その7
「はぁ…はぁ…こっちよ。」
「こんな隠し通路があったのか‼︎ 」
「ここは一部の者にしか知らないわ。敵もいないから一気に城の中に入れるわ。」
ミア達は城から少し離れた林の中の隠し通路から入った。
「早いって! 待ってくれー!」
「あんたが遅いだけよ。 全力で走って!」
暗い通路をひたすらに走っていた。この先に城の廊下に繋がる。想像はしたくないがおそらく悲惨なことになってるだろう。父や母は無事だろうか。
「ここを開ければ城の廊下よ。おそらく暗黒教の信者がいるわ。あなたはなるべく大人しくしていて。敵は私が倒すわ。」
「うっ…俺だって少しは戦えるさ。さっきも倒しただろ。」
「さっきは…うん。助かったけど…」
確かにさっきは危なかった。下手したら死んでた。ミア達は城の廊下に入る。
「な…なんてことだよ。みんな殺されてんじゃねぇか。もしかしたらお前の父や母も…」
「きっと大丈夫よ。生きてるはずよ。そうと祈るしかないわ。とにかく父や母を探すわよ。」
ミア達は父と母を探すため死体が転がっている廊下をひたすら走った。途中…
「ミ…ア……」
何か声が聞こえた。聞いたことのある声だ。
「母上?」
ミアの母ハンナ王妃が倒れていた。ハンナ王妃は凄く重症を負って倒れていた。まだ微かにに息があるようだ。
「おかあさん…今すぐ助けるからね!大丈夫よ。私がついてるから‼︎」
「ミ…ア…わた…しはいいから…早く逃げ…なさい。」
「いやよ‼︎ おかあさんを置いてなんかいけない!おとうさんは? どこ? おとうさんは無事なの?」
ミアは涙が溢れながら叫んでいた。
「ミア…もうお前の母さんは助からない。大量出血してる。もう逃げよう。」
メルスは泣き崩れて叫んでるミアに言った。しかしミアには声が届かなかった。ハンナ王妃はメルスの腕を強く握った。
「ミ…アの友達?ゴホッ‼︎ あなたに言いたいことがあるわ。ゴホッ‼︎ ゴホッ‼︎」
「ハンナ王妃様‼︎ なんですか⁉︎」
「ミアにも…伝えたけど…隣国のチェリーランド公国に逃げなさい。あそこに私の親戚がいるから。ゴホッ‼︎ 急いで‼︎ 奴が来るわ‼︎ 逃げて‼︎」
そう奴である。大司教フランシスがこちらへと向かっていたのである。
「奴って…」
「早く‼︎ 逃げなさい‼︎ ミアを連れて逃げない‼︎」
きっとやばい奴が来るだろう。メルスは決心する。
「ミア‼︎ 泣き崩れてないで逃げるぞ‼︎ 俺たちだけでも生き延びるんだよ‼︎ 行くぞ‼︎ ほら立てよ‼︎」
「いやよ!おかあさんを置いていきたくない‼︎ 私も一緒にここに…」
「馬鹿野郎‼︎ くそっ!」
メルスはミアの腕を強く握っておもいっきり引っ張っていった。
「うあぁぁぁ‼︎ 走れー‼︎ 一緒にチェリーランド公国に逃げるぞ‼︎ 」
メルスはミアを引っ張って隠し通路の所を渡った。
「ありがとう…ありが…と…」
ハンナ王妃は泣きながらメルスとミアが逃げていくのを見届けた。すると…後ろから
「まだ生きておったか。しぶとい悪魔め。」
大司教フランシスがやってきた。
「貴様の小娘はどこだ? 死ぬ前に吐け。」
「 裏切り者あんたなんかに言うものか。悪魔はあんたよ‼︎ 」
「裏切り者?ふははははっ‼︎初めからこの王国を潰すために大臣のふりをしていただけだ。お前達が間抜けな野郎だからこんな風になってしまったのさ…ああ…おめでたい話をしようじゃないか。貴様の夫 オルガルト国王は俺が殺した。最後は無様な死に方だったぞ。ふははっ」
大司教フランシスは大笑いしながらハンナ王妃の髪の毛を引っ張って言った。
「っ…あなたたちはなんで私たちを狙うの?なんでこの世界をめちゃくちゃにするの? あなた達の目的は何?」
ハンナ王妃は怒りを抑えつつ一番聞きたかったことを聞いた。
「我々の目的?そんなの決まってるじゃないか。お前達に対する千年憎しみ。この世界を支配する。すべて教祖様の御命令を聞くだけだ。」
「そんなふざけたの……ふざけるなっ!私たちが何したって言うの‼︎ 」
「すべて教祖様からの御命令って言ってるんだろ‼︎ もういい‼︎ お前はここまでだ‼︎ 死ねぇぇぇぇぇえ‼︎」
ザクッ!
大司教フランスは剣を下ろした。
「あの小娘はどこへ行った‼︎ 逃がさんぞ‼︎」
「フランス様‼︎ 先程逃亡してる二名を発見しました。どうしますか?」
「どっちか女はいたか⁉︎ そいつがミアルイスだ‼︎ 生かしてはおけないのだ。 捕らえろ‼︎」
「はっ‼︎」
信者たちはミア達を捕まえるため暗黒狼に乗っていった。