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第78話 カインの正体、本当の救世主

今からの目的を決めたユウ。まずは出来る事を...



 僕は海の見える堤防からゴルディさんの屋敷へと歩いていた。

 しかし、大通りは危険だと分かっている。

 聖女聖女と皆が群がってきたからね。

 でも僕はこの港町の事を何も知らない。

 裏道で迷子になったら帰れそうにないんだ。


「どうやったら何事もなく帰れるのかな?」


 僕は遠目に見える大通りを見て口に出していた。

 もちろん相手に向かってだよ?


〈...問題ない...もうすぐ迎えが来るから...〉


 ルナ先生は何でも知ってるんだ。

 その言葉を守ればなんとかなる。


 だからそのまま待つことにした。

 2~3分くらいした時かな?

 僕が知ってる女の人が声を掛けてきた。


「聖女様、ここにいらっしゃいましたか。

 もうお散歩はよろしいので?」


 その人は、僕が女子更衣室で会った熱い人だった。

 わざわざ使用人さんが探してくれたのかな?


「えぇと、はい。

 僕は帰ろうと思うんですけど、人が多くて」


「まぁそうでしょう。

 商業地区ですし、ね?

 聖女さまお1人では危険です。

 私に着いて来て貰えますか?」


 熱い人は仕事モードなのか、別人の様だった。

 でも、ルナが言ってた迎えの人なのは間違いなさそう。

 だから着いていく事にした。




  ~~~~~~~~~~~~



「ふぇ~っ!?あの道ってこんなトコに繋がってるんだ?」


「これは隠し通路ですのでご内密に」


 言いながら熱い人は口に人差し指を当てて微笑んでた。

 ちょっとドキってしちゃう。


 それにしてもあの道が侯爵さんの屋敷、

 庭園に繋がってるなんて、まるで秘密基地みたい。

 他にもあるんじゃないかって探したくなってきた。


 でも、やる事やらなきゃね。


 僕達は庭園から屋敷内に入り、

 カインさん達がいた部屋へと帰ってきた。

 飛び出した後ってのもあって、

 ちょっと顔を合わせづらいんだけどね?


「おかえりなさいませ、聖女様。

 散歩は終わったのですかな?」


 侯爵さんは笑顔で出迎えてくれた。

 迎え入れてくれた気がして僕は素直に嬉しかった。


 でも、侯爵さんの横にはカインさんがいた。

 その顔は真剣な表情だったんだ。

 だから僕は謝ろうと頭を下げて、


「あの、いきなり飛び出しちゃって...」


「いや、すまなかった。

 嬢ちゃんの気持ち、考えてやれなかった。

 今回の事件も元々は俺達の原因だ。

 巻き込んだ形になったのにまた同じことを繰り返そうとしていた」


 僕が謝ろうとしたのに、

 カインさんが横から入ってきた。

 たしかにカインさん達がいなくなったからいろいろ遭ったんだけどね?


「まぁまぁ、良いではありませんか?

 仲直り、出来たでしょう?

 これから気を付ければ、ですよね?」


「あ、はい。喧嘩はダメです。」


「まぁ、俺はいいが、アイツがなぁ...」


「え?そういえば、アビゲイルさんは?」


 気付いたらアビゲイルさんはいなかった。

 そういえば、初めからいなかったっけ?


「あー、いつか帰ってくんだろ?」


「あ、カインさんっ、えっと、

 ルナが今日話があるって言ってたんだ。

 えっとぉ、夜に行くらしいよ?」


「は?俺に?しかもルナの方が?」


 僕もよく分かんないんだけどね?

 水の都に行く理由を説明するらしいけど、

 なんで今じゃないんだろ?


〈...大人の話...〉


 そ、それは、あの?


〈...ユウは、違う事考えてる?...〉


 あ、ご、ごめん。

 あはは、アハ?


〈...〉


 ち、違うからね?

 変な事考えてないからね?



 それからご飯食べたり時間は経ったんだけど、

 結局夜になってもアビゲイルさんは帰ってこなかった。

 どこ行ったんだろうね?

 僕はとりあえず今日は寝る事にしたんだ。

 朝になったら帰ってきてくれると思うし、ね?






  ~侯爵の屋敷・カイン~




「はぁ、夜になっちまったな」


 俺は個人の客室でベットの上で横になって待っていた。

 待っていたのはルナという存在。

 直接俺に話があるって?

 なんで俺なんだろうな?

 もしかしたら知っているのかもな?



 俺の正体を...



 そう考えていたらバルコニーに気配を感じた。

 どうやらいらっしゃった様だ。

 さて、どうなる事やら。


 俺は起き上がり、バルコニーの窓を開けた。


 そこにいたのは月明りを浴びる白髪の少女。

