コミュ症は個性的な騎士団にあっても、当然コミュ症を発揮する。①
「……その……ヒガンさん……も……そ……の……」
「……ちょっと黙れ」
「……ひゃい」
アリウムたちがこの場を去ってから、十数分は経った。
それでも、ヒガンは一向に動こうとはしない。
流石に不安になり、話しかけようとするが、恐怖ですぐに黙らされてしまう。
もう嫌だ。今すぐに担当の冒険者を変えてほしい。
「……おい、ガキ」
「へ……お、お、お……俺です……か?」
「そうだ。今、お前はいくら持っている?」
「え……一応……10000だけ……」
「よし、それならついて来い……さっさとしろ!」
言われるがままに、歩き出したヒガンへとついて行く。
道中の街並みは、他の街に比べて建物で溢れている。
建物はどれも頑丈そうで、そう簡単には傷一つつかなそうだ。
やはり最前線の街は一つ一つの建物も頑丈に作られているようだ。
しかし……無言の空間が辛い。
歩き始めてから、互いに一言も発していない。
何とか話を切り出したいが、怒られそうで怖い。
ヒガンの方から話しかけてくれないだろうか。
そう思った直後、ヒガンが口を開いた。
「おい、着いたぞ」
前方の建物に目をやると、そこには大きく「カジノ」と書かれていた。
カジノって、カジノの事だよな。
ギャンブルとか、そう言う事をしているカジノの事だよな。
この世界にもカジノがあったとは驚きだ。
他の街にはなかったから、そう言う物はないのかと思っていた。
「さて……金を出せ」
「……へ?」
「良いから出せ!」
「ひゃい!」
その鋭い目つきに怯えながら、財布から金を取り出し、手渡す。
ヒガンは不気味に笑うと、その金を片手にカジノへと入って行く。
怯えながらもその後をついて行くと、思わず俺は固まった。
カジノの中は至る所が黄金に輝いており、大量の人で賑わっている。
その眩しさに驚愕しながらも、遠ざかっていくヒガンの後を追って行く。
ヒガンに追いついたころには、ヒガンは席に着いており、何やらカードで対決をしている。
その状況から考えるに、ポーカーに似たゲームだろう。
「よし……これでどうだ!」
そう叫び、ヒガンは自らの手札を公開した。
それと同時に、店員であろうバニーガールもカードを公開する。
特殊な柄が使用されており、どちらがどんな手なのかは見当もつかない。
しかし、突如として叫んだヒガンの様子から察するに、敗北を期したのはヒガンの方で間違いないようだ。
「……おい、ガキ。帰るぞ」
それだけ呟き、ヒガンは出口へと向かって行く。
初めて入るカジノをもう少し見ていたいと思いながらも、仕方なくその後を追って行く。
場所は覚えたし、今度一人できてみよう。
そう思った直後、俺は気づいてしまった。
あれ、もしかして今の賭けっぽいので使われたの、俺の金じゃね?
テーブルの端に金を置いてるのは見えてたけど、あれって俺が渡した金だよな。
金額的にもあってそうだし、その前の流れからしてもそうだよな。
あれ、もしかして俺の金勝手にギャンブルに使われて、勝手に溶かされた?
そんなことある?
「あのー……ひ、ひ、ヒガンさん……お、俺の……俺の金……」
「黙れ、殺すぞ」
「……ひゃい…………」
怖いって。泣いちゃうって。
こちとらまだ子供だぞ。もっと優しくしてくれよ。
というか、金奪って、その上で怒って脅すとかやめてくれよ。
少なくとも冒険者がやって良い事じゃないだろ。
あー……この人の元でやっていける気がすでにしないんだけど……。
「おい……ガキ、さっきから何か言いたそうだな。何か言いたいことがあるのなら、言ってみろよ」
「え……えっと、その……あの、ヒガンさん……」
「うるせえ、黙れ」
「………………」
え、理不尽すぎませんか?
だって言ってみろって言ったじゃん。
言えって言われたから言ったら黙れはひどすぎるでしょ。
流石にメンタルが限界だ。
もう帰りたい。ユリたちに助けて貰いたい。
「おい、ガキ。着いたぞ、ついて来い」
怯えながらも顔を上げると、そこには箱があった。
人一人が入れるくらいの大きさの箱。
扉が一つついており、それ以外はシンプルなただの箱。
ヒガンは箱へ近づくと、扉を開け、その中へと足を踏み入れた。
様子を確認しようと、扉の向こうへ目をやると、そこにヒガンの姿はなく、暗い空間が広がっていた。
まさかと思い、驚愕しながらも、落ち着いて、一歩扉の向こうへと踏み入れる。
「……え…………」
扉の向こうには、暗闇の空間は存在せず、そこには明るい部屋が広がっていた。
マリーの家の玄関と同じ。いや、それ以上に巨大な空間。
所々苔が生えていおり、至る所にビー玉が落ちている。
所々おかしな所があるが、それでも凄い部屋だ。
「そうだな……一応説明しといてやる。ここが俺達、ヒバナ騎士団の本部だ。お前には今日からここで生活してもらう」
「ここで……」
明らかに普通ではない。だが、それはそれとしてワクワクしてくる。
新たに始まるであろう生活に胸が躍り始める。
ここから始まるんだ……新しい生活が!
体調崩してて小説自体かけてなかった…これから頑張っていきますので評価お願いします!




