ご飯と電話は落ち着いて
「あっ、帰ってきた!」
ご飯を食べ終えた午後8時過ぎ。メイナが指差すその先に、やっとノエル達がみんなの元にやって来た
「お兄ちゃん、お帰りぃー」
一目散に、ノエルの所へ駆け寄るリエル
「ただいま、遅くなってゴメンね」
さすがに、ちょっと疲れ気味の声。二人が話していると、ソファーで一人倒れているクリルをカノンが見つける
「クリル君は何をしてるんです?」
その声に、みんなクリルを見る。それでも、動けず、うなだれたまま
「なんか、強くなる!って言って、たくさん食べて、気持ち悪くなって倒れてるだけだよ」
呆れながらメイナが説明すると、納得して、同じく呆れるカノン
「あーそう……」
「おー……お帰りノエル」
やっと、声が出ても、低い声でまだ気分が悪そう
「ただいま、大丈夫?」
うんうん、と頷き、また寝込むクリル。そんな様子を横目に、またどこかへ行こうとするカノンとバルバ
「ゴメンね。クリル君には悪いけどお腹すいたから、僕らはご飯食べに行くよ」
「はー、どうしましょ」
カノンも疲れはてた午前2時。夜中でも騒がしい事務室で、のんびりと過ごそうとやって来た、カノン。バルバとカリアも、近くにある椅子を引っ張って、側でのんびり過ごそうとしている
「ノエルくん、どうでしたか?」
「うーん……」
カリアが今日の様子を聞こうとしても、なんだか二人は渋い顔。すると、バタバタ騒がしかった事務室が、更にバタバタとうるさくなった
「すみません、カノンさん電話が来てるのですが……」
あたふたしながら駆け寄ると、急かすように、電話をとるよう諭される
「誰ー?」
「それが……」
上手く伝えられず、ずっとあたふたするその様子に、不思議そうに受話器を受けとると、聞いたことのある声が聞こえてきた
「あっ、カノン。久しぶり」
「アゼル!今、どこにいる!」
驚いて思わず大声を上げるカノン。その声に、慌てて駆け寄るカリアとバルバ。回りの人たちもざわついている
「んー、それより、聞きたいことがあるんだけど……」
電話の向こうでは、のんきな雰囲気で話している声が聞こえてくる
「今、大変なことになってるぞ!」
予想外の電話の相手に焦り始めるカノン。
「そうなの?あっ、あった。ゴメン、もういいや、じゃ!」
「ちょっと!」
止める間もなく、一方的に切られてしまった
「切られた……」
はぁ。とため息をつく。いつもと同じことながら、今回ばかりは何だか落ち込む
「どうする?ノエル君に話すか?」
これは困ったと悩むバルバ。今度はふぅ。と大きなため息をついて、同じく悩むカノン
「いや、話すのは止めておこう……」




