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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
10/120

自分は受かったのに、友達は試験に落ちた時、どんな反応をすればいいのだろうか。②

 ユリとカンナの案内付きで、街の案内が始まった。

 どうやらこの街は普通の街と比べて、大きめの街のようだ。

 人も多く出入りして、街中は活気で溢れかえっている。

 

 街は城壁のような物で囲まれていて、俺が入った門からしか、出入りは出来ないらしい。

 街の外にはモンスターと呼ばれる、前世の世界で言う動物がそこら中にいるらしく、モンスターがら街の人を守るために壁は作られたとの事。

 話を聞く限り、モンスターはゲーム出てくるモンスターと、ほとんど差異はないようだ。

 モンスターは危険だが、食料から、衣類の材料まで幅広く使われている生物らしい。


 そして、街の中心にあるのが俺たちの通う学園で、途轍もない規模の領土を持つ。

 学園から北に行くと、貴族と呼ばれる金持ちが住んでいる城があり、南に行くと大きな商店街がある。

 商店街には様々な物が売っていて、大抵のものはここで揃うらしい。

 学園の西には巨大な住宅街があるらしく、街に住んでいる人は大抵そこに住んでいるらしい。

 東には、飲食街があり、いつも賑わっている。

 他にも街には様々な面白い場所があるらしいが、時間の関係で、また今度紹介することにして、ユリが住んでいる宿に向かうことになった。

 それから、数分でその宿には到着したのだが……。


「えっと……宿ってここ?」


「うん、ここだよ!」

 

 そこにあったのは、ゲームなどで見るような宿とは違い、酒場の様な見た目をした、木造の建物だった。

 どっからどう見ても酒場に見えるけど、そう見えるだけで、違うのだろうか。


「あのー……酒場っぽく見えるんだけど……」


「酒場だからね。合ってるよ」


 合ってるのか。

 それじゃあ、なおさら不思議だ。

 酒場なのに宿って、どういうことなんだ?


「それじゃあ、うちも帰ろうかな。またね、ユリにコウキ!」


「あ……またね」


「またね!……私たちも入ろうか」


 それだけ言って、ユリはドアを開いた。

 酒場の中は、居酒屋の雰囲気を醸し出しているが、思っていたよりかは広い。

 中に誰もいないところを見ると、まだ営業前なのだろうか。

 

「お姉さん、いますか?」

 

 ユリがそう叫ぶと、奥の台所から、ピンクの派手なエプロンを付けた、黒い長髪の女性がフライパンを一つ持って出てきた。

 見た目からして、二十代前半だろうか。

 

「おー、ユリちゃんおかえり。試験はどうだった?」


「もちろん合格してきました!」


「そりゃあ、良かった!隣の男は誰だ?彼氏?夫?」


 女性がそう言うと、少し照れてユリは答えた。


「違いますよ。彼は今日知り合った、コウキくんっていうんですけど、遠くから来たらしくて、宿を探してるみたいなんです。もし部屋が開いてれば、コウキくんの事も止めてあげられないですかね?」


「あ、こ、光輝です。ユリさんの言った通り……泊まれる所を探してて……もし出来るなら、泊まらせて……もらえませんか?」


「ふーん」


 と、それだけ言うと、フライパンを近くのテーブルに置き、俺の方へと近づいてきた。

 それから、顔を近づけて、足から顔までじっくりと見てくる。

 凄く顔が近くて、緊張する。


「……光輝だね。いいよ、部屋も開いてることだし、泊まってくれて全然かまわないよ」


「本当ですか!……あ、ありがとうございます」


「気にしなくていいよ、困ったときはお互い様だからね。けど宿代は払えないんでしょ。ここは基本的には酒場を経営しているんだ。もし酒場で少し働いてくれるのなら、宿代は無しでいいけど、どうする?」


