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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
29/120

いくら何でも、この時代に果たし状は古すぎると思う。②

【果たし状!】


 学園生徒のコウキよ。

 君の大切な女は俺たちが預かった。

 返してほしくば、裏路地のゴミ処理場に来い。

 

 秘密の集団より。



 ……なるほど。


 ……いや、古いわ!

 果たし状って、いつの時代だよ。

 今の時代果たし状を書く奴なんて、いないぞ。

 ヤンキー系漫画ならともかく、現実で書くやつは0人だ。

 一体いつの時代の奴なんだよ。


 そもそもとして、この世界で果たし状なんて存在したのか。

 この世界の雰囲気と果たし状って、合わなすぎるだろ。

 洋食だらけの食卓の中に、一つだけ和食が混じってるような違和感がある。


 ……しかし、大切な女を預かったって、どういう事だ?

 俺には彼女とか、好きな人とかの、大切な女はいないはずだ。

 当然、いない女を預かるなんて、出来ない。

 もしかしたら、送り主は何か勘違いしているのかもしれないな。


 というか、送り主は誰だよ。

 果たし状を送ってくるような知り合いは、俺には存在しない。


 ……となると、陽キャの悪戯か。

 この世界では、陰キャに悪戯するタイプの陽キャとは、大抵関わらないようにしていた。

 それなのに、悪戯の的とされるとは。

 どこかで反感を買ってしまったのか、それとも関わっていないからか。

 まあ、気にせずに帰ることにするか。

 

 そう思い、一応果たし状をポケットの中に入れ、靴に履き替える。

 何やかんや考えていせいで、いつの間にかほとんど夜に差し掛かっていた。

 心の中で、果たし状を書いた陽キャに文句を言いつつ、宿へと帰り始める。


 いつもより帰り時間が遅いこともあって、少し早歩きで帰ったからか、すぐに酒場へ帰ることが出来た。

 いつも通り静かに扉を開け、酒場へ入ると、酒場内は客の声で賑わっていた。

 いつも以上の活気に、多少圧倒されていると、キッチンの外から出てきたお姉さんが、元気よく出迎えてくれた。


「おかえり、ユリちゃん!……って、光輝かい。おかえり光輝!」


「あ、はい。……ただいま、お姉さん」


「ユリは一緒じゃないんだね。てっきり一緒だと思ってたけど」


「え、ユリはまだ帰ってないんですか?」


「うん。いつもなら帰ってきてる時間なのに、まだ帰ってなくてね。さすがに心配だな。ユリちゃんは女の子の訳だしね」


 少し変だな。

 ユリは俺よりも早く学園を出たはずだし、まだ着いてないのはおかしい。

 寄り道した可能性もあるけど、寄り道したとしても、もう着いているはずだ。

 それに、真面目なユリが、お姉さんに何も言わずこんなに遅くなるはずがない。

 もしかして、何かあったのか?


 そう考えていると、酒場に誰かが入ってきた。

 ユリかと思い、すぐに振り向くと、そこには少し怒った顔をしているカンナが、腕を組んで立っていた。

 

「あれ、カンナさん。ど、どうしたの?」


 そう聞くと、カンナは俺の両肩を掴んで、一気に話し始めた。


「あ、コウキ!ちょっとユリに文句を言いに来てね。聞いてくれる?学園から帰っている時、ユリがトイレに行きたがってね、トイレに行く間、うちは近くの店で、待ってることにしたんよ!それでさ、数十分待っても来なくて、トイレに見に行ったら、ユリはもういなかったんだよ!うちに何も言わずに帰ったんよ!?さすがにガツンと言ってやろうと思ってね!……さて、ユリはどこにいるの?」


「……それが、まだ帰ってきてないみたいなんです」 


「……あー、なるほど!……え、まだ帰ってないの!?なんで!?」


 なんでって聞きたいのは俺たちの方だ。

 だが、カンナのお陰で、分かったことがある。

 どうやらユリは、トイレに行った後、行方不明になったようだ。

 問題は一体どこへ行ったのかだが……。


 全く見当がつかない。

 そもそもとして、ユリがカンナに何も言わずいなくなるなんて、ありえない。

 そう考えると、何かがあった事には間違いないと思う、

 もしかして、誰かに捕まってたりして……。

 

 そう思った時、一つの考えが浮かんだ。

 そして、ポケットの中を探り、一枚の紙を取り出す。

 

 果たし状の中には、大切な女を預かったと書いてあった。

 この果たし状が、本物の果たし状だったとする。

 そうだとしたら、この女を預かったってのも、本当だってことになるよな。

 もし、よく一緒にいるユリを、俺の彼女や、好きな人だと勘違いして、連れ去ったとしたら……。

 

 そう思った直後。

 俺は扉を全力で開け、一気に走り出した。

 

「……え、ちょ、コウキ!?急に走り出して、どこ行くの!」


「も、もしかしたら、ユリの居場所が分かったかも!」


 もし、この果たし状が本物なら、急がないと。

 今頃、ユリが大変な目に合ってるかもしれない。

 頼む、無事でいてくれ!


 そう願いながら、数分間走ったところで、俺は足を止めた。

 ここでやっと、重要な事に気づいたのだ。


 ……そもそもとして、裏路地のゴミ処理場ってどこだよ。

 俺はすぐに後ろを向き、酒場へと駆け出した。


 


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