それは、運命の悪戯
「なぜ二人は本部の者と?」
突然来たカノン達には、不審なままのフラワードの人々。クリルとメイナが一緒にいるのが不満そうな様子
「それは、運命の悪戯というか巡り合わせというか、それを言い出したら面倒くさいですし、本部が子供を保護するのは必然ですが……」
ちょっとずつ言葉が荒くになるカノンと、更に怪訝になる村の人々
「突然の訪問、申し訳ない。後日またお尋したいのだが……その時は二人の事に関しても色々聞きたいのだが……」
間に入り、場を落ち着かせようとするバルバ。だが、まだ気持ちが収まらないカノンが、後ろで小さく文句を言っている
「……二人は」
「それはあの子達次第です……」
バルバを主に話し合いが進んでいく。少しずつ村の人たちが落ち着いてきた様にもみえてきた頃、遅れて一人の老人が、バルバの方へとゆっくりと歩いてきた
「すまないが、皆まだ落ち着かない。後日来るなら歓迎しよう。本日はもう、帰ってくれないか」
老人の話を聞いて、納得するバルバと、まだ不満そうなカノン。落ち着けと諭しながら、村人達の様子に納得し、返事をする
「ありがとうございます。では、また後日……」
「ただいま。みんな大丈夫?」
カリア達が待つフラワードへの入り口。うつ向いたままのメイナとクリルを、囲うように守っているリエルとノエルがいた
「どうしようか、ちょっとタストスに寄る?それとも本部に帰るかい?」
時刻は午後1時過ぎ。ちょうど帰る予定をしていた頃。誰もカノンの返事をしないまま、時が過ぎていく。落ち着かない二人を見て、ふぅ。と一つため息をつく
「……帰ろうか。本部でご飯食べようか。ねっ」
「二人が帰って来てくれるとは……」
カノン達が帰った後のフラワードの人々は、話し合いをしていた場所に残ったまま、皆で話をしていた
「いつだったか、アゼルが来たのは……」
「伝えるべきか……奴も本部の人間だろう?」
「止めておけ。ただ喜ぶだけだ」
クリルとメイナに会えた嬉しさと、本部の人であるカノン達への期待と不安の話し声が、あちらこちらから聞こえてくる
「運命の悪戯とは、面倒なことだな……」




