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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
仮冒険者編
118/120

コミュ症は最悪な師匠に当たってしまった事を再び後悔する。①

「あああああああああああ!死ぬううううううううううううう!」


 雲一つない、晴天のある日。

 俺は一人、岩一つもない荒野の中心を全力疾走していた。

 普段では絶対に出ない大声を全力で出しながら、ただ只管に走っていた。

 いや、よく考えたら一人ではない。

 何故なら、俺の後ろには俺を食べようと全力疾走する巨大な怪鳥の姿があったからだ。

 何故、荒野の中心で怪鳥に追い回されているのか。

 それは数時間前に遡る。




「あ……あれ……」


 目を覚ますと、そこは見慣れてきた騎士団本部の自室だった。

 怠い体を動かしながら、気を失う前の事を思い出す。


 そうだ……確か俺は……負けたのか。

 あの男に……太陽の男に……もう少しだった。

 前回と違って、攻撃が当たっていた。

 上手く動けていたし、影も操れていた。

 もう少しだった……あと一歩。

 あと一歩だけ……。


「……今更どうこう考えようが、結果は変わらねえぞ」


「……あ……えっと……ヒガンさん……」


「やっと起きたか。約一日は寝てたぞ。……ったく、よくもやってくれたな。何で応援を呼ばなかった?お前が勝手に戦って負けたせいで、せっかくの幹部を逃がしちまったじゃねえか」


「……はい」


 ぐうの音も出ない。

 ヒガンの言っている事は全て事実。

 俺があの時戦わず、応援を呼びながら隠れて後を付けていれば、全てが上手くいっていたはずだ。

 アーズリバイスの幹部を捕まえられ、アーズリバイス目的も判明。

 上手くいけば、アーズリバイス自体を潰せたかもしれない。

 そんなチャンスを俺は潰してしまった。

 これに関しては俺が完全に悪い。


「チッ……弱いなら変な事するんじゃねえよ。弱いなら他の奴らに全部任せれば良い物を」


「……はい」


「これだから弱い奴は嫌いなんだ。何かしたって、どうせ迷惑かけて死ぬだけなんだよ。弱いなら何もするなってんだよ」


「…………」


「何とか言ったらどうだよ、ガキが」


「………………勝ちますよ」


「……あ?」


 起きたばかりで、意識がしっかりとしていなかったからか。

 男に負けたことにより、様々な感情が入り交じっていたからか。

 シンプルに強い言葉の数々にムカついたからか。

 理由は分からないが、普段のコミュ症陰キャ状態ではあり得ない言葉を放つ。


「……勝ちますよ。……勝てばいいんですよね?勝って、あの男を捕まえれば良いんですよね?……良いですよ。俺が勝ちます。……俺があの男に勝って、俺が捕まえる。それですべて解決しますよね。……それで……それで良いんですよね!」


「…………」


「…………」


 ……ふう……やっちゃった。

 ムカついたからか、意識が完全状態じゃないからか分からないけど、言い返しちゃった。

 やばいよ。何も言わないよ。やばいよ。

 これ怒ってる奴だよな。絶対怒ってるよな。

 空気重いし、もう最悪だ。

 頼むから何か言ってくれ……。


「……はっ、少しは強い事も言えるんだな。このクソガキが!」


「あ……いや……そんな……」


「……言ったな?」


「……え」


「幹部を倒して捕まえるんだな?約束したからには絶対やれよ。じゃないと……ぶん殴るからな」


「……ひゃい」


 これは……セーフなのか?

 これはギリギリセーフなのか?

 見た感じ、凄い怒っているようには見えない。

 どちらかと言えば……少し喜んでいるように見える。

 いや、喜んでるってなんでだよ。

 そんな訳ないか、俺の見間違いだろう。

 

「……おい、ガキ。本当はお前なんかに鍛錬をつけるつもりは全くなかった。けどまあ、うちの団員達がどうしてもってお願いしてきてな。……仕方がないから、俺が鍛錬を付けてやる。どうせ、今のお前じゃ、お前の倒す幹部にも勝てないだろうしな」


「……え……鍛錬をですか……?……え……つけてくれるん……ですか?」


「まあ、まずはお前がどれだけやれるかを見てからだけどな。とりあえず、この地図にある場所に行ってこい。そこに生ってる巨大苺を盗んでくるんだ。俺はギャンブルしてるから、今日中に持って来いよ」


 ヒガンは地図を一枚落とすと、部屋を出て行った。

 動揺しながらも、地図に目をやる。

 地図を見るに、街近くの広大な荒野に、その苺は生えているようだ。

 特定の場所にしかできない苺であり、その美味しさはトップクラスと書かれている。

 苺を取るだけなら簡単な任務だ。


 最初はあんな人に教わりたくないと思っていたが、悪い人ではないとウラジロは言っていたし、強いのは事実。

 鍛錬をつけてくれるというのなら、有難く受けさせてもらおう。

 取りあえず、苺の一つくらいすぐに取ってきて、驚かせてやろう。



 そして、俺は苺を取るべく荒野へ向かった。

 荒野を進むと、一か所木々が集まっている空間が広がっており、そこに苺があるであろう事は明白だった。

 軽い気持ちで木々の中へ入り、それっぽい苺を手に取ると、すぐに街へ戻ろうと歩き始める。


 その時だった。

 木々の奥から巨大な怪鳥が現れた。

 少しして気が付いた事なのだが、そこは怪鳥の寝床だったらしい。

 当然、寝床を荒らされた怪鳥は怒って、俺に襲い掛かって来た。

 そして、そこから逃げ続けて今に至る。


 

 ……いや、先に言えや。

 地図には怪鳥なんて書いてなかったし、ヒガンも何も言ってなかったぞ。

 流石にこれに関しては文句言っても良いだろ。 

 苺がある所が怪鳥の寝床とか、情報何もなしで分かる訳ないだろ。


 畜生。超凶暴だし、滅茶苦茶大きいし、本気で殺しに来てるし、ハッキリ言って怖すぎる。

 出来る事なら何とか倒したいが、何もない荒野のせいで、操れる影がない。

 触れずに影は暴走せず操れるようになったが、自分の影はまだ暴走しないとは言い切れないし使えない。

 怪鳥の影を操るのも良いが、この状況で超追いかけてくる化け物の影を操るのは難しすぎる。

 ダチョウと似ているからか、羽があるのに飛ばないのがせめてもの救いだ。


 取りあえず、帰ったらヒガンに文句は言うとしてだ。

 この状況……本当にどうしよう。

今日はクリスマスですね。

当然、自分にはプレゼントはありません。皆さんはどうでしょうか?

プレゼントのない自分に、クリスマスプレゼントとして、ブクマ登録か評価してくださると幸いです。

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