怒っていたって、始まらない
「ドーケムはどうでしたか?」
ノエル達と別れて事務室で、カリアから話を聞こうとしているカノン。口調は誰が聞いても怒っている
「おー、怖い。怒ってる」
仕事の資料を読みながら、隣でうるさい二人に、からかうダングと、見て見ぬふりで、座って様子をうかがいながら、仕事をこなすバルバがいた
「怒っていません。聞いているのです」
カノンの怒りの矛先はダングになって、急に二人で口喧嘩が始まった。騒がしい事務室の中でも、二人の声が響いても、誰も二人を見もしない。
「ドーケムは、リエルちゃんの家を見て、すぐに帰ったので、町並みなどはあまり見てはいませんが……」
か細い声で質問に答えるカリア。その答えを聞いて、ふぅ。とため息をつく
「だから、その家の事を聞いているのですが……」
まだ怒っている様子を感じる言葉に、ちょっと怯えつつ、ノエル達の家の様子を思い出しながら伝える
「マリヤの写真が飾られていました。アゼルの写真や荷物などは見当たらず……。書斎も見ましたが、行方に繋がりそうな物などは、見つけられませんでした」
「結局、何も分からず。ですか」
はあ。とまたため息をつく。隣で聞いていたバルバも、ため息をつく
「アゼルの家には誰が行こうか……」
「僕とバルバで行こう。明日辺りすぐ行こう!」
カリアへの怒りもバルバの話でどっかに消えて、明日の予定を、話し始める
「すぐか?」
「リエルちゃんが言っていた不審な男性の件も気になるし。やっぱりダングも一緒に……」
あたふたと、ノエルのお家に行きたい気持ちが落ち着かないまま、話を進めようとするカノンと、その隣では、どうしようかとバルバが考え込んでいる
「いや待て、フラワードの件もある。隊員も集めてどうするか、また話し合おう。とりあえず、カリアは勝手に行ったことの始末書を、カノンはとりあえず落ち着け。ダングの仕事でも手伝ってやれ」
バルバの話を聞いて嫌そうな顔のダング。手伝いたくないカノンも嫌そうな顔。カリアも始末書にちょっと嫌そうな顔で、三人ともバルバから目線を合わせないようにしている
「……分かったか?」
今度はバルバが怒りそうな雰囲気になって、四人の雰囲気が、ちょっと悪くなっていく。ふてくされぎみなのカノンが、また、はぁ。とため息をついて、ダングの資料を奪い取る
「分かりましたよ。ごめんなさい」




