コミュ症たちは最強を知る。②
「強く……ですか?」
「おう!モモの奴から頼まれててな!アーズリバイスの情報が手に入るまで、お前らを特訓してやってくれとの事だ!」
「モモ校長がそんな事を……」
「それでだ!お前らを特訓するための奴らが……お、丁度来たな!」
後ろに気配を感じ、反射的に振り返る。
そこには、個性的な男女が三人立っていた。
一人は鋭い目つきで煙草のような物を銜えている赤髪の女性。
ハッキリ言って、目つき怖すぎて凄く怖い。
一人は杖をついている老いた老婆。歳は90代を越えているように見える。
最後の一人はアフロで超筋肉質な化粧をした……男性?
いや、オカマか?……うん、オカマだ。
何ともまあ……個性的過ぎる面々だ。
怖い女性に、超年寄りに、オカマ。
「さて、紹介しないとだな!目つき悪いのがヒガン!杖ついてるのがモクレン!アフロのがバラーンだ!これからお前らを特訓する所謂、先生や師匠と言った立場の奴らだ!」
「あ……あ、そ、その……えっと……」
「……チッ…………」
「……え?」
……今、舌打ちみたいなの聞こえたんだけど。
今、目つきの悪い人、思いっきり舌打ちしてきたんだけど。
え、怖いって。流石にその顔で、即舌打ちは怖すぎるって。
怖すぎて、普通に漏らしちゃうだろ。
「もう……ヒガンちゃん駄目よ。怖がってるでしょ。……私はねえ、モクレンと言います。これからよろしくね。ほら、他の二人も挨拶しなさい」
「……ヒガンだ」
「ワタシはバラーーーーーンよ!見ての通りオ・カ・マ・よ!性癖はー……ドMよ!ち・な・み・に・彼氏募集中よ!もし良かったら……そこの二人、立候補しても良いのよ♡」
瞬間的に背筋が凍った。
悪いが俺にはそう言う性癖はない。
オカマはちょっと……というかめちゃくちゃ願い下げだ。
「さて……お前らには、今紹介した冒険者たちにそれぞれ二人か一人ずつついてもらい、様々な事を教わってもらう!誰が誰を教えるかは、今さっきの戦いで決めさせてもらった!」
なるほど。それぞれの冒険者の元で、特訓を付けてもらうという訳か。
あの個性的なメンバーの中で、誰か一人に教わる。
少し心配はあるが、この中ならモクレンに教わるのが一番良さそうだ。
ヒガンは怖いし、バラーンは身の危険を感じる……。
頼む……モクレンに……モクレンに当たってくれ!
「まず、アリウムとカンナ!お前らはバラーンの元で、特訓を受けろ!」
「アリウムくんとカンナちゃんね!よ・ろ・し・く!」
「え……あ……よろしくお願いします!」
「カンナです!よく使う武器は素手、共感できる言葉は永遠ほど怖いものはない、性癖はドMで、いじめられると興奮しちゃうタイプです!ぜひいじめてね、ちなみに彼氏募集中だから、程よくドSの男友達がいたら、紹介よろしく!」
「カンナちゃん……貴方とは仲良くなれそうね!よ・ろ・し・く・ね!」
そう言うと、カンナとバラーンは強く握手を交わした。
何となく気は合いそうな気がしていたが、カンナとバラーンは色々と相性が良さそうだ。
初対面であそこまで強い握手を交わせる人なんて、そういないだろう。
アリウムは……どんまい。
自らの身を守り切れるように心の底のどこかから祈っておこう。
「次に、ユリとグリシア!お前らは、モクレンに特訓を受けろ!」
「は、はい!モクレンさん、よろしくお願いします!」
「二人とも……よろしくね!」
ユリとグリシアはモクレンか。
あれ……という事は、余り物の俺は……。
「分かってるだろうが、コウキはヒガンだ!」
「……チッ…………」
「……ひゃい…………」
もう嫌だ、帰りたい。心の底から帰りたい。
そんな事ある?こんな綺麗に当たることある?
今も舌打ちしたし、怖いよ。俺もう既に限界だよ。
「一応こんな感じだが、何か言いたいことがあるものはいるか?」
「……あ…………えっと……」
「なさそうだな!」
畜生、嫌だって言いだせなかった。
今ほど自分のコミュ症を恨んだことはない。
「お前らはまだまだ強くなれる!それぞれの先生から様々な事を学んで、強くなれ!アーズリバイスの情報が入り次第、オレから連絡を入れる!それまで、それぞれの場所で特訓を受けろ!以上だ!後は、ヒガン!モクレン!バラーン!頼むぞ!」
それだけ伝えると、ゲッケイさんは立ち去った。
それを見届けると、モクレンとバラーンは動き始めた。
「さて、それでは二人とも。私についてきなさい」
『はい!』
「貴方たちもよ!ワタシについてきなさいー!」
「はい!」
「……あ、最後に一つ良いですか?みんな!また今度な!……絶対……絶対みんな強くなって、また会おうぜ!」
「……ああ……ああ、そうだな!」
話し終えると、俺とヒガン以外はその場を去った。
アリウムの言う通り。絶対強くなって、また会おう。
そうだ……俺達は強くならないといけないんだ。
どんな人からでも、多くの事を教わらなくちゃならないんだ。
見た目が怖くても、怯えてるだけじゃ駄目。
この人から強さを教わって、みんなと一緒に、強くなるんだ。
「……ヒガンさん!」
「……あ?今イラついてんだ、ちょっと黙れ」
「……ひゃい…………しゅいません……」
やっぱり駄目かも。
俺、この人の事苦手だ。
みんな……助けて!




