ここは、私のお家
「こっちだよ!」
二人より先に、自分の家に着いたリエル。ドーケムの村からちょっとだけ離れた、森に近い場所にある一軒家。久々の家を見てテンションも上がる。だが、入り口の前に誰か居るのが見える
「えっ……誰?」
髪の毛がボサボサの男の人が、リエルの声に気づいて、ちょっとだけこちらの方を向く
「あのう……どちら様ですか?」
恐る恐る近づいて、話しかけてみる
「……君は」
ちらりとリエルを見る。一瞬ビクついて、後退りしながらも男性に話しかける
「ここ私のお家だけど……お兄ちゃんに、ご用事ですか?」
「私のお家……?」
この少女の家と聞いて、突然ふふっと笑う男性
「いやはや、来ることを知っていたのか、やはり変なやつだな」
「あの……あのー」
自分の家の前で一人笑う不審な男性に、少し怯えだすリエル。男性は怯えるリエルの声に気づいて、また笑う
「いや、失礼。道に迷ってね。そうか、君のお家なのかい……」
「リエルー!どこー?」
遠くからメイナの声が聞こえてくる
「二人ともこっちだよー!」
家の側の道沿いに出て、二人を呼ぶ。声のする方へと、リエルも向かう。走ってきたメイナとカリアと合流すると、メイナの腕を引っ張って、家の方へと二人並んで走る
「あのね、お家に変な人が……」
メイナにさっきの男性のことを話しながら、家へ向かう
「あれ?いない」
家に到着したが、さっき男性がいた場所には誰もいない。居るような気配もなくなっている
「誰かいたの?」
二人に遅れていたカリアもリエルの家に到着する
「うん、変な髪型の男の人が……」
三人で家の回りを探す。でも、やっぱり誰もいなかった
「変な人かな?」
「不審者かしら?」
メイナとカリアの心配をよそにあっけらかんとしているリエル。それよりお家に入りたそう
「まあいいや。早くお家入ろう。二人とも入って!」




