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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
15/120

新学期に新しい友達を作るのは、コミュ症には難しい。③

 隣の席に座ったのは、黒色でショートの髪をしている女だった。

 ユリたちと同じくらい綺麗で、少しクールっぽさもある、絵に描いたような美少女。

 本当に顔面偏差値のバグった世界だな。

 美少女だらけだ。


 彼女は席に座り、荷物を置くと、窓の外を静かに見始めた。

 集まっている女子たちの中に、混ざりに行くこともなく、一人で窓を見て座るという行動。

 そして、どことなく漂う、この雰囲気。

 何となくだが、分かる。

 この女は、俺と同じタイプの人間だ。

 つまりは陰キャだろう。


 ……この人になら、話しかけられるか?

 俺にとって、女子に自ら話しかける事は、強風が吹く中でトランプタワーを十段積むのと同じくらい難しい。


 だが、彼女は俺と同じ陰キャである。

 前世では陰キャの女子になら、大変ではあったが、一応話しかけることは出来た。 

 出来た理由は、同じ陰キャだからとか、怖さが薄いからとか色々あると思うが、実際の所は分からない。

 理由は分からないが、前世の俺でも話しかけられたんだ。

 今の俺なら、より簡単に話しかける事が出来るはずだ。


 なにより、ここで今一人の彼女に話しかける以外、俺に選択肢は残されていない。

 周りの一人でいた人たちも、グループに入って行き、一人の人たちがほとんどいなくなっている。

 もし、ここで話しかけなければ、彼女もグループに入り、本当にボッチになってしまう。

 それは何としても避けなければならない。


 俺は覚悟を決め、体を少し左へ動かす。

 そして、拒否反応を起こす体を無理やり従えながら、言葉を放つ。


「えっと……こんにちは。…………俺は光輝って……言います」


 よし、言えたぞ!

 これはここ数日間で考えた、初対面の人への話しかけ方だ。

 下手くそかもしれないが、これが俺の今の全力だ。


 そして、この後どう返されてもいいように、返答も出来る限り考えてきた。

 準備に関しては、とことんしてきたんだ。

 さあ、どう来る?


 そう思い、俺は身構えた。

 が、彼女が何かを言ったり、俺の方を見たりする気配は微塵もない。

 聞こえなかったのかもしれないと思い、もう一度話しかけようと、口を開く。


「……あ、あの…………俺は光輝って…………」


「はあー……聞こえてるよ」


 俺が話しきる前に、彼女は俺の言葉を遮った。

 どうやら一回目に話しかけた時に、聞こえていたようだ。


「そ、そうだったんだ…………その、き、君の名前は……」


 そう聞くと、彼女はゆっくりと俺の方を向いた。

 その顔はさっき見た時と違い、とても嫌な顔をしているように見える。

 何かしてしまったのだろうか。


「……あのさ、一回目で返事がなかったんだから、分からないの?私はあなたと話したくないの。話しをする友達が欲しいなら、他の人に話しかけてくれる?私は一人が良いから、こうしているの。あなたみたいに友達が欲しいけど、あそこで話している人たちに話しかけられないから、一人でいるわけじゃないの。分かったらこっち向くのやめてくれる?」


 ものすごい早口で、それだけ話すと彼女はまた窓の外を見始めた。

 その話を聞き、俺は何も話すことなく、体の向きを変え、机に肘をついた。


 ……なんかごめんなさい。

 なんか良く分からないけど、ごめんなさい。

 話しかけただけだが、どうやら癇に障ってしまったようだ。

 ものすごい早口で、怒られた。


 やばい、この世界に来て、良い人にしか会ってなかった分、ショックが大きい。

 それに、美少女に言われたのも、精神的に来る。

 もう立ち直れないほどのダメージを心に負ってしまった……。

 結局、誰かに話しかける事も、話しかけられることもなく、時間は無慈悲に過ぎさって行った。 


 そして、数分後。

 聞きなじみのある、学校のチャイムが鳴るとほぼ同時に、見覚えのある女性が、教室へ入ってきた。

 緑髪で腰に剣を差した、大人の女性。

 確かにどこかで見たことが……。


「……あ、試験官だ」


 そうだ、確か学園入学試験を仕切っていた人の中にいた。

 名前をロメリアとか言ったっけか。

 何で試験官がこんな所にいるんだ?

 

 そんなことを考えると、教卓の前に立ったロメリアが大きく口を開いた。


「おはよう、生徒諸君!私の名前はロメリア。このクラスを担当する、教師だ!これからしばらくの間、諸君らと一緒に過ごしていく。名前だけでも、覚えておいてくれ」


 担当する教師って……この人が担任なのか。

 話し方から察するに、学校に一人はいる、すぐ起こる怖い先生だろうな。 

 おそらくはハズレの先生だ。

 

「……さて、これから簡潔にこの後の動きを説明する。まずは、教室で校長先生の話を聞いてもらう。その後は、簡単なテストをしてもらい、その成績を発表してから、下校だ。何か質問はあるか?……ないなら、少し準備をするから、席について待っていろ!」


 それだけ言うと、ロメリア先生はまるい岩のようなものを教卓の上に置き、何やら作業をし始めた。

  

 入学式はないようだが、校長先生の話はあるのか。

 やっぱり校長先生の話があるのは、全世界共通なんだな。

 それに、テストもあるのか。


 ……うん、まずいね。

 テストって、テストだよな。

 この世界についてはまだ知らないことだらけだ。

 そんな状態で、何が出るかすら分からないテストを受けるって……赤点ってレベルじゃないぞ。

 学園入学初日に、いきなり試練だらけだな。

 そんなことを思っていると、教卓上の岩が光りだし、空中に映像の様な何かが映し出された。

 

 なにあれ、凄い!

 空中に映し出されてるし、機械から出てるわけじゃなく、岩から出てるし。

 不思議過ぎる。


「これから、校長先生の話が始まる!真面目に聞くように!」

 

 ついに校長の話が始まるようだ。

 校長先生か、一体どんな人なんだろうか。 




校長先生の話って、長いよね。


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