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時を奏でる境界線  作者: シャオえる


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嫌な出会いはもうすぐ

「ここが、アゼルの家……」

 カリアに書いてもらった、ノエルの家までの地図を頼りに一人訪ねにきたカノン。誰もいなさそうな一軒家に音を立てないように入っていく

 リビングやキッチンを見て回り、他にもある部屋へと進んでいく

「書斎か……」

 たくさん積まれた本を踏まないようにして、書斎の中へと入っていく。本部にない本、カノンも見たことのない本や資料などが、あちらこちらに散らばっている


「ここは、みんなの思い出が詰まった場所なんだ。あまり入らないでくれると嬉しいな」


 突然、聞き慣れた懐かしい声が聞こえてきた

「アゼルか……」

 カノンに緊張感が走る。その声は自身の後ろから聞こえてくる。声の主に気づいて、振り向く事なく話しかける

「会うのは久しぶりだね。元気?」

 その声の主は姿を見せず、陽気に声をかける。変わらない話し方や雰囲気に、もうすでに苛ついている

「……なぜここに?」

 

「ここは、僕のお家だよ。家主が帰ってきたら変なのかい?」

 カノンの質問に、また陽気に話しているが、お互い顔を会わす事なく話しが進む

「……二人が会いたがっているぞ」 

「そうだね。もうずっと会えてないからね……。ノエルは僕の身長越したかなぁ?リエルは今もマリヤに似ているかい?」

 考え深い声が、書斎に響く。まだ、姿を見せないままの声に、更に苛立ちが強まっていく

「お前は今どこで何をしているんだ?」

 少し荒い口調になっているカノン。そんな事は気にしていない様子の声が、また聞こえてくる

「それはねー。今は言えないよー」

 陽気な声と苛立つ声が、小さな書斎に響き続けてる


「ふざけるな……」

「ふざけてないよ。僕はいつだって本気さ」

 笑う声が聞こえてきて、バタバタと音をたて書斎から出ていく

「アゼル!どこにいる!」

 苛立っているカノンが、寝室やキッチン、建物中を見て回るが、誰も見当たらない。だが、リビングへ着いたとき、今度は困った様子の声が聞こえてきた

「そう怒らないでよ。それに、お家を汚さないでよ。もー、悪い子だね」

 だが、やはり声の主は見えずにいる。姿を確認しうとカノンがリビング中を探し始めだす

「心配しないでよ。もうすぐ会えるから。まぁ、明日か数年後かもしれないけれど……」

 声を聞きながら、がさごそと探し回っていくと、窓際に置かれた写真立てを見つけた。笑顔でリエルを抱っこしているマリヤが写っている

「……そういうところが、昔から嫌いなんだ。お前は」

 写真立てを手に取り、怒りに任せカノンが叫ぶ

「残念。僕はカノンが大好きだけど。振られちゃったねぇ……」

 どこからか、はぁ。とため息が聞こえる。急に、家中の雰囲気の変わり、カノンが家の外へと駆け寄ると、家の前にある草木道に立つ人影が一つ、カノンの気配に気づいて話しかけてくる

「もうすぐさ。もうすぐだから。じゃあ、僕は帰るよ。二人の事、よろしくね」

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