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図書館2(恋愛)

そんなのは七不思議のひとつだ、と言い聞かせる


「あのさ、お前、昨日図書室に行ってた?」



 教室につくなり、友人の開口一番はこれだった。


 昨日彼女にフられた友人に言うことがそれかと激しく責め立てたい気もしたが、今の俺はなんだか穏やかだ。

 家に帰ってからも自分の想いを整理してみたが、今となっては彼女に未練はない、と思う。

 よく男の方が未練がましいという意見を聞くが、俺はその型にはまるつもりはない。

 その証拠に、昨日の内に彼女のメアドは消してやったし、昨日見た夢はハンセンにラリアットを直伝してもらう夢だった。

 俺、男らしい。


 話を元に戻すが、よく見ると友人の目は何か別の種の心配が込められている。

 とりあえず友人の質問に答えようと、俺は椅子に腰掛けながら口を開いた。




「うん、俺図書室に居たけど、なんで?」

「うっわマジ!? ごめん! 心霊現象とかなかった!?」

「へ?」



 友人の必死な様子に、俺は困惑する。

 図書室は人が居ないから、落ち込むなら最適の場所だと薦めてくれたのはこの友人だ。

 だがしかし、何を謝ることがあるのだろう。

 心霊現象とはなんのことだろうか。


 朝の教室、ザワザワとする中で、友人は半径五十センチの空気の気温を一度低くするような話を始めた。




「……実はさ、図書室で昔生徒が死んだらしいんだよ」

「……は?」

「昨日先輩から聞いたんだよ、もう十何年も前の話らしいんだけど、当時三年だった女生徒が本棚の下敷きになって死んだんだって」

「ええー……マジ?」

「マジ、そんで当時から図書室ってほんと誰も寄り付かなかったらしくて、発見が遅れて……」



 周りの空気が一度どころか二度も下がった話を聞いて、俺はなぜか昨日図書室で出会った先輩のことを思い出した。

 あの人も、三年生だった、……が、いや、まさか、まさかな。

 幽霊があんなにはっきり見えるわけがない、わずかばかりの疑問の芽を、俺はそう言い聞かせることで摘み取った。


 でも、あの人の手は、やけに冷たかった。





「そんで、なんか変なこと起きなかったか?」

「え、いや……」



 でも、俺はなによりあの人に。




「……大丈夫だよ、何もなかったって! そもそも俺霊感ねーし!」

「……ははは! そうだよな! お前鈍感だし!」

「ちょっ鈍感とか言うな!」



恋ヲシタノダカラ。

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