いないと寂しい、待ちぼうけ
メイナ達がはしゃいでいる、ほぼ同時刻。男子部屋ではまだ寝ているノエルと、起こさないように部屋を出ようとしているクリルがいた
部屋を出て、本部へと一人向かう。玄関近くの待ち合わせ広場のソファーに座り、外を眺めて物思いにふけるクリル。
バタバタ忙しそうな本部の人達に背を向けて、時間がのんびり流れてく
「……クリル・バータナ君かな?」
突然名前を呼ばれ、振り向くと、知らない男性が側にいた
「はい」
服装から本部の人だと分かるその人に、返事をする
「一人?なら、ちょっとお話いい?」
「ヤバい……寝過ぎた……」
クリルが部屋を出て大分経った午後1時。クリルが居ないのを確認すると寝ぼけながら、本部へ向かうノエル
さっきまでクリルがいたソファーに、メイナとリエルが仲良く座っている
「お兄ちゃん、おはよう」
リエルが先に気づいて、手を振り、ノエルを呼ぶ
「おはよう。クリルも一緒?」
居るかどうか確認しながら座るノエル。だが、ソファーにはメイナとリエルしかいない
「来てないよ?一緒じゃないの?」
一人で来たノエルに、リエルが問いかける
「起きたら居なかったんだけど……」
「お散歩かな?」
外を見るメイナ。今日も、外は散歩日和の良い天気
「カノンさん達も、今日はいないね……」
「そういえば、カリアさんも来ないね」
辺りを見渡すノエル。本部の人達が慌ただしく歩いている。けど、バルバ大佐やカノン隊長も見当たらない
「カリアさんは私たちの部屋で寝てるよ」
昨晩、リエル達と一緒に女子寮に行っていたので、ああ。と納得するノエル
「そっか……どうしよ……」
「しばらくここで待つ?」
誰もいない状況。ふぅ。とため息つくノエル
「そうするしかないか……待てる?」
待てど暮らせど、誰も来ない。もう時間は3時になる頃。さすがに、待ちくたびれた三人。どうしようかと悩み始める
「……みんな遅いね」
不安になってきたリエル。段々と気持ちが落ち込んでいく
「カリアさん起こす?」
「疲れてるんだからダメだよ」
朝よりも声が小さく、リエル同様不安になってくメイナ
「なあメイナ、クリルどこ行くか聞いてない?」
ノエルもまだ来ないクリルの事も気になり、不安がつのる
「聞いてない。今日は、逃げないと思うけど……」
「やあ、おはよう。みんな今日は、早いねー。一人足りないみたいだけど……」
三人とは、明らかに違うテンションのカノンがやって来た。聞きなれた声にホッとする三人
「カノンさん、お兄ちゃん知らない?」
来てすぐ、クリルの行方を聞くメイナ。何だかんだと心配している様子
「クリル君?さあ?僕は今出勤したからねぇ……」
「あっ、来た」
話をしていればクリルがうつ向いて、落ち込んでいるような雰囲気を出しながらやって来た。
「お兄ちゃんどこ行ってたの?!」
「ゴメン……」
心配しすぎて怒りだすメイナ。心ここにあらずなクリル。適当に返事をしているような態度で、更にメイナが怒り始めている
「あらあら、来て早々テンション低いねぇ」
カノンが笑って励まそうとしても、無表情のまま
「ところで今日なんですがね……」




