知りたくない、聞きたくない
「離せよ!」
無理矢理引っ張られ、嫌だと騒ぎ続けるクリルを連れてきたのは数日前に会議をした部屋。入り口近くの椅子に座るカノンと、怒った顔で少し離れた椅子に座るクリル
「本部の方に、なにか言われました?」
無言になるクリル。二人しかいない会議室。話が止まると部屋の静けさよりも、外の騒がしさがよく聞こえてくる
「ご両親のこと聞かれましたか?どこに居るか分かります?」
カノンの質問に、首を横に振り否定をする
「……知らないな。もうずっと会ってないし、居場所も知らない。死んでいるんじゃないか?」
「そうですか……」
クリルの答えにうーんと、悩むカノン。また会議室に沈黙が流れていく
「君は、ドーケムに来る前は、フラワードに居たんだよね。覚えてる?」
「そこは午前の人達が主に住んでいた村なんだけど……。まあ、時間帯に合った村はあちらこちらにあるし、違うからといって揉め事も少ないから、本部の方も気にしてなかったんだけど」
一通り話終えるとふぅ。とため息をつくカノン。つられてクリルもふぅ。とため息をつく。また数分、長く感じる静寂が会議室に流れてく
「リック・バータナと、カナメ・バータナ。君とメイナちゃんのご両親の事だけど……」
カノンの話が始まると、やっぱりか。そんな表情をするクリル
「ちょっとはご両親の事、覚えてる?」
この質問に無言で答えない。でも、カノンには覚えていない。と答えてるように感じ取っている様子
「君が3才くらいかな?ドーケムに来たのは。メイナちゃんは1才くらい?フラワードにいたのは覚えてないかな。お花がたくさん咲く村だから、フラワードって名前になったんだけど、知ってるかい?」
この質問にも返事をせず、カノンを見つめている
「僕達は、君達のご両親を、フラワード村に起こったとある事件の事で、ずっと探しているんだけど……」
カノンがその話しをすると、カノンを睨みつけて、話を始める
「何かがあった事くらいは知ってる。きっかけとかは知らない。なにも知らない。親の事は何も知りなくもないね」
語気を強め苛立ってきたクリルに、真剣な表情で見つめるカノン。部屋の雰囲気が重くなっていく
「そうか……でも、話を聞いてほしいし、聞かせてほしいんだけど……良いかい?」




