第66話 獣魔召喚
カインの前に魔族の変態が現れた。そしてユウはルナに...
今回もカインです、興味ないとは思いますが、よろしくお願いします。
「アラん?起きたの?面倒ねぇ?」
『起きた』?
確かに今、嬢ちゃんは立っている。
起きたって言葉は間違いではない。
だが、俺の知ってる嬢ちゃんじゃねぇ存在だ。
『乗り移った』って感じだ。
「...貴女は敵?...見た目がルナ嫌い...」
ぷっ!?
見た目、てぇッ!?
このタイミングで変な事言わないでくれよ?
笑っちまうだろぉ!?
「あら、そぉお?それでも貴女は私のモノになるのよ?
【シロツキ】、ちゃん?」
はぁ?【シロツキ】ぃ?
嬢ちゃんの本当の名前はシロツキって言うのか?
たしかにあの紫髪の魔族も言ってたしな。
...ユウでも、ルナでもなく、シロツキ、か?
どういう事だ?
「...その名前は勝手に付けられただけ...」
勝手に付けられた?
誰か、いや、誰か達が付けた名前?
俺は知らねぇな?
って事は、昔、か?
は?嬢ちゃんは10歳そこらの子供だろ?
なんでこんなに警戒される存在なんだ?
なんで魔族は嬢ちゃんを知ってるんだ?
訳分かんねぇ。
「あらぁ、やっぱり間違いないのねぇ?
まぁ、どうでもいいわぁん?
大人しく私の奴隷になるの?
それとも、ヤルのぉ?」
「...その言い方嫌い...でもヤル...」
俺の目の前で白と黒の魔力が渦巻いて見える。
目の前で台風が出来たかの様だ。
おいおい、なんだよその馬鹿デケぇ魔力はッ!?
2人共おかしいだろッ!?
侯爵なんか訳も分からず部屋の隅の方で猫みたいになってっぞ?
つか、この家もたねぇぞっ!?
「おいッゴルディッ‼
早く使用人たちと脱出しろッ‼
ここは危険だッ‼多分戦場になるッ‼」
俺の言葉にオカマ野郎はチラリと見てきたが、
どうやら俺達に興味は無さそうだ。
目の前の嬢ちゃんしか興味なしって感じだな。
それは助かるが、どうにも様子がおかしい。
「私ぃ、汚いモノはなるべく掃除しときたい体質なのよねぇ?」
俺の事を散々虫扱いしてたしな。
ただ逃がすなんて事しねぇよな?
いろいろここで秘密を聞いた人間だもんな?
さて、嬢ちゃんが本気なら、問題ないハズだが?
何するつもりだ?クソオカマ野郎ッ‼
「私はシロツキがいるからねぇん?
相手は用意しときましょうかぁ?
【獣魔召喚・ツインキャット】」
獣魔、召喚ッ!?
何か出すつもりかッ!?
オカマ野郎の頭上に大きな黒いホールが広がっていく。
(な、なんだよあのデケぇ穴はッ!?)
この部屋の天井よりも大きい穴が頭上に広がっている。
もし何か出てくるなら相当にヤベぇ奴が出てきそうだ。
というか、本当にこの家が壊れるッ!?
「みんな出ろッ‼ここは崩壊するぞッ‼」
聞こえたかは知らねぇけど、
脱出した事を願って俺は建物から飛び出した。
ガガガガガッッッ
流石に俺のスキルだけじゃ生き埋めになってたかもな。
俺の目の前には崩壊した家と、
何事もなかったかのように立っている、
2人の化け物がいた。
後ろの方では間一髪逃げ切った使用人と侯爵が息を切らしていた。
どうやら全員無事の様でなにより、だ。
しかし、さすがに生き残れたとは言いづらい。
新たに出てきた魔物、
頭2つあるクソデケぇ猫が俺達を見下ろしてるからだ。
「はぁ、見た事ねぇぞ?こんなバケモン
家一軒分の大きさはあるんじゃねぇか?」
どうやら相手しないといけないみたいだ。
本気で挑めば勝てなくは無さそうだが、どうだろうな?
俺は腰のナイフを抜き、戦う事を決意した。
~ルナ~
「...ディーは元気?...会いたいのだけど...」
言いながらもルナは変態の足を蹴り飛ばした。
足払いしたかのように、変態は宙を舞う。
「なっ!?ウソでしょッ!?」
そのままの勢いで変態は横一回転で地面に着地した。
しかし、痛みや、その動きの速さに圧倒されていた。
(予想以上の化け物じゃないっ!?
クロツキが破壊の象徴とか言ってたけど、
この子も大概じゃないのッ‼)
変態の足は、青く膨れ上がり、見るからに骨折していた。
しかし、変態は立ち上がる。
「...まだヤルの?...ルナ、早く寝たいのだけど...」
「アラん?寝たいなら寝ればいいじゃない?
私が優しく介抱してあげるわん?」
「...遠慮...身の危険を感じるから...」
言いながらもルナは変態の横腹を殴って吹き飛ばす。
「ぐふぁッ‼残念、ねぇ?じゃあ、お友達に、ならなぁい?」
会話しつつもルナの拳は変態を悶絶させていく。
その無駄のない動きに、その異常な速さの動きに、
なされるがまま、変態は傷を負っていく。
「ゼハーっ、ゼハーっ、面白い事教えてあげましょうかぁ?」
「...何?...ディーの事?...」
「まぁそうねぇ...ゲホッ!
あの子が考えたゲーム、たくさんの人が死ぬわよ?」
その言葉にルナは動きを止めた。
人の死。
それはユウの望むモノではないから。
「...何するつもり?...また、始めるつもりなの?...」
ルナは知っている。
ディアナのやりたい事が何かを。
「またかどうかは知らないけど、貴女には来て貰わないとねぇ?」
変態はボロボロになっていてもまだ立ち上がってくる。
その執念が何かは分からないものの、違和感を感じとる。
「...狙いは...ルナなの?...」
「そうよッ‼そのゲームもッ‼今もねッ‼」
「燃えて気絶でもしてなさいッ【インフェルノヴァ】ッ‼」
ルナの足元から突如地獄の業火が吹き上がる。
咄嗟に魔法障壁を張り、耐えるルナ。
「貴女なら燃え尽きはしないでしょ?
火傷しても治せるものねぇ?
早く気絶して私のモノになりなさぁいッ‼
フォーホッホッホッ‼」
変態の高笑いと、未だに吹き上がる火柱の中で、
ルナは内心溜息を吐き、大人しくなるのを待つのだった
ブクマ100件越え、皆さんありがとうゴザイマス‼
考えるシナリオ的にはまだまだ先は長いですが、エタる事ないように、最後まで走ろうと思います。
例えブクマが0件でも最後まではやり遂げるつもりです。
あくまで自分が読みたいモノを書く、で進めてるので、変な話になったら申し訳ないとは思ってます。