 どこにでもいるような女ではない。

 白く儚く、美しいと言える存在だ。

 少女はバルコニーの手摺に座ってコチラを見ていた。

 

 その少女だが、俺の知っている嬢ちゃんではなかった。

 10歳の子供ではない。

 15~6の少し大人びた美女だ。

(あ?誰だこの美女は?ユウ、じゃねぇよな?)


「...今日は十三夜月(じゅうさんやづき)、本来の力に近い日。

 驚かせた?ルナはもう少し大人なんだけど」


 どうやらルナで間違いない様だ。

 それにしても不思議な存在だな。

 身体はどう考えても嬢ちゃんのハズなんだが?

 

 目の前の美女は嬢ちゃんをもう少し大人にした状態だ。

 ただの二重人格ではない、よな?

 身体が成長するなんてありえねぇだろ。


 だが嬢ちゃんを大人に近付けた顔、そして身体だ。

 こんな美女になるなんて、な?

 チラリと胸に目がいってしまう。


 うむ、満点だ。


「...貴方、それでも()()()なの?」


 あらら、バレてんのな?

 という事は()()()()()()()って事か?


「ルナ、アンタはアッチ側の存在って事でいいのか?」


「...違う。ルナはルナという存在なの。

 アッチ側の存在とは別、ね。

 だからこの身体は一応人間。

 もちろん死はあるし、子も産める。

 ただ違うのは寿命と魔力かしら?」


「馬鹿言うなよ?

 ルナ、アンタは異常な強さだ。

 アレを人基準で言うと化け物だ。

 人間じゃねぇよ。()()()()()?」


 姿消したり、炎を喰ったりする人間がいるかよ?

 そもそもお前の美貌は人並み外れてんだよ。


「...違う。ルナは神じゃない。

 それに貴方も同じじゃないの?

 ()()()()()()()()()()?」


 あー、痛いトコ突いてくんね?

 そこだけ見れば人間じゃねぇからな。


「俺は人並みの力で生きてんだよ。

 ルナみたいに馬鹿能力は使わねぇ、

 人間として生きてんだ。

 そもそも俺は元、勇者だからな?

 死に切らない()()()()()()()()()()()()()なんだよ」



 ほんと自分で言ってて嫌になる。

 俺は勇者のなりそこないだからな。

 生きてる価値なんてねぇのに、死ねないんだ。

 守れもしない勇者なんだぞ?

 誰の為にもならない勇者なんて必要ないだろ?

 俺なんかが勇者なんて馬鹿げてるよ。


 だから必要なんだろ?

 ()()()()()()()()()()()()()よ?


「...そう。でも、ユウは本当に人間だから。

 あの子は本当に10歳の子供。

 ただ、私と同じ魔法が使えるだけの可愛い子」


 ん?じゃあ、ルナは?


「アンタは?ルナの身体じゃないのか?

 ルナの身体にユウがいるんじゃないのか?

 あぁ?どういう事だよ?」


「...ルナはユウの心の中にいる存在?だと思う。

 悪いけどルナにも分からない。

 ただ、元々この身体はルナだったけど、今はユウなの。

 気付いたらユウの心の中にいただけ。」


 はぁァ?何が言いてぇんだよ?

 ユウがルナがってこんがらがってきたじゃねぇかッ!?


「...人間のユウにルナがいるって思ってもらえる?

 そして、ルナが力を与えてる。

 それが一番わかりやすいと思うよ?」


 あー、まぁ言わんとする事は分かるが。


「長寿エルフに精霊が力を貸してるって思えばいいか?」


「...そうね?それが一番近いかも」


 そうか。

 じゃ、いつか大きくなったらユウを貰うか。


「...拒否。貴方はユウの伴侶にさせない。

 貴方じゃユウを幸せに出来ないもの」


 くっ、たいした精霊様じゃねぇの。

 せっかく目の前に()()があるっつーのにな。


 まぁ、俺なんかじゃ釣り合わねぇのは分かってるよ。


「互いの話題はもういいだろ?

 それより本題なんだが?」


「...そうね。これからなんだけど...」



 俺はこれからの話に耳を疑った。

 本当の救世主ってのは俺の想像を簡単に超えるんだもんな...


 



 

少し長かったですよね?

ルナがユウがって面倒ですよね?


ちなみに一応物語の核心に触れてみました。

カインは元勇者、本当のワケありです。

ただ、真実は少し違った形になっていきます。

勇者なのになんでそんなに自分を非難するのか...


あと、これから新章へ突入します。やっとあらかたのプロット出来たんで...

期待してもらえたら嬉しいです。

ちなみに長いと思います。覚悟してくだせぇ。

出来ればブクマや評価してくだされば馬車馬のように...

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