コミュ症は実際にモンスターと戦う事になっても、ゲームの様に殺すことは出来ない。①
本当にやめてほしい。
先生は生徒同士にグループを組ませるのは、どれだけ酷いことなのか理解していないのだろうか。
一人余った人の気持ちや、知らない人と組まされた人の気持ち。
それが分からないのだろうか。
そんな事を思っていても、校長先生は話を続ける。
「良いか、今から君たちには作ったチーム毎に、学園が独自に作ったモンスターダンジョンに入ってもらう。このダンジョンには、私たちが飼育したモンスターが生存しているのだが、その中で数体のモンスターを討伐してもらう。先程のゴブリンほどの強さも、知性もないから安心して戦いに勤しんでくれ」
あのゴブリン程強くないのか。それなら良かった。
流石にあのゴブリンと同レベルの、化け物とは戦えないからな。
恐らくだが、先生たちも俺たちの事を考えているだろうし、俺達でも余裕で倒せるくらいのモンスターばかりだろう。
というか、そうじゃないと困る。
それにしてもダンジョンか。
この世界にはダンジョンが存在したんだな。
モンスターがいるんだし、あってもおかしくはないと思っていたが、実際あると聞くと、RPGの世界に来た気分になってくる。
なんか良いな。
「これよりダンジョン内のマップを配る。そのマップを見ながら、自分たちのレベルにあったモンスターを討伐してくれ。チームで10体のモンスターを討伐し、ここに戻ってくるように。それと、マップで危険と書かれている所には、君たちでは敵わないモンスターがいる所なので、近づかないように。……それでは、チーム作りを始めてくれ。チームを作り終えたら、私の所へダンジョン入場の許可を貰いに来るように!」
校長先生の合図を境に、他のクラスメイトがチームメイト探しを始めた。
なるほどな。
随分とシンプルな説明だったな。
つまりはダンジョンのモンスターを倒すだけか。
聞いた感じは簡単そうだが、さっきのゴブリンを見ちゃうとな……。
まあ、ゴブリン程ではないと言っていたし、大丈夫か。
……さて、どうするか。
4人チームを作れと言われてもな。
コミュ症にはグループを作るのは難しすぎる。
さらに今回は、入学試験の時とは違って、クラスメイトの中でチームを作らないとならない。
クラスメイトという事は、クラス内で仲のいい人たちは、すぐにくっ付いてチームを作るだろう。
そうなれば、すぐに一人余るのは目に見えてる。
結果的に話した事のない人たちのチームに入ることになるだろうが、ハッキリ言って生き地獄。
チームに入った後の、あの何とも言えない雰囲気。
あの気を使って色々と話しかけてもらう、もしくは完全にいないように扱われるあの気持ち。
それがクラスメイトってのもな……。
考えるだけでも、最悪な気持ちになってくる。
しかし、一緒になってくれる友達もいないしな。
……まじで、どうしよう。
と、俺が途方に暮れている時。
一人の知り合いが、話しかけてきてくれた。
「……さて、うち、ユリ、コウキで3人だけど、あと一人はどうする?」
「……あ、カンナさん。…………え、俺とカンナさんとユリ?」
「うん、そだよ。……あ、もしかして組む相手決めてたりした?それなら、他の人誘うよー」
「い、いや、別に、決めてないよ。…………え、俺なんかで良いの?」
「え、別に良いけど?だって友達やろ」
そう言って、カンナはニコッと笑った。
カンナ……いや、カンナ様!
まさか、誘われるなんて、思ってもいなかった。
てっきり二人は他の女友達と組むと思っていた。
しかし、俺と組むつもりでいてくれたとは。
きっと、俺が組む相手がいないと思って、組んでくれたんだろうな。
二人とも優しすぎかよ。最高かよ。
良かった、とりあえずこれで救われた。
「で、もう一人どうする?二人とも、一緒にやりたい人とかいる?」
「あ、俺は特にはいない……です」
「私も特にいないかな」
「そっか、それじゃ……」
「あの、それなら私を入れてもらえませんか?」
カンナの言葉を遮った声がした方も見ると、そこには一人の女が立っていた。
黒色でショートの髪をしている、絵に書いたような美少女。
その顔を見て、俺はすぐに思い出した。
学園入学初日。
俺が話しかけただけで、毒舌で話しかけるなと言って来た女。
俺にちょっとしたトラウマを植え付けた、隣の席の女だ。
少し話した程度だが、すでに苦手だ。
そんな事を思っていると、ユリがすぐに返事をした。
「全然いいよ!……えっと、名前は?」
「私はグリシアです。よろしくお願いします」
「グリシアさん、よろしく!私はユリ、こっちがカンナで、彼がコウキ」
「よろしくな、グリシア!さて、チームも出来た事だし。少し準備をして、ダンジョンに入ろうか!」
と、本当にあっさり黒髪の女、グリシアがチームに入り、俺の入る4人チームが決定した。
個人的にグリシアの事が苦手だから、何とも言えない気分だが、仕方がないか。
チームに入れただけ良しとしよう。
そんな事を考えながら、持ち物の整理や、準備運動。
そして、力の調節を行い、準備を終えると、俺たちはダンジョンへ入る許可を貰うため、校長先生に話しかけに行く。
「……よし、ユリ、カンナ、コウキ、グリシア。以上4名を第5チームとして、ダンジョンへ入る事を許可する。ダンジョンは危険が伴うため、マップを見ながら、気を付けて進むように。それでは、健闘を祈る!」
「……よし、それじゃあ、行こっか!」
校長先生に許可を取った俺たちは、カンナを先頭にして、ダンジョンへと足を進めた。
ダンジョンか。一体どんな所なんだろうか。
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