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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
学園生活編
1/120

転生したコミュ症は、手紙で自らの死を知る。

 




「……森だ」

 

 俺は思わず、そう呟いた。

 

 それは何の変哲もない、普通の一日に起きた。

 この日、俺はいつも通りの生活を送っていた。

 いつも通り、朝起きて。

 いつも通り、学校に行き。

 いつも通り、家で遊ぶ。

 そして、いつも通り眠りについた。


 そうだ、俺は布団に入って、眠りについた。

 それなのに、今は見知らぬ森の中に立っている。

 突然すぎる出来事に、理解が全く追い付いていない。


 ……どういうことだ。

 眠りについて、気が付いたらこの状況ってことは夢か?

 いや、夢なら草の感触がこんなにもリアルなわけがないし、寒さを感じるわけがないか。

 何より、こんなに体を動かせて、意識がはっきりしている夢なんてあるはずがない。

 夢じゃないとなると、現実ということになるが、現実だとしたらドッキリとかだろうか。

 

 ……いや、ドッキリの方がない。

 そもそもとして、俺をドッキリのターゲットにするような知り合いは1人もいないからな。

 

 考えれば考えるほど、訳が分からなくなっていく。

 一体だれがどんな目的でこんなところに俺を移動させたのか、そもそも他の人の手によって移動させられたのか。

 というかここはどこなんだろうか。

 

 それから数分立ち、理解出来なさ過ぎて、宇宙人に連れ去られたんじゃないかと考え始めた頃。

 ふと、近くに落ちている黒い箱に気が付いた。

 その綺麗な見た目に魅了され、俺は何も考えずに箱へと近づいていく。

 見た目と、触り心地から俺でも分かるほど、高そうな箱だ。

 

 ……怪しい。

 木しかない森の中に一つだけ置かれている、綺麗な箱。

 この箱には何かありますよ!って言ってるようにしか思えない。

 だが、この箱以外、手掛かりになりそうなものがないのが現状だ。


 ……一度開けてみるか。

 そう思い、恐る恐る箱を開けてみる。

 開けてみると、箱の中には上下そろった服と2枚の手紙が入れられていた。

 手紙には「加藤 光輝様へ」と、一目で俺宛だと分かるように名前が書かれている。


 どうやらビンゴのようだ。

 この箱は俺をここに移動した何者かが用意したものらしい。

 分からないことだらけだが、これを読めば何かわかるかもしれない。

 そう思い、俺は手紙を読み始めた。



【加藤 光輝様へ】


 初めまして、光輝君。

 え、何を言ってるか分からないって?それじゃあいろいろ説明してあげよう!

 君が今日眠りについた後。僕がミスったせいで、入る予定じゃなかった君の家に、強盗を侵入させちゃったんだよね。

 その強盗はマヌケでね。君の両親に気づかれちゃってさー、それで近くにいた君を人質に取ったんだ。

 さらに、強盗はマヌケ過ぎてね、焦った強盗は手を滑らせて君を殺しちゃったんだよ。

 いやー、めちゃくちゃ焦ってたんだろうね、ナイフを近づけたら間違えて刺さっちゃったぽいんだけど、動揺しまくってて面白かったよ。


 それでなんだけどね、一つ問題が発生したんだ。

 それは、まだまだ寿命があった君が死んじゃったことなんだよねー。

 詳しく言っても分からないだろうから、簡単に言うと寿命を使い切っていない人が、死ぬといろいろ問題があるの。だからどうしよーってなってね。

 話し合いの結果。君を別の世界で復活させることになったんだ。


 ということだから、第二の人生を楽しんでね。

 さすがに何もないのはまずいと思うから、一般的な服と、君にあった特別な力をプレゼントするから、有難く受け取るように。

 じゃあ頑張ってね。     神より。



 手紙を読み終えると、俺は自然と言葉をこぼした。


「……何言ってんだ?」

 

 書かれている内容が意味不明過ぎて、全く理解ができない。

 それでも一つだけ、瞬時に思ったことがある。

 

 ……なんで手紙?

 いや、良く分からないけどさ、死んだとか、別の世界だとか伝えるときはさ、神様本人が直接来て、面と向かって伝えるべきだろ。

 手紙で伝えるって、いくら何でも適当すぎないか。

 それに途中とんでもない事が書かれていたよな。

 「僕がミスったせいで」って書いてあったよな。


 ……え、軽い感じで書かれてるけど、俺神様のミスのせいで死んだの?

 あのいろんな人たちから崇められている、神様のミスのせいで死んだの?

 ダメだ、衝撃的過ぎて頭が付いてこない。

 死んだってだけでも困惑してるのに、それが神様のミスのせいで、しかもめちゃくちゃ軽い感じで書かれてるし、その上に別の世界に復活。

 内容が凄すぎて頭がパンクしそうだ。


 何とか状況を理解しようと、何度も手紙を見返し、何度もあたりを見渡した結果。

 数分間もの時間をかけて、ようやく状況を理解することができた。

 どうやら俺は適当な神様のせいで死んで、その代わりに別の世界へ連れてこられたようだ。

 意味が分からないが、起きたら森の中にいた事と、この手紙からこの状況を認めるしかない。

 

「……とりあえず服でも着替えるか」


 そう呟き、俺は箱の中に入っていた服を取り出した。

 服は前世で触ったことのないような生地でできていて、薄いのにしっかりしている。

 うん、きつくもないし、緩くもない。丁度いいサイズだ。

 俺のサイズに合わせてくれたようだ。

 それに、薄い生地でできているはずなのに、全く寒くない。

 それどころか暖かい。

 凄い生地だな。この世界は前の世界よりも、技術が進んでいるのかもしれない。

 

 ……さて、とりあえず服を着たわけだが、これからどうするか。

 急に死んだことを伝えられて、第二の人生を楽しめと言われましてもね。

 

 よく考えたら、手紙が本当なら、俺死んだんだよな。

 伝えられ方と、状況で全く実感がわかないが、いざ死んだと思うと、さすがに思うところがある。

 

 はっきり言って、前世の俺の人生は傍から見たら、良い人生と言えるものではなかった。

 頭が良い訳じゃなく、高校では中の下位の成績で、その代わりに運動神経が良いなんてこともなかった。

 これといった特技もなく、目立ったことなんて全くない。


 その上コミュ症で陰キャ。人と話すのが苦手な上に、自分の意見を話すこともできない。

 恋は叶わず、憧れていた、誰かの為に体を張れるような人にもなれなかった。

 最高の人生とは言えずとも、そこそこ楽しい人生ではあった。

 好きなことをして、毎日数少ない友達と遊び、一日の最後には良い気分で就寝。

 それがこんな終わり方か……。


「はー……よし!」


 俺はそう呟くと、頬を叩き、覚悟を決める。

 今更どうこう考えたって仕方がない。

 結局の所、俺は死んで別の世界に、異世界に復活したんだ。

 こうなったなら覚悟を決めて、新しい第二の人生、楽しんで行こうじゃないか。


 もしかしたらこの世界でなら、俺も変われるかもしれない。

 普通に人と話せて、友達もたくさんいて、恋も叶って、見知らぬ誰かのために体を張れて、なりたかった自分になれるかもしれない。

 最高の人生を送れるかもしれない。


 よし、前向きに行こう。

 とりあえずはコミュ症から直していくことにしよう。

 大きな期待を膨らませ、俺は異世界生活へ一歩を踏み出した。

なんというか、よろしくお願いします!

少しでも面白くなりそうだな〜と思ったら、評価お願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] どうもはじめまして。 作品拝見しました。 とても面白かったです。 (((o(*゜▽゜*)o)))
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