どうにかする、どうにかなるよ
カリアとも別れて、本部の外で、メイナとクリル兄妹が仲良く散歩中
夜遅い時間でも、この本部の人たちは関係無く忙しそうに動いている
そんな中、本部の明かりが灯すベンチに座るメイナ
「お兄ちゃん……」
メイナの隣で、ぼーっと夜空を見ながら立っていたクリル
声をかけられて、ゆっくりメイナの方を見る
「ここは、楽しいところだね、リエルもいるし、ご飯も美味しい。ここの人達も優しいね」
リーリルぎゅっと抱きしめるその姿は、寂しさが溢れている
「……お家に帰れるかな?」
メイナが、クリルを寂しげに見つめる
何も言えなくなるクリル。しばらく二人の間に沈黙が流れていく
「帰れなくてもそうするしかないよ……俺らは貧乏金無し、家が無くても帰らなきゃな」
クリルの言葉が、夜風に流れて更に静けさを感じさていく。メイナも返事ができず、ぼうっと夜空を見上げる
「んー、そこまで悲観する必要は無いんじゃないですか?」
突然、聞こえてきた声。二人が辺りを見渡しても誰もいない
だが、二人の後ろ、音もたてずに現れたカノン隊長
「カノンさん!ビックリした!」
「……寝てたんじゃないのか?」
驚いた様子の二人を見て、してやったりの顔のカノン隊長
「いやー、さすがに疲れましたから、寝ようとしたわけですよ。けどねー興奮覚めないってやつでね。リフレッシュに来たらお二人発見って所です」
驚かされて何だか悔しいメイナとクリル
そんな事よりも、話を進めていこうとするカノン隊長。二人の話を盗み聞きしていたので、もっと二人の悩みを聞き出そうしている
「さて、この境界線本部は、お二人にとって、どうですかね?」
質問に、何となく答えづらい二人
うーんと、返答に困り、また沈黙が流れていく
「この場所は、変な人もいれば、優しい人もいたり厳しい人がいます。午前の人、午後の人も、それぞれ特化した人々が集まる所ですから、仕方がないですね」
カノン隊長の話す内容を、静かに聞くメイナとクリル
それを知ってか知らずか、話を続けていくカノン
「前にも言いましたが、君達みたいな子を守ることも仕事ですし。どうにかなりますよ。悩むことは基本ありません。……ライム兄妹は別と思いますが」
最後の言葉は、怯えてるような嫌そうな顔
そんな様子を不思議そうに見ているメイナとクリル
勝手に自己嫌悪になりかけたカノン隊長。二人に気づいて、冷静を何とか取り戻そうとしていく
「ま、まあとりあえず部屋に戻りましょう。気持ちが落ち着いて考える。それが一番です」




