが、思っていたよりかは小さく、工場らしさのかけらもない。
世界が違うと、ここまで違うものなのか。
ゴミ処理場前には誰もいないし、中に入った方が良いよな。
手紙には集団と書いてあったし、相手が複数人なのは恐らく確定。
何があっても反応できるように、警戒を怠らずに行こう。
……よく考えたら、カンナたちに事情を話しておくんだったな。
焦っていたせいで、何も考えずに一人で来たが、
カンナたちに言って、警察とかを呼んで、その人たちに助けてもらうべきだったかもしれない。
まあ、この世界に警察がいるのかは知らないけどな。
そんな事を思いながらも、覚悟を決め、ゴミ処理場の中へと入って行く。
建物内は、意外に広く、入った所には受付があったり、廊下の先には様々な部屋があったりと、それっぽい作りにはなっているようだ。
しかし、どれだけ進んでも灯りはなく、そのせいで建物内は闇に包まれている。
ハッキリ言って暗すぎて、怖い。
怖がりながらも、進んで行き、数分が立った頃。
どこからか笑い声が聞こえてきた。
恐る恐る声がした方へと向かって行くと、一か所灯りがともった部屋があるのが見えた。
部屋の方からした笑い声と、勇逸灯りがともった部屋。
この二つから考えるに、あの部屋に果たし状を送ってきた奴らがいる可能性が高いよな。
一度、こっそり近づいてどんな奴らなのかだけ、確認するか。
そう思い、灯りのともった部屋へ近づき、こっそり中を見てみる。
中は少し広めで、様々な物が、適当に置かれており、
その中心にはローブを着ている5人の男が集まり、話をしていた。
男たちのうち4人の男が地面に座り、1人の男だけ少し高いところに座っている。
その他の様子からも察するに、少し高いところに座っている男がリーダーで間違いないだろう。
しかし、誰だあの男は。
水色のオールバックの髪形で、クラスに一人はいそうな、少しヤンキー身のある男。
こんな男とは話したこともないし、見たこともない。
他の4人はローブの帽子を被っているせいで顔は良く分からないが、雰囲気からして知り合いはいなさそうだ。
こう見るとさらに謎だ。
一体なんで俺なんかに果たし状を送ってきたんだろうか。
やっぱり、陽キャの悪戯?
いやしかし、学園にあんな奴らいただろうか。
陽キャなら目立つし、見た目でなんとなくわかるだろうが、あいつらは見たことがない。
なんかもう良く分からなくなってきた。
とりあえず、少しの間様子を伺うか。
そう思い、少ししゃがもうとした時だ。
足をくじいた。
それも勢いに乗って。
足をくじいた俺は、そのまま前に倒れこみ、
凄い勢いで顔面を強打した。
いってえええええ!
凄い勢いで顔面から地面にダイブしちまった。
もの凄く痛い。これ絶体鼻血出るだろ。
そんなことを思いながら、ゆっくりと起き上がる。
そして、顔を上げるとそこには水色オールバックの男が立っていた。
「…………えーと………………こんにちは?」
「……いや、何してんだよ」
「………………す、すみません?」
「…………………………死ね」
そう言うと、男は俺の胸ぐらをつかみ、部屋の中へと投げ飛ばした。
投げ飛ばされた俺は、背中から地面に直撃し、思わず唸り声をあげた。
最悪だ。バカすぎる。
何もないところで足をひねり、転んだ挙句、
そのせいで敵のリーダーに見つかってしまった。
本当に、何やってるんだ俺。
「……まあ、そうだな。久しぶりとでも言っておくか。コウキ」
「…………えっと……その、すみません。……ど、どちらさまで……したっけ…………?」
「……は?……お前、まさか覚えてないのか?」
「……す、すみません。…………覚えてません」
そう言うと、水色オールバックの男は黙り込んでしまった。
そこはかとなく悲しそうな顔をしているようにも見える。
いや、ごめんて。
本当に記憶にないんだよ。
水色でオールバックの奴なんて、見た事すらないんだよ。
覚えてないものは覚えてないんだから、そんな悲しそうな顔しないでくれ。
そして、誰か何か話してくれ。
空気が重い。
「……これで、分かるか?」
そう言うと、その男の後ろから、何かがゆっくりと出てきた。
青色で、うねうね動く1mほどの物体。
どこかで見たことがある。
そうだ、確かあれは学園試験の日。
まさか……。
「……もしかして、ムクゲ…………か?」
「思い出したか、クソ野郎」
ムクゲって……まじかよ。
ムクゲ……誰だっけ?




