花畑の懐かしさと、思い出と
「なんでしょうか……」
「おい、カノン!」
恐る恐る聞き返す女性を見て、焦って止めにはいるバルバ
「はい?」
「もう少し、言葉を選んでだな……」
様子に気づいていないのか、のんきな返事に呆れつつ注意をしていると
「あっ……あの子達」
突然、声をあげる女性。驚いている目線の先は、クリルとメイナを見ている様子。急な声に怖じ気づく二人。メイナはカリアの後ろに隠れて震え、クリルは顔を背け、見られないようにしている
「もしかして、クリル君とメイナちゃん?」
その言葉で、今度はカノンの後ろにいるノエル達が驚き、その女性の方を一斉に見る。
「お知り合いですか?」
一人慌てず聞き返すカノン
「本当に二人なの?」
再び驚き焦りだす女性
「ええ、クリル・バータナ君、メイナ・バータナちゃんですが……」
「おい!」
カノンが勝手に名前を告げたことにバルバが怒ると同時に、女性がメイナとクリルに向かって走り出す
「良かった!生きていたのね!」
クリルに抱きついて涙ぐむ女性に、予想外の反応に慌てるクリル。メイナも、きょとんと二人の様子を見ている
「二人のお知り合いですか?」
「ええ、もちろん。小さい頃はクリルと遊んでいたの。覚えてる?メイナも大きくなったね……」
今度はメイナに抱きついて、嬉しそうに笑う。でもメイナは戸惑ったまま、顔はカリアに助けを求めている表情をしている
「すみませんが、話を聞きたいのですが、宜しいですか?」
女性に話しかけながら、クリルの隣に来て支えるように寄り添うカノン。まだ状況が読めないクリルはメイナ同様、戸惑い始めていた
「ええ、二人の事でしょう?」
「もちろん、その事もありますが……」
会えた嬉しさから、テンションが上がっていくその人は、カノンとの会話も進んでいく
「あ、あのー……」
カノンと女性の間に挟まれながら、二人で話が進んでいく。ちょっとずつ状況が理解できたが、どうすればいいかと焦っていると、様子に気づいた女性がクリルの手をぎゅっと握る
「お父さん達の事、気にしている?ゴメンね。守れなくて……」
悲しく話す声に、静まり返る。クリルも顔を背け、無言のまま時間が過ぎていく
「……事件の事はご存じで?」
再びカノンが質問をすると、二人の会話がまた始まる
「ええ。あの時、私はここに住んでいましたから……」
「それは……」
話を聞こうとしたとき、突然、クリルの手を離しどこかへと向かおうとする
「あの……私、先に村に戻ります。是非この先にあるフラワードに来てください」




