表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
24/120

コミュ症は実際にモンスターと戦う事になっても、ゲームの様に殺すことは出来ない。③

あけおめ!

という事で、新年ですね!

去年良い事だらけだった人も、悪い事だらけだった人も、今年は良い年になるよう祈っております!

それでは、本編どうぞ!

「え、コウキ、モンスターと戦うの初めてなの?」

 

 俺がモンスターと初めて戦うと言うと、

 驚いたような声で、カンナはそう聞いてきた。


「え、そ、そうですけど。……なんか駄目でしたか?」


「いや、駄目じゃないけど、珍しいと思ってさ。……そうだな、こっちのゴレムはコウキ一人で戦ってみない?やばくなったら、うちが助けるからさ。初めての戦いは自分一人で戦いたいもんね!うん、そうだね、そうしよう!」


「え……いや…………でも」


「そうしよう!」


「……はい」 

 

 カンナの勢いに押され、断ることが出来なかった。

 

 ……どうしよう。

 カンナも一緒に戦うと思っていたから、少し気持ちが楽だった部分もあった。

 カンナが一緒に戦ってくれるだけで、負けない事はもちろん、少しのケガを負うことなく勝てるからな。


 だが、一人で戦うとなると話は一気に変わってくる。

 俺は戦いがそこまで強くない上に、モンスターと戦った事がない。

 どうしよう、不安が一気に蘇ってきた。 

 やっぱり訂正して、一緒に戦ってもらおうか。


 しかし、そう思った時には、もう遅かった。

 突然、後ろにいたカンナが背中を押して、俺を一体のゴレムの前ヘ押し出した。


「……え、カンナさん、何を!?」


「何って、緊張してたみたいだし、背中を押してあげただけだよ。大丈夫、頑張れ!」


 小さな親切、大きなお世話過ぎる。

 背中を押してあげただげって、こういうのは実際に背中を押すもんじゃないだろ。

 

 だが、出てしまったものは仕方がない。

 こうなったら、入学試験の時のように、やれるだけやってみよう。

 不意打ちも考えていたが、ゴレムこっちガン見してるし、

 普通にばれてるし無理だよな。


 ダンジョン内には松明しか光源がないせいで、使える影も限られてくる。

 入学試験や、実技テストで作った超巨大なシャドウハンマーは恐らく作れない。

 となると、それ以外で小さく、一番火力がある武器。


 何かないか、それ相応の火力があり、この場で作れる武器……。

 数秒間考えたのち、一つの武器が思い浮かんだ。

  

「…………あ、そうだ。…………影」


 そう呟いた瞬間。

 松明で作られた影が、少しずつ形作っていく。

 そして、物の数秒で完全に変化した。

 それは、剣の様に鋭くなく、槍の様に長くもない。

 弓の様な遠距離武器でもなければ、ハンマーの様に大きくない。


 その武器の名は、棍棒。

 ゲームなどで時々見る、打撃武器だ。

 今の影で作れる大きさで、火力も十分にある。

 これなら、行けるかもしれない。

 

 棍棒を作った俺は、さっきから俺の方を見ていたゴレムの方をしっかり向き、下手くそなりに戦闘態勢を整える。

 それを見たゴレムも、両手を前に出し、戦闘態勢に入った。

 

 少しの間、二人の間に静寂な時間が流れたのち、ゴレムが先に動き出した。

 ゴレムは両手を真っ直ぐに上げ、俺へ殴り掛かってきた。

 それをギリギリの所で避けたのち、持っていた棍棒を大きく振り上げ、勢いづけて全力で振り下ろした。

 棍棒が直撃したゴレムは少しの間、ふらふら歩いたのち、それなりに大きな音を立て倒れこんだ。

 警戒しながら、近くに寄ってみるが、ゴレムが動く気配はない。


「……た、倒せたのか?」


「モンスター初討伐、おめでっとうー!」


 そう言いながら、カンナが後ろから飛びついてきた。

 その勢いに押され、俺は顔から倒れこんだ。

 普通に痛い。


「あ、ありがとう、カンナさん。何とか勝てたよ」


「いやー、流石コウキ!うちが初めて戦った時は、随分手こずったのに、こんなに簡単に倒せるとは。うちが見込んだだけはあるな!」


「そっちも倒せたみたいだね!」


 俺たちがそんなやり取りをしていると、後ろからユリたちが歩いてきた。

 その様子から見るに、ユリたちもゴレムを倒し終えたようだ。


「うん、なんとか。……そ、そっちも倒せたみたいで何よりだよ」


「まあ、弱いモンスターだったですし、これくらいは……。あれ、まだ止めは刺していないんですね。早く止めを刺して、先に進みましょう」


「え、あ、はい」


 そう答え、俺は倒れているゴレムの方へと近づいて行く。

 ゴレムは動く気配はないが、水色の石が少し光っている所を見ると、恐らくまだ生きている。


 ……流れで、はいって言っちゃったけど、止めを刺すって殺すって事だよな。

 以前、授業でやっていたが、基本的に倒したモンスターには止めを刺さなくてはならない。

 理由は、倒したモンスターが、倒された恨みで人間を執拗に襲う可能性があるかららしい。

 ここまでやったんだし、授業で言っていたように、殺さないといけないというのは分かる。

 

