第68話 憶測だけで判断したらいけないのかもしれない
攻める手立て無く、吹き飛ばされたカイン。
魔物を追い、町を見渡すが...
「ッ!? あのクソ猫、どこ行きやがった?」
俺を吹き飛ばした魔物を探して戻ってきたが、
魔物の姿は無かった。
嬢ちゃんの方では未だに火柱が上がっている。
(ルナ、だったか?もう1人の嬢ちゃんは大丈夫なのか?)
ハッキリとは分からないが、
嬢ちゃんらしい人陰が火柱の中にある気がする。
遠目に変態が高笑いして身をくねらせているのが分かるし、
あの変態の魔法を喰らって動けないんじゃ?
(あの人影がもし嬢ちゃんなら、焼き殺すつもりなのか?)
だが俺は問題は無いんじゃないか、とは思っていた。
(あの村で燃え上がる炎を吸収してたしな?
悲鳴も聞こえねぇし、嬢ちゃんは何か企んでんのか?)
助けてやりたいが、
俺の敵う相手ではない事は理解している。
相手になるのは嬢ちゃん、いや、ルナって鬼だけだろう。
それにしても、全くもって理解できないが、
様子を見るに憑依に近い何かな気がする。
それこそセイレイ、かもしれないが。
(...分析はいつでもできる。今は、あの魔物だよな)
俺は顔を横に振りやるべきことを1つに絞る。
怪我人くらいなら嬢ちゃんに治してもらえばいい。
なら、俺の出来る事は、
これ以上死人を作らない様に守るって事だろッ‼
余計な事は捨てておけッ‼
走らないと、間に合わないぞッ‼
俺は目の前で倒れている知人に背を向け、
痛む身体に鞭を打ち走り出した。
~南門・アビゲイル~
「オォォォォォッッ‼長剣スキル【一斬入渾】ッ‼」
「ハァァァァァッッ‼第1魔法『火』【火団】ッ‼」
「ッチッ‼鬱陶しい攻撃だなッ‼」
どうやら単体での力は圧倒的に私の方が上だ。
むしろ、スキルや魔法頼りで素人もいいところだ。
しかしその素人も複数なら厄介だ。
攻撃のスキを作らない連携が私の動きを鈍らせる。
ザコの魔物なら問題ないのだが、
頭を使うザコは鬱陶しい。
キィンッ
だが、負ける要因などない。
私は高ランク冒険者、剣の熟練者なのだぞ?
「やれやれ、だったか?
5対1でこれか?話にならん。」
「はぁッ、はぁッ」
「なんでッ!?ウソだろッ!?5対1だぞッ!?」
私の目の前に倒れ伏せる5人の獣人。
あれだけ息巻いてこの有り様とは、な。
「クソ、クソッ!クソがぁッッ‼」
私目掛けて駆け出した鹿の獣人。
よく口のうごく頭良さそうな奴だったが、
それは頭良くないな?
私は突き出した剣に合わせて拳を振り切った。
バゴッッ、ドゴッ、ズシャァァァッ
「ぅげッ!?クロスカウンターかよッ!?」
「ぅわぁッ‼カノさんの顔面がッ!?」
「美人を怒らせると、こうなるの、か?」
「き、給料割に合わなくね?」
自分たちの状況分かってんのか、こいつら?
「ぉおげぇぇへ...」
「「「「カノさぁぁぁんッッ!?」」」」
な、なんなんだこいつ等?
本当に人攫いなのか?
悪い奴らかと思ってたんだが、ただの馬鹿なんじゃ...
キャァァァッッッ‼
「んむ?なにか揉め事か?まさか、あの変態ではッ!?」
今からユウの居場所を吐かせようと思ってたんだが。
あの変態には関わりたくない。
下手したら...
考えただけでも身震いする。
触られるかもしれない恐怖にオオカミなのに鳥肌が立つ。
(どうか、恐怖の変態魔王ではありませんように)
どうやら今回の願いは神に通じたようだ。
ドォンッガラガラガラッ
ドォォンッッ
ギャァァァァッッ‼
キャァァァァッッ!?
あ?なんだこの音?
は?なんか近付いてくる?
ん?なんで悲鳴が聞こえるんだ?
『GYAAAAAAUッッッ』
...魔物?なんであんな馬鹿デカい魔物が町の中にいるんだ?
たしか...Sランク指定の魔物?だったか?
おかしいな、最近寝不足だからか?
「た、助けてくれッ!?あんた強ぇんだろッ!?
あの魔物を倒してくれよッ‼頼む、死にたくねぇんだッ‼」
商人っぽいオッサンが私に頼み込んできた。
あ、は~ん?そうか、現実か。
「これは、現実、か。
フッ。他愛もない。」
(ウソだろッ!?
なんでこんなトコにS指定の魔物がいるんだッ!?
なんとなく流れで答えてしまったではないかッ!?)
だが、見ないフリをする程腐っちゃいない。
仮にも冒険者。
頼まれれば嫌でも身体が反応する。
「おい、後ろの4人。
この町の人々が襲われている。加勢しろ。」
若干1名を除いて、まだ戦えるであろう4人に声を掛けた。
本当に悪い奴らじゃ無ければ答えてくれるだろう。
多分、馬鹿なだけなんだ。
「マジかよ!?」
「いやー、僕達、まだレベル低いんだけど?無理強いは...」
「いいんじゃね?美人イベ報酬に期待っしょ?」
「報酬...給料上乗せアリ?」
うむ。馬鹿だったようだ。
協力してくれるなら後でユウの事も問えるな。
結果、私を含めた5人で戦う事になった。
即席パーティだが主に戦うのは私だ。
せめて守り手がいれば人々の被害が抑えられるのだが、な?
贅沢は言える状況ではないな。
私の見ている前で町人が爪で切り飛ばされている。
やれやれ、オイタが過ぎるぞ化け猫。
「行くぞッ‼私達がこの町を守るんだッ‼」
こんな事している場合ではないのだがな。
もう少しだけ待っていてくれ、ユウッ‼
少し寝落ちしてましたわー
毎日更新は続けないとッ‼
あと1話だけ、あと1話だけ別キャラなんですッ。
興味ないキャラ話ばかりでごめんなさい。




