第96話 怒りと疑問
「こ、この度は救っていただきありがとうございましたッ‼
必ずこのご恩はお返ししますからッ!」
「え、えぇ、どうも?
気を付けて帰ってくださいね?」
僕達はアレから臭い部屋、ろ過施設?で1人。
その後で違う通路でまた1人。
そして今、臭くない水が流れている部屋、浄水施設?で1人を元に戻したトコロ。
それで4人目の苦しんでいた人は僕達に礼を言って帰って行った。
ちなみに他の人達も帰ってもらってる。
ここは何があるか分からないからね?
まぁ無事に助けれて、なによりなにより。
それで、あとは1人だけなんだけど……
「ユウちゃん、最後の1人が問題児?」
「えっと、はい、多分」
ルナ先生が『違う』とは言わないからそうなんだ。
きっと関係してる人か、犯人だと思う。
でも僕には光が見えてる。
何かあった人にしか見えない光が見えてるんだ。
ケガをしてるって事なのかな?
じゃないとおかしくなってるって事だもんね?
ねぇ?ルナ先生?
〈...そうだね...間違いではないよ?...〉
という事は、答えは合ってるって事だよね?
だったら僕の見える光は目標だ。
そこにいけばいいんだ。
「そこに、答えはあるハズです!」
僕の言葉にみんなは頷いて、奥の扉を見た。
僕が光を見てたってのもあるかもしれないけど、道中一本道だったからね。
言わなくても分かったんだと思う。
「この都をおかしくしてる原因、人ならお仕置きが必要ね」
「そうですわねぇ?」
「副長のおっしゃる通りです」
「同意いたします」
みんなコブシを握り締めて扉の先を睨んでいた。
どうやらみんな怒っているみたい。
そりゃあそうだよね?
普通に生活してたら急におかしくなっちゃうんだ。
家族とか、友達とか、おかしくなっちゃうんだ。
その原因が同じ人だったら……?
怒りになっちゃうんだよね?
なんで苦しませるんだ!
なんで家族なんだ!ってさ。
僕にはそこまでの怒りはないよ。
でも、ダメだって事は分かる。
子供の僕でも、他の人を苦しめたらダメだって分かるんだ。
なんでそんな事したんだろう?
なんで巻き込むんだろう?
今の僕には疑問しかない。
だけど辞めさせたい。
僕はみんなが笑顔で過ごせる、
平和で楽しい世界になって欲しいんだ。
〈...ユウのその夢...ルナも手伝うよ?...〉
うん、ありがとう。
僕は僕のやりたいようにやってみるよ。
「レイモンドさん、終わらせましょう!」
「モチロンよ?さっさと終わらせて外に出ましょ」
僕達は意気込んでお互いに頷き合った。
言わなくてもやる事は分かってるんだ。
みんなの為にここにいるんだって。
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「この先に最後の光があります」
僕達は最後の扉と思う『ポンプ室』という部屋の前まで来た。
きっとこの先にいる人が何かしてるんだ。
理由は誰にも分からない。
でも、これはやったらいけない事なんだ。
だから辞めさせないといけないんだ。
「いい?いつも通りよ?」
「目には目を歯には歯を、ですよねぇ?」
「早く終わらせないと匂いが取れなくなりそう」
「被害を抑える為にも急ぎましょう」
言ってる事はそうでもないけど、
目は真剣そのもの。
みんなはやる気満々みたいだ。
相手はケガしてるかもって言ったんだけどなぁ?
「行くわよッ!」
レイモンドさんは号令と共に扉を開いた。
そこにいたのは……
「ふぇぇっ!?グズッ、だ、誰ですかぁッ!?ズズッ」
袋を持っている泣いている少女と……
「誰だ、お前らは……?」
傭兵っぽい恰好の男の人だった。
きっと、『そういう事』なんだろうね?
僕も流石にその光景にイラッとした。




