第75話 やるべきことは今出来る事
ユウが会いたかったあの人に出会えた。しかし、今は時ではないと言われ...
「...はぁっ、はぁっ、もう、大丈夫、だよね?」
僕はあのまま走り続けて、
海の広がる港町の堤防まで来た。
周囲には誰もいない。
吹き抜ける風はどこか懐かしさを感じさせる。
「この世界の海も青いんだね」
地球の海と同じ青。
いや、工場とかないからか地球よりも凄く澄んだ青。
とても綺麗な海、とても穏やかな海だった。
「ここは、気持ちいいねぇ~。そう思わない?ルナ?」
ルナが僕の近くにいるのは分かってる。
でも存在を感じるんだけど見えないんだよね。
見えない親友って、なんかちょっと痛い、かも。
それにしてもここは気持ちいい。
太陽の陽射しが温かいし。
そよ風が僕を包み込んでくれる。
目の前に広がる綺麗な海も心を落ち着かせてくれるんだ。
〈...海はこの星の命みたいなものだからね...〉
たしかにそうかもね。
水が無かったら生き物は生きられないだろうしね?
母なる海は、この星の命なのかも。
星の命を感じて僕達は落ち着くのかもね?
〈...あの人の言ってた事...覚えてる?...〉
ルナは僕で、僕がルナとかの話?
あー、覚えてるけど、僕には難しすぎるよ。
僕とルナは近い存在の様な感じはするけど、
今もこうして話してる。
僕もルナもちゃんと意思があるんだ。
1つの存在なんかじゃないと思う。
あとは...たしか、
シロツキ?とクロツキ?だけどそもそも僕は知らない。
魔族からシロツキとは呼ばれたけど、
僕はシロツキではない。ツキシロだ。
月城を言い間違えてシロツキって言ってたのかなぁ?
だとしたら、クロツキって月黒?そんな名前の人いる?
シロツキはクロツキでクロツキはシロツキ?
...あたまこんがらがってきた...
最後が、ええと?
月と太陽は仲良くて?
特に僕達とあの人は仲良し?
でも希とは微妙?
...どう言う事?
なんで月と太陽なのさ?
真逆の存在じゃない?昼と夜、みたいな?
そこでなんで僕達とあの人なのさ?
僕、あの人の事知らないよ?
〈...ルナは知ってるよ?...ルナは、あの人と仲良し...〉
そ、そう?
でも僕と希は関係ないんじゃない?
〈...そこはルナも...分からない...〉
ルナも知らないんだ?
逆に知ってたら怒るけど。
このナゾナゾを解かないといけないんだよね?
〈...その前に...忘れてない?水の都...〉
あ、そっか。
あの人最後に言ってたね?
妹に会いたいなら早く行けって。
〈...そう、ルナも行かないと...あの子の為にも...〉
ん?あの子?
〈...気にしないで?...だから、今から向かうのはソコ...〉
えっ?カインさんの故郷は後回しでいいの?
カインさん怒らないかなぁ?
〈...大丈夫だから...今夜話しとく...〉
る、ルナ先生、他の方とも喋れたんですね...
〈...ルナを何だと思ってるの?...ルナ心外...〉
ご、ごめんルナッ!?
その、ルナって僕の守護霊的な存在だとばかり...
〈...しゅごれー?...ルナ多分それじゃないケド?...〉
で、デスヨネー。
だろうとは思ってました。
〈...ユウ、それよりその水の都で近い内大変な事が起きる...〉
大変な、事?
妹が居るかもしれない所で?
〈...人がいっぱい殺される...
...これは、憶測ではなく現実の視える未来...〉
現実に起きる、未来?
人がいっぱい殺される都に妹が居るかもしれないのにっ!?
〈...そう...だから最悪、ルナ達だけでも行かないと...〉
それは...でも...
カインさんとの約束もあるし、さぁ?
〈...大丈夫だから...ルナに任せて?...
...ユウは...屋敷に戻って2人を許してあげたら?...〉
んー、そうだねぇ?
分かった。
僕は僕の為に出来る事をするよ。
とりあえず2人は許してあげる。
そして、僕は妹を助けなきゃ。
だから、カインさんには悪いけど...
目的地、変更だ。
僕は広大な海を見てやるべき事を決めた
これから予想以上の出来事になるとは思いもせずに...
さて、面倒な事件はこれにて終わり。
やっと終わって一安心。
次章はもっと大変なので今回よりは面白くなるように頑張りたい。
次回から数話幕間挟んで、プロット詰めます。
ぶっちゃけプロット無視しがちですけどね?




