楽しい場所と悩みどころ
買い物を終えて、境界線本部に帰ってきた六人
お金がなくて、買えなかった物はたくさんあれど、たくさん買った物もありみんな満足そうに、帰宅した
買った荷物を眺めて、メイナは悩み始める
「どうしよう……ドーケムに帰れなくなる……」
深刻な顔で話すメイナに、不安そうにリエルが訪ねる
「なんで?」
リエルの質問に答えようと、リーリルをぎゅっと抱きしめて、恥ずかしそうに話し始める
「楽しすぎて帰れないよ……」
メイナの悩みに、ドキドキしながら聞いていたリエル、予想外の悩みにキョトンとする
自分の悩みに照れて笑うメイナ、リエルもつられてエヘヘと笑う
「えーと、今は4時ですね。ではでは、一度各自部屋に戻って5時頃に食堂に集まってくれません?」
ほんわかした妹二人のとなりでは、何やら騒がしい兄二人と、カノンとカリア
「もう一度、学園への入学を聞こうかと思っているのですが良いですか?」
カノンの質問に、良い顔をしないノエルとクリル
「休みの日は仕事しないんだろ?」
クリルが、カノンに質問を返すと、ニコニコあっけらかんと答える
「いやー、気が変わらない内に聞かないと勿体ないじゃないですか」
話し合いも何となくで終わって、各自部屋に帰っていく
女子寮では、楽しそうに、思い出話に盛り上がる妹二人の姿
「学園楽しそう!リエル、一緒に行こう!」
「可愛い学園だったね!」
一方、男子寮ではノエルとクリルが何やら悩んでいる様子
「なあノエル、行けるか?学園……」
「可愛い学園だったね……」
両極端の寮の様子と同じ頃、付き添いを終えた大人二人は、何やら呼び出しをもらって、会議に参加中
兄妹二組の軽い身辺調査を終えた女性隊員の報告を受けていた
「ライム兄妹ですが、言っていた通り、お母様であるマリヤ・ライムさんは亡くなっています。ご親族の方もいないみたいです。バータナ兄妹も、同じく母親、父親はいないようです。どうやって生きていたのでしょうか……」
「どう生きていたとかは気にしないけど……」
隊員の報告を聞いたカノン、結果は納得という感じの反応
「まあ、ゆっくりご飯食べながら色々聞いてみますか」
「あの……カリアさん?」
女性隊員が声をかける。カリアの顔色が優れない様子で、塞ぎこんでいる
「すみません……」
謝る声も小さく、元気がない
「カリア、明日も休みます?」
カノンの声かけにも答えず、塞ぎこむ
心配した隊員が、カリアの肩に手を置くと、あたふたと言葉に詰まって、戸惑っている
「強がりはいけません。明日はバルバもいるので、休息を命じますよ」
強い口調で話すカノンに、しばらく無言になったカリア
お辞儀をして、静かに会議から退出を始めていく
「すみません、明日は休息を……了解しました……」