 しかし……きついな。

 いくら殺さないといけないとしても、やはり殺したくない。

 ゴレムは岩の見た目をしていて、普通の生き物を殺すよりかは、気は楽だろう。

 だが、嫌な物は嫌だ。

 いくらこの世界の常識だからと言っても、平和な日本で育ち、殺しを全くした事がない、ただの高校生だった奴が、殺せるわけがない。

 

 ……でも、殺さないとだよな。

 それがこの世界の常識だし、この先、冒険者になるって事は、何度もモンスターと戦う事になる。

 その事を考えると、今から慣れておかないといけないもんな。


 俺は覚悟を決め、倒れたゴレムの目の前に立った。

 そして、棍棒を振り上げ、ゴレムを殺そうと、棍棒を振り下ろそうとする。


 しかし、棍棒を振り上げたまま、振り下ろすことが出来ない。

 頭では振り下ろそうとしているが、体が言う事を聞かない。

 そんな時。ユリが、俺の腕を掴んだ。


「おちついて、コウキくん。無理しなくていいよ。ごめん、配慮が足りなかったよ。モンスターを殺すのも初めてだったんだね。無理して殺さなくていいよ、校長先生がさっき言っていた通り、ゆっくり慣れて行けばいいよ。今はまだ殺せなくてもいいよ」


「え、いや、でも……」


「ユリの言う通りだよ。うちも考えが足りなかったわ。モンスターと戦った事がないなら、殺した事もないに決まってるわな。うちも最初は殺せなかったし、ゆっくりで良いと思うよ」


「二人とも……」


 ……やばい、なんか泣きそうになってきた。

 そうだよな……ゆっくり慣れていけば……。


 ……本当にそれで良いのだろうか。

 モンスターに対しては少しずつ慣れていき、殺すのにも少しずつ慣れていく。

 少しずつ、少しずつで良いのだろうか。

 あの日、俺は自分を変えると決めたじゃないか。

 全部先延ばしにしていたら、前と変わらないんじゃないのか?

 

 かと言って、殺したくないのは事実だ。

 こんなに簡単に命を奪って良い訳がない。

 だけど、この世界ではそれが常識らしいし……。


 様々な考えが巡り、永遠とも思える時間考え込んでいると、

 さっきまで黙っていたグリシアが、ゆっくりと話し始めた。


「……いや、無理ですよ。ここで殺せないんじゃ、一生殺せません。これは私の知っている中では、そうやって少しずつ慣れようとして、最終的にモンスターを殺せるようになった人はいません。子供ならともかく、その歳で殺せるようになるのは不可能ですよ。人はそう簡単には変われませんからね。本当に殺せないのなら、あなたは学園をやめた方が良い。冒険者は向いてませんよ」


「……少し言い過ぎじゃない?グリシアさん、コウキくんの気持ちも考えてよ」


「そうだよ!そんなに強い言葉を使うなら、コウキじゃなくてうちに伝えな!」


「…………いや、グリシアの言う通りだよ」


 凄い直接的な言葉で言って来たが、全て事実だ。

 反論の余地がない。


 確かにここで殺せなければ、きっと一生言い訳を並べて、モンスターを殺すことはないだろう。

 そうなれば、モンスターを殺すことになる冒険者は向いてない。

 この学園も、やめるべきなのかもしれない。

 だが、俺は学園が好きだし、絶対にやめたくない。

 前世で夢見たことがあった、冒険者にもなりたい。 


 ……一体どうすれば良いんだ。

 俺はどうするのが正解なんだ。

 考えすぎて、頭の中がこんがらがってきた。


「……まあ、いいですよ。このゴレムは私が仕留めておくんで、先に進んじゃいましょう。時間もないですしね」


 それだけ言うと、グリシアはゴレムを仕留め、すぐに道なりに進んで行った。

 俺たちは何も言う事なく、グリシアについて行く。

少し重めの話になってしまいましたね。

しかし、一応必要な話ですので、まあ、しゃーない。

次回は、初めての強敵現る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