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第82話 行く先は大教会、宿屋にはオオカミ 

水の都についたユウ達。だが、揺れる町だった...



「いらっしゃいませーッ!

 お食事ですかぁ?

 お泊りですかぁ?」


「泊まりだ。2部屋空いてるか?」


「空いてますよー2部屋で1000エインです」


「あー、オッケーオッケー、案内してくれ」


 僕達は港から宿へと何事もなく歩いてきたんだ。

 いやー、良かった良かった。

 え?

 何事もなくって本当かって?

 うん。

 何事もなかったよ?


 多分タイミングが良かったんだろうね?

 波が治まったんだ。

 凪って言うのかな?

 急に風も止まって揺れが無くなったんだよ。

 だからアビゲイルさんに魔法をかけてあげたんだけど...


「ユ、ユウぅ?ここ、揺れてないか?

 ホラ、ア、アッチ側の方が大丈夫そうだぞ?」


 とか言い出したんだ。

 どこも一緒だと思うんだけどね?

 とりあえず今は、元気になってるよ。


 だけど、ずっと僕のスカートの裾を掴んでるんだ。

 離してくれないかなぁ?

 僕のパンツ見えちゃうよ。

 このスカート膝丈くらいしかないんだから。


「おい、そこのスカートめくり。

 ユウが可哀想だろ?

 もう大丈夫だから離してやれよ?

 ホラ、部屋に案内するってよ?行くぞ」


「お前には私の苦しみが分からないんだ!

 この口いっぱいに広がる酸っぱい...うぅぇっ」


 あ、ちょっ!?僕のスカートがっ!?

 

「だ、大丈夫だ、ユウ。

 絶対にユウには吐かない。吐くならアイツに吐く」


 それもどうかと思うんだけど?

 というか、吐き分け出来るの?


「おい、何故私から3歩下がる?

 もっと仲良くしようじゃないかぁ?害虫ぅ」


「うるせぇ、近付くなゲロ女。

 あー、臭ぇ臭ぇ。なぁ、ユウ?」


 もー、2人とも小学生じゃないんだからさぁ?


「ホラ、2人とも!宿屋のお姉さんに着いていくよ?

 僕達はやらなきゃいけない事あるんでしょ?」


 ここに魔族が襲いに来るかもしれないしさ?

 それに希も...


「そうだな、悪ぃ悪ぃ。」

「仕方ないな。ホラ、ユウ先に行ってくれ」


 もー、2人の方が大人なんだからしっかりしてよね?


「ふふふ、ではコチラでーす」


 待ってくれていたお姉さんが階段を上って教えてくれる。

 あれ、ちょっと待って?



「アビゲイルさん?その、えっと、スカート、離して?」



「ん?ホラ、宿屋の女が行ってしまうぞ?

 というか、害虫はさっさと行け‼」

「な!?お前計算済みかよ!?」



 いや、離してよ...スカート。


 ...はぁ。全然離してくれないよぅ...



 僕は仕方なく行ったよ。

 後ろでなんか聞こえたけどもう、いいよ。

 僕より小学生なんじゃないの?2人とも。 


 僕のパンツなんか見たって、ねぇ?





 ~~~~~~~~~~~~




「ねぇ、その大教会ってとこに聖女様がいるの?」


「あぁ、アイツはこの世界じゃ有名人だぞ?

 まぁ、記憶ねぇなら分かんねぇだろうがなぁ。」


 僕とカインさんは2人で大教会へと向かっていた。

 なんで2人なのかって?


 いや、アレが来たんだよ。



 『波』が。



 その時宿屋の一室でアビゲイルさんは僕に言ったんだ。


「私の地獄が始まった...」ってね?


 いや、うん、そうだね。

 くらいしか言えなかったよ。


「私は、トイレに籠る。

 決して開けないでくれ」とまで言ってたよ。


 僕の心の中では鶴の恩返しみたいなフレーズだなぁ、

 って思ってたんだけど


「ゲロの繰り返し、かよ」


 っていうカインさんの言葉に吹きそうになっちゃった。

 アビゲイルさんが既にトイレに籠ってて良かったよ。

 アレは本当に危なかった。


 それで、

 一応トイレの神様にならない様に祈ってから2人で宿を出た。 




 今はね、大教会へと続く大通りを歩いてるんだ。

 その建物は凄く大きいから一目で分かった。


「うわぁ、アレ、だよね?

 大きい...お城みたいだねぇ...」


 この都の中心にあるっぽいその建物は、

 僕には洋風のお城にしか見えなかった。

 多分どこにいても見えるんだろうね?


「馬鹿みてぇに金かけて、無駄にデケぇんだもんな。

 すげぇよな?俺は見る度に呆れるわ。

 その金で1人でも救ってやろうって思わねぇのかよってな?」


 カインさん、もしかして怒ってる?

 でも世界的に有名な聖女様なんだよね?

 イイ事してるんじゃないの?

 なんでそんなに怒ってるんだろう?


「ホラ、入り口が見えてきたぞ?

 あっから入って...あ?どういう事だ?」


 カインさんは喋りながら何かに疑問を感じたみたい。

 あっから入って、どうすんだろ?


「何で門が閉まってやがる?

 この時間はお布施ねだってる時間じゃねぇのかよ?」


 え?どういう事?

 この時間って、たしかにまだお昼だけど?

 今日がたまたま休みとかじゃないの?


「あの金の亡者共が...?

 おい、ユウ、ここでもう()()()()()()()かもしれねぇ」


 何か、起こってる...?

 それって、もしかして、



 魔族の仕業...?








 ~一番高い屋根の上~



「...クフっ、来たね来たねぇ...待ってたよぉ...」


 少女は屋根の上から恍惚の表情で見ていた。


「...一緒にぃ...遊ぼうかぁ...お姉ちゃん...ぁはぁ...」


 その黒い瞳は白い少女しか見ていない。

 その小さな口は甘い吐息を吐き出している。

 その胸にある心臓の高鳴りが全身を巡っている。


「...ゲームはまだ始まってないからぁ...見てるねぇ?...」


 

 ただ、少女は少女を見て笑っていた。



えっと、ゲームはまだです。

だって、まだ1ヶ月程しか経ってないもん。


すいません、何日経ったか書いてなかったですよね?

今伝えます、1か月程です。

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