「え、いいんですか……それじゃあ、それでお願いします……」


 俺から言いだそうと思っていたが、向こうから言ってくれて助かったな。

 しかし、なんで俺が金を持ってない事が分かったんだろうか。

 見た目も貧相ってわけじゃないし、金が無いなんて一度も言ってないんだけどな。

 まあ、そんなこと考えなくてもいいか。

 今は宿が見つかったことを、素直に喜ぼう。


「よし、それじゃあ決定だね。私はミーユ。みんなからは酒場のお姉さん、略してお姉さんって呼ばれてるんだ。よろしくね、光輝くん」


「よろしくお願いします……ミーユさん」


「ミーユさんじゃなくて、お姉さん!」


「あ、よろしくお願いします……お姉さん」


「よろしい!」

 

 そう言うと、満足げな顔をして、フライパンを取って、キッチンへと戻っていった。

 それから数秒後、キッチンから、一つの鍵が適当に投げ出されて来た。


「二回の一番奥の部屋が開いてるから、そこを使ってくれてかまわない!それが鍵だからユリ、案内してやってくれ!」


「分かりました。それじゃあ、ついて来て!」


 そう言うと、ユリは店内をゆっくりと進んで行き、キッチンの横にある細い階段を上がっていった。

 俺も置いて行かれないように、急ぎ足でついて行く。

 二階に上がると、そこには一本の広めの廊下が広がっていて、壁にはドアが均一に並んでいる。

 その廊下を進んで行き、一番端の部屋の前に着いたところで、ユリは足を止めた。


「ここが今日からのコウキくんの部屋だよ。基本的に自由に使っていいらしいから、好きに使ってね」


「何から何まで、ありがとうございます……助かりました」


「気にしないで!お姉さんが言ってた通り、困ったときはお互い様だからね。……にしても、驚いたな。今日会ったばかりのコウキくんと、まさかここまで仲良くなれるなんてね」


「……俺も驚きです」


 本人はそこまで、大したことをやったとは思っていないだろう。

 しかし、ユリのお陰で随分と助けられた。

 ユリと出会ってなかったら、学園の事も知らなかったし、学園に合格することもできなかった。

 それに、泊まる所を見つける事すらできなかったはずだ。

 本当にユリには感謝しかない。

 

「あ、コウキくんは持ってる物からして、学園に必要な物とか持ってないよね。もしよかったら、明日一緒に必要な物を買いに行かない?私もいろいろと揃えないといけないものがあってさ」


 一緒にって……デートって事ですか!?

 

 ……いやいや、ただ買い物に行くだけだし、デートではないか。

 だけど、女子と一緒に買い物か……。

 前世では中学一年生以来、女子と出かけた事なんて一度もなかった。

 それが、出会って一日の女子と買い物か。

 

 ……この世界は最高かよ。

 

「えっと……嫌だったら全然いいんだよ?」


「いや、俺も買物に行きたかったし……明日、い、い、一緒に行こうか」


「良かった!それじゃあ、また明日。朝の九時ごろに部屋に行くね」


 そう言うと、ユリは俺の部屋から、二三部屋離れた部屋に入って行った。

 それを見送り、俺も部屋へと入って行く。

 部屋には小窓が一つあり、木製の机に、柔らかそうな白いベットが一つ置かれていた。

 一日の疲れがたまっていた俺は、何も考えず、ただふかふかなベットへダイブした。


 今日は本当に怒涛の一日だった。

 急に神様に、死んだことを伝えられて、力を貰って、この世界で生きていくように言われた。

 それから数分後には、女騎士と出会って、軽く戦うことになって、何とか逃げた先には巨大な街があった。

 それから、優しい門番や、ユリと出会ったりしながら進んで行って、学園に出会った。

 そこでは異世界で初めてのアリウムという友達ができて、試験を受けることになって……。


 ……そして、初めて自分を変えて、初めての勝利を得た。

 その後カンナさんや、お姉さんに会って、奇跡的に宿も見つけることができた。

 いろいろあったけど、凄すぎる一日だったな。

 だけど、いろいろあったおかげで実感できた。

 俺はこの世界できっと変われる。

 最高の人生を送ることができる。


 明日からも、頑張ってこの世界を生きて……いこ…………。


 そして、俺は眠りについた。

 この世界の明日に、大きな希望を抱いて。

次回、女子と二人で出かけるのは、デートなのだろうか。

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