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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
28/120

いくら何でも、この時代に果たし状は古すぎると思う。①

「なんで……何でここに先生が?」


「……馬鹿か、貴様ら?」


『え?』


「貴様らは私の話を聞いてなかったのか?マップで禁止と書かれている所には、立ち入ってはならないと、話があったじゃないか。貴様らは一体何をしているんだ?」


「……え、いや……すみません。……あ、先生、後ろ!」


 先生が俺たちに話しかけていると、二体のグレイムが、頑丈な腕を振り下ろそうとしているのが見えた。

 先生に知らせようと、声を上げるが、少し遅かったらしい。

 グレイムの腕はすぐに振り下ろされ、先生の頭に直撃した。

 が、先生は気に留めることなく、話を続ける。


「良いか、私たちが禁止エリアを作ったのは、貴様らを守る為なんだ。別に貴様らを過小評価しているわけじゃないが、禁止エリアにいるモンスターはどれも強く、貴様らじゃ敵わない。だから私たちは……」

 

「え、いや、ちょっと待ってください!……今、頭殴られましたよね?」


「それがどうした?話をそらそうとするな!そもそもだな……」


 先生が話を続けていると、今度はグレイムは連続で殴り始めた。

 何度も何度も殴り続けるが、やはり先生が気に留める様子はない。

 ダメージが入っている様子も全くない。

 目の前で起こっている、衝撃的な状況に、唖然としていると、先生は大きなため息をついた。


「……全く、話を聞いていないようだな。説教は上に戻ってからにしよう。とりあえずダンジョンを出るぞ」


 そう言って、先生が剣を取り出した次の瞬間。

 二体のグレイムが、腕ごと真っ二つに割れ、倒れこんだ。

 

 ……いや、え?

 今、何が起こったんだ?

 ロメリア先生が剣を取った瞬間。

 突然、グレイムが真っ二つに割れた。

 ただ、剣を抜いただけで、剣を振るどころか、動かしてすらいない。

 それなのに、グレイムは倒れている。

 状況からして、ロメリア先生がやった事に間違いはないが、一体何をしたというんだ。

 俺たちが困惑していると、先生が注意してくる。


「何をしている。さっさと行くぞ!」


『は、はい!』


 俺たちはそう答え、急ぎ足で先生について行く。

 先生が導いてくれたおかげか、すぐにダンジョンから出ることが出来き、学園に戻ることが出来た。

 そして、いろいろあったが、生きて帰ってこれて良かった!と、皆で少し浸っていたら。


 先生にめちゃくちゃ怒られた。

 何で禁止エリアに入ったのかとか。

 何ですぐに逃げようとしなかったのかとか。

 泣きそうになるまで、とことん説教された。

 結局、説教が終わるころには夕方に差し掛かっていた。


「……はあ、とりあえず今言ったことを忘れないように!分かったか!」


『はい……分かりました……』


「なら、よし!それじゃあ、グリシア生徒とコウキ生徒は、授業の後片付けを手伝うように!」


「はい……え、何でですか?」


「話を聞いた所、一番悪いのはグリシア生徒で、次に悪いのはコウキ生徒だからだ!分かったら、そこの道具を片付けるのを手伝え!」 


 次に悪いのはって……。

 確かに消去法で行けば、次に悪いのは俺なのかもしれないよ。

 確かにあの時、グリシアを助けに行く前に、先生たちに連絡を取るのが一番良かったかもしれないよ。

 だけど、そこまで悪いことしてないやん。

 何で俺まで手伝わないといけないんだよ。


 なんてことを思いながらも、口には出さず片づけを始めた。

 ここで文句を言って、怒られるのは怖いしな。

 

 そして、ほとんどの物を片付け終わり、片付けが終盤に差し掛かった頃。

 ずっと黙っていたグリシアが、突然話しかけてきた。


「……あの、コウキ、一つ良いですか?」


「……え、あ…………はい」


 一体何の話だろうか。

 もしかして、ダンジョンで戦いに入った事怒ってるのかな。

 それとも、モンスターを殺せなかった事に怒ってるのかな。

 それとも、それとも、別の何かで怒ってるのかな。

 いずれにしろ、怒っているのに間違いはないと思う。


「……その、すみませんでした!」


 そう言って、グリシアは頭を下げてきた。

 想像の斜め上を行く言葉に、一瞬完全に思考が止まってしまった。


 すみませんでした!って、あのすみませんでした!だよな。

 あの、人に謝るすみませんでした!だよな。

 え、なんで俺に謝るんだ?

 怒るんじゃないのか?


「……私は、焦りすぎてました。そのせいで、みんなを危険にさらしてしまって、コウキにもひどい事を言ってしまいました。…………謝って、許されることじゃないのは分かっています。それでも、すみません!」


 そう言いながら、グレシアはさらに深々と頭を下げてきた。

 

「いやいや、謝らなくていいよ!…………その……俺も悪かったし……それに、失敗は誰にでもあるよ。……困った時はお互い様だしさ!」


「……でも…………」


「じゃあ、俺が困った時。……その時に、助けてくれれば、それで良いよ!それで、お相子!……これで、良いよね、グリシアさん?」


「……はい、本当に今日はすみませんでした。……それと、グリシアで良いです。さん付けして呼ばれるのは、嫌なので」


「……え、分かったよ……グリシア…………そ、それじゃあ、片付け終わらせちゃおっか!」


 それだけ言って、俺は片づけを続けた。

 

 多分、グリシアにもいろいろ考えがあったんだろうな。

 禁止の部屋に入ったことは良くなかったと思うけど、

 そうまでして早く冒険者になりたい、理由があったんだろう。

 良くない事をしたのは確かだけど、少しグリシアの事を悪く思いすぎたかもな。

 

 そんなこんなで、俺たちは片付けの手伝いを終えた。

 思った以上に時間が掛かったが、夜になる前に終わってよかった。


「よし、それじゃあ、グリシア生徒と、コウキ生徒。二人とも帰って良いぞ。しっかり反省するようにな!」


「……それじゃあ、私は行くね」


「え、あ……はい。それじゃあ、また明日……ね」


 そうして、グリシアはそそくさと歩いて行った。

 それを見送ってから、俺もゆっくり歩き始める。


 何というか、怒涛の一日だったな。

 初めてモンスターを目にして、モンスターの怖さを知った。 

 その後すぐに、ダンジョンに潜って、初めてモンスターと戦かった。

 自分の中で、一応答えは出せたし、勇気をもって、強大なモンスターに立ち向かう事も出来た。

 

 悩んだり、死にかけたり、いろいろ大変な事もあった。

 だけどまあ、終わり良ければ全て良しだ!


 そんな事を考えながら歩いていると、すぐに学園の下駄箱に到着した。

 俺はいつもの様に、自分の下駄箱に行き、靴を取ろうと下駄箱を上げた。

 するとそこには、普段はない、何かが置かれていた。


 これは……手紙か?

 一体何でこんな物が俺の下駄箱に……は!

 まさか……ラブレター!?

 いや、俺にラブレターを書く人なんていないか。

 

 ……いや、でも、もしかしたら、奇跡的に俺の事が気になって、ラブレターを書いた人がいるかもしれない。 

 多分そんな事はないと思うけど、もしかしたら!奇跡的に!あるかもしれない!


 そう思い、期待を膨らませながら手紙を開けてみた。

 そこには、まず大きな文字でこう書かれていた。


 【果たし状!】と。

 いや、果たし状って、どういう事やねん。

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