第85話 賊は賊でも海賊、義賊
レイモンドと名乗る美女の声を癒したユウ。そもそもどんな情報を得る為に...
「ぐ、ぐるじぃ…っ」
「ご、ごめんね?つい…
大丈夫?痛かった?」
僕に抱き着いてたレイモンドさんは、
痛がってる僕に気付いて、
僕から離れて、
は、くれなかった。
「よしよし、いい子、いい子~」
レイモンドさんは僕を膝の上に乗せて、
僕の頭を優しく撫でてくれてる。
いや、いいんだよ?
レイモンドさんって凄い美人さんだし。
それにしては軽々僕を持ち上げた様な?
「レ、レイモンド、様?こ、声が?」
「ええ、戻ったみたいね?
この子のおかげ、かしら?」
はぅぅ。
なんだろ?
レイモンドさんのココ、凄い落ち着く。
頭撫でられてるからなのかな?
「なぁ?ユウはお前のモンじゃねぇぞ?
そろそろ離してやれよ?」
「イヤよ?私、この子気に入ったから。
ここで養ってあげるわ?」
え?
それはー、ダメかも。
「えっと、レイモンドさん、ごめんなさい。
僕は妹を探してるんだ。
ずっとここにはいられないんだよ」
それが僕の生きる目的の1つだからね。
妹が生きてるこの世界で僕だけのうのうと生きてられないよ。
うー、そんな残念な顔で見つめないでよぅ。
「ユウにはユウの、生きる目的があるんだ。
お前らが横から手を出すべきじゃないだろ?
まぁ、今は別にそのままでもいいけどな?
帰るときはちゃんと離せよ?」
「...そうね。人道踏み外すべからず、よね?」
言いながらレイモンドさんは、
優しく後ろから抱きしめてきた。
うわっ!?あぅ、いい匂いがするぅ。
クラクラしちゃいそう。
「ふふっ、可愛い。
お持ち帰りできないのがホント残念。」
はぅぅ、僕もちょっと、残念、かも。
「…で?お兄さん、用件は?
何が知りたくてここに来たのかしら?
少なくとも既に貸しは3つ作っちゃったしねぇ?」
え?3つ?
1つは声だと思うけど…
あ、もしかしたらもう1つは足、かな?
でも最後の1つが分かんないや。
今はいっか。
「…じゃあ、そうだな、1つ目の用件だな。
この町で噂の事件。
アレの事、知ってる限り話してもらおうか?」
「あ゛ぁ゛?テメェら関係者か?」
ピィェェっ!?
誰ッ!?どこから声がしたの!?
凄い怖い声が聞こえたんだけどッ!?
…後ろから?
「どうしたの?えっと、ユウちゃん?」(ニコッ)
うん、違う。
絶対レイモンドさんじゃないね。
レイモンドさんは優しい顔で見てるもん。
じゃあ、オネェさん?
「あらぁん?私の唇が気になっちゃうのぉ?」
「ちげぇだろ、お前の青いケツアゴが、」
「ブチ殺すぞォッッっ‼」
う、う~ん?違う。なんか、違う。
オネェさんじゃないっぽい。
もっとドスが効いてた気がするもん。
あれ?じゃあ、誰だろ?
「俺達は昨日この都に来たばかりだ。
元々は聖女に用があったんだが事件が問題でな。
その事件の解決、ユウなら出来ると思うんだが?」
え?いつ決まったの?
というか襲われるかもしれないのに僕が解決するの?
ウソでしょ!?
「それは願ったり叶ったり、ね?
私達の活動は知ってる?」
「ん?そこまでは聞いてねぇな。
ただの情報屋じゃねぇのか?」
ん?何かやってるの?
レイモンドさん達って何してるんだろ?
「私達は義賊、弱きを助ける都の影よ?」
義賊?
賊って事?
あれ?でも義賊って悪くなかったような?
「そう言う事、ねぇ?
だから情報通なワケだ。
水の都にちなんで海賊義賊ってとこか?」
「あら、正解よ?
私達は海賊ヴィーナスの一員。
元々この都を守る為に立ち上がった義賊よ。
私は怪我が理由で船から降りたけどね?」
賊で、義賊で、海賊?
良いのか悪いのか分かんなくなってきた。
でも守る為に作ったって言ってたからイイ方だよね?
じゃあ、いい人達だ。
「お前らの活動には興味ねぇよ。
全部ユウがまっさらにしてくれるからな?
だから教えてくれ。
…この都に何が起きてる?」
「はぁ、まぁ、ユウちゃんがいれば変わるかもね?
この腐った都、一度水に流してしまいましょうか。」
腐ってる都?
レイモンドさんが言ってる都って?
「じゃ、まずは…」
それからレイモンドさんは語りだした。
事件の詳細を。
いやー、これを僕が解決って?
1人じゃ無理でしょ・・・?
都の光は聖女。都の影は義賊。
それでも町に異変が起きてるようです。




