故郷に会いに行こう
「美味しいねー」
「ねー、美味しい!」
自分達で作ったちょっと大きめのパフェを食べている。お腹一杯のはずなのに、よく食べる
「食べ過ぎたら、クリルみたいになるよ」
「ちょっと……」
ノエルの注意を恥ずかしそうに止めるクリル
「大丈夫だよ、お兄ちゃんほどバカじゃないから」
その言葉をきっかけに、クリルとメイナが口喧嘩が始まる。止めるノエルと、マイペースでパフェを食べていくリエル
「元気だねぇ」
「さっきまで、ダングといい勝負してたしな。ご機嫌だろう」
楽しそうに四人を見ながらお昼ご飯を食べるカノンと、同じくコーヒーを飲みながら笑って見ているバルバとダング
ノエルとカリアに止められて、喧嘩も落ち着いてきた頃、カノンが話した内容で、楽しいご飯の時間が、少しずつ不穏な空気になっていく
「あっ、そうだ。クリル君とメイナちゃん話があるけど……」
「明日、フラワードに行くかい?」
カノンからの提案に顔が強ばる二人。一瞬、時が止まったような雰囲気になる
「フラワード?」
聞いたことのない町の名前に反応して、固まったままのメイナに不思議そうにしていると
「二人が昔いた場所だよ」
カノンがリエルの質問に答えると、一瞬ビクッとするクリル。ノエル達が不安そうにしている横で、何も知らないリエルが一人テンション高く話している
「えー、行ってみたい!どんな所だろう」
「本部としても、近々行ったことがないので調査も兼ねているし、みんなで行こうかなって。……どう?」
クリル達の気持ちもお構いなしに、話していくカノン。不安からか、リーリルを抱きしめたメイナが震えている
「メイナ、大丈夫?」
リエルが声をかけても聞こえていないのか、返事をしないまま。心配したかリアが抱きしめても、まだ無反応のまま動ない
「ここからだいぶ遠いから、朝から出発するよ。行かなくても大丈夫だから、朝までには決めてほしいな」
「いや、急に言われても……」
やっと声が出たクリル。でも、まだ気持ちは上の空で、答えが出ない様子
「急じゃないと、これからの事も学校の事も決められないでしょ?」
二人の気持ちが分かっていても、必ず決めるように求めて話が終わる
「さてと、まだ時間もあるし。ノエル君、練習しようか」
気分を変えようと話した内容も、今度はノエルの機嫌が悪くなっていく
「だから、練習は嫌ですって……」




