女子と二人っきりの買い物は、デートと言っても過言ではないのではないだろうか。②
楽しく順調に買い物をしていき、
気づくと夕方に差し掛かっていた。
「さて、大体の物は買い終わったかな。コウキくんは他に買うものとかある?」
「いえ、特にないです」
「なら、そろそろ帰ろうか」
そう言うと、ユリは帰ろうと、歩き始めた。
途轍もなく楽しい一日だった。
女子と出かけるのは、こんなにも楽しいものだったとはな……。
こんなことなら、前世でも女子と出かけていれば良かったな。
まあ、話せる女子が全然いないし、それは無理か……。
そんなことを思っていた時。
ふと一つ、疑問に思った。
今じゃないと聞けないだろうし、聞いてみるか。
「あの……ユリさん。一つ聞きたいんですけど………なんで昨日会ったばかりの俺なんかに、ここまで良くしてくれるんですか?」
俺とユリは昨日で会ったばっかりだ。
それなのにも関わらず、俺に泊まる所を教えてくれて、買い物にまで付き合ってくれた。
普通の人ならここまではしてくれない。
一体どうして、ここまで俺に優しくしてくれたんだろうか。
ユリは少し考え込むと、ゆっくりと答えた。
「どうしてか……。多分私とコウキくんが似てたからかな」
「俺とユリさんが……似てた?」
俺とユリが似てるとは、全く思えないんだが。
性格は正反対だろうし、身体能力とかも、全く違う。
うん、似ている要素が全くない。
「私も遠くからこの街に来たって言ったよね。その時の私は右も左も分からない状況でさ、ただただどうしようもなくて、途方に暮れてたんだよね。そんな時にある人に出会ったんだ」
「ある人?」
「うん、コウキくんも知ってる、酒場のお姉さん。困ってたのが分かったのか、話しかけてきてくれてね。それから宿を提供してくれたり、街の事を教えてくれたり、いろいろしてくれたんだ!そのお陰で私は救われて、今こうして元気に過ごせてるの」
「そうだったんですか。お姉さんが……」
昨日一度話しただけでも、なんとなく良い人なんだろうなとは思ったが、やっぱり凄い良い人だったんだな。
困っている人がいたとして、実際に手を差し伸べられるのは、ほんの一握りの人間だけだ。
基本的には大丈夫かな?心配だな……。と思ったとしても、手を差し伸べることはなく、ただ遠くで見ているだけ。
そんな中で手を差し伸べるのは、本当の善人くらいだ。
つまり、お姉さんは一握りの善人なんだろうな。
そんなことを思っていると、ユリはまた話を続けていった。
「それでね、コウキくんを見てて思ったんだ。コウキくんも、私と同じでどうしようもなく困ってるんじゃないかなって。だからお姉さんのように、私が助けないとって思ってさ。んー、上手くまとまんないけど、こんな感じかな」
「ありがとうございました。……ユリさんもこの街に来て、大変な思いをしたんですね」
「まあ、過去の話よ。あ、私からも一ついいかな?」
「え、いいですけど……」
俺がそう答えると、ユリは体を俺の方に向けた。
そして、注意するような姿勢を取り、話し出した。
「私たちはもう友達なんだから、敬語は無しで!タメ口で話して!分かった?」
「え、わ、分かった」
「うん、よろしい!それじゃあ、帰ろうか」
そう言って、ユリは笑顔になると、ゆっくりと歩き出した。
その後を追い、俺もゆっくりと歩き出す。
……何、今の笑顔。凄く可愛いかった。
それにしてもユリも、大変な思いをしてきたんだな。
お姉さんも、やっぱり凄く良い人だった。
この世界の人は、本当に良い人ばっかりだ。
俺にやさしくしてくれた理由も知れたし、
いろいろと知れて良かったな。
そんなことを思いながら歩いていると、すぐに宿であるお姉さんの酒場に着いてしまった。
「いやー、いろいろ話してたら、もう着いちゃったね!コウキくんのお陰で、楽しい時間を過ごせたよ!」
「い、いや、俺こそ楽しかったよ。いろいろと教えてくれて、ありがとうね」
そんなことを話しながら、店に入ると、
ユリは止まって、言葉を放った。
「もう、気にしないでいいって!あ、私はこれから店の手伝いするから、ここで!」
「分かった。それじゃあ、今日はありがとうね。ま、またね!」
「うん、またね!」
それだけ言うと、ユリは何かの準備を始めた。
それを見てから、俺は階段を上がり始めた。
今日は楽しい時間を過ごしながら、いろいろな物を買うことができたな。
学園に必要な物もそろったし、衣類とかの生活に必要な物も買うことができた。
学園入学まで、あと数日ある。
入学までに、影の力を極めておかないとだし、この世界の事ももっと知っておかないとだな。
それに、俺には学園生活を送るうえで、
一番大切な者が、友達が足りない。
確かにアリウムやユリ、カンナたちは友達だが、アリウムは落ちちゃったし、ユリとカンナだけじゃ、少し不安だ。
そうだな、次の目標は学園で友達を作るだな。
そうと決まれば、目標目指して頑張るか。
そう決心して、俺は部屋へと戻った。
それから数日後。
ついに、学園に入学する日が来た。
これから、俺の、加藤光輝の学園生活が始めるんだ。
次回、誰もが一度は経験したであろう、
今後の学園生活を掛けた戦いが、始まる。




