その10
ミア達はチェリーランド公国国境あと少しのところまで歩いていた。もうすぐ日が暮れそうで少し風が吹いていて寒かった。
「うぅ……さみぃ。ヘックシッ!」
寒い。とにかく寒い。足が凍りそうでやばい。これは夜とんでもなく寒くなりそうだ。急がねばならない。頼みはこの馬くんだ。俺たちがここまでこられたのもこいつのおかげだ。
「メルス‼︎ ここがチェリーランド公国と我が王国ルイス王国の国境門よ。」
「はぁ…やっと着いたよ。」
どうやら私達は国境門に着いたようだ。あれ?…どこかにチェリーランド公国の国境警備隊がいるはずなんだけどな。とりあえず国境門をくぐることにした。
「おい! 君たち‼︎ 通行許可証を見せろ‼︎」
「いきなり現れんなよ。 びっくりしたじゃねぇか。」
国境警備隊がいないと思っていたがどうやら一人いたそうだ。
「通行許可証なんか持ってねぇよ。俺たち緊急なんだよ。通してくれ‼︎」
通行許可証なんか持ってるわけがない。そもそもこいつは俺たちの王国が悲惨になってることを知らないのか?ああ…多分知らないだろう。そういえば、あれから2日以上経ってるよな?
「ここは私に任せて。警備隊さん。このペンダントを見て。」
「あ…あな…たはっ‼︎ 申し訳ございません。ミア様‼︎ どうぞ通ってください。」
通行許可証なんかなくてもルイス家の意味を示すこのペンダントさえ有れば国境通過は余裕だ。
「さすが王族だな!あっさりじゃねぇか‼︎」
「ふふん。 まぁね。」
メルスがめちゃくちゃホッとしている顔をしている。
「ミア様。何故?こちらに御用なんのでしょうか?いつもオルガルト様と来てるので疑問に思いまして…」
やはり聞かれたか。しかし、やはり私たちの王国の悲惨な状況はどうやら他国にはまだ伝わっていないらしい。
「お前知らないのか? 俺たちの国がどんな状況になっているのか。」
私が言おうとしたが、メルスが先に言ったようだ。
「ええ。マルタ要塞が突破されて現在防衛戦になっているとは聞きましたよ。」
やはり知られていなかったか。
「私たちの国…いや王都アルバルス…陥落したわ。城は父も母もみんな私以外殺された…」
私達のルイス王国は王都アルバルスが陥落したらほぼ壊滅状態だ。でも…なぜ…奴らが簡単に王都アルバルスに現れたのか…私は分からない。
「そ……そんな。ルイス王国が暗黒教に負けるなんて…」
当然といや当然の反応だろう。
「と…とにかく‼︎ 早くフィリピ様に知らせれば‼︎ ミア様‼︎
手配しますので急いで王都チェリッヒに向かってください‼︎ 」
「そんなの分かってるわ‼︎ 私たちは母の親戚のところに向かっているのよ‼︎」
「そうですか。分かりました。ではくれぐれも気をつけて行ってください‼︎ 」
「ミア‼︎ 行くぞ‼︎ マロちゃんまた頼んだぞ‼︎ 」
メルス知らない間に馬に名前をつけていたらしい。でもここまでこられたのもこの馬のおかげだし、名前で呼んでもいいか。さて。よいしょと。出発だ。
「マロちゃん‼︎ そのまま王都チェリッヒまで吹っ飛ばせー‼︎」
「ヒィン‼︎」
勢いよく走っていく。どうやら気合が入ってくれたらしい。ってかめちゃくちゃ早い。今までこんなに早い馬は見たことがない。
「うっしゃー‼︎ かっ飛ばせー‼︎ 」
メルスがめちゃくちゃはしゃいでいる。うるさいなー笑笑。
こうして私たちは王都チェリッヒに向かっていった。




