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17. 遺書
正直、日織の言っていること全てが真実だとは思っていなかった。だからこそ僕はその不明瞭さにイライラしたし、それを自分への叱責に変えた。
そうじゃない。絶対なんてないことを、僕はもう知っていた。身をもって経験していた。なのに、その「絶対はない」を信じたくなくて、目を背けようとしていたのだ。
というか、結局のところ、此の期に及んでなお勝手な期待でうまくいくと信じていたかったのだ。
だから、僕の悪い方の予感が正鵠を射ていることを証明するその紙を目の当たりにした時には可能性としては把握していたものの、目の前が真っ暗になった。
心臓が、体から外れて踏み潰されるような感覚になった。
部室で印刷機のコンセントを差し込み、電源を入れる。
起動音の後、僕の操作とは関係なく紙が刷られる音がした。
何気なく排紙トレイから出てきた物に手を伸ばす。
僕は、この作業が終わったら彼女に会いに行く覚悟を持って学校に来たし、この時もそのつもりだった。逆に言えば、それ以外にはなんの覚悟もなかった。
目に入ったものは、彼女の遺書だった。




