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世界を越えて奏でるうた

「この歌声は……」

 フラワードでも、聞こえている二人の歌声。魔術の影響で、枯れてしまった花々と少し怪我をおった人々が、花畑の真ん中で、二人の歌声に聞き入り涙を流す人、茫然と聞き入る人、様々な反応の中、その中心で微笑む人がいた

「……村長」

「ああ、カナメだ。マリヤさんと一緒に待っていたのか」

 懐かしい歌声に、誰が叫ぶように歌い始める。また一人一人と、流れるうたを奏でうたう


「境界線を越える歌か……。不可能ではなかったということかな」

 学園では、ラックが疲れて瓦礫を背に座っていた。空を見て聞き入る歌声。しばらく動けずにいると、タストスの方から何か聞こえてくる。耳を傾けてみると、反動の暴徒化が落ち着いた町の人々が、二人のうたを唄っていた


「カノン隊長!世界中で二人の歌声が鳴り響いています!」

 同じ頃、本部では、またバタバタと隊員が報告に来ていた。遅れて、女性隊員が屋上へと息を切らしながら報告をする

「世界中の人々がうたを歌っており、歌いはじめてから、この世界の魔力が安定。町中の暴徒化も収まっています!二人のうたが……」


 報告を聞いて、リエルとメイナが空に向かって叫び歌う。本部の外へ避難していた人たちが、屋上からも聞こえてくるうた声につられて一緒に歌い始めていく

「これが二人の願いなのか……」

 カノンが呟く側で、ノエルとクリルも叫びうたい始めていた。どれくらいうたったか、マリヤとカナメの歌声も聞こえたか、タストスや本部、ドーケム等、世界中の人たちが歌い繋ぐ声が大きくなるにつれ、消えていく二人のうた


「お母さんのうたが……」


 消えてしまった歌声。それでもまだ、歌い続けている人々の声が聞こえる

「とりあえず皆、ここから避難を。また魔力が暴走するかもしれん。誰も魔術は使わぬように」

 バルバが屋上に残っていた隊員や、魔術者達に指示を出す。その指示を聞いた隊員、魔術者が慌ただしく動くなか、動こうとしないノエル達。カリアに諭され、やっと避難をし始めていく


「……リーリル、元に戻って」

 メイナの声を聞いて、元に戻るとリックの足元に落ちた。リーリルを拾うと、メイナとクリルの所へとゆっくり歩いていく

「……二人とも、すまなかった。それにこのぬいぐるみ……」

 二人の顔をあまり見れず、少し顔を横に向いて話していると、メイナがリックに駆け寄り思いっきり抱きついた

「ぬいぐるみじゃないよ。リーリルって名前だもん」

「そうか。リーリルか。良い名前だ」

 涙声のメイナにつられて、リックも少し目がうるむ。遅れてクリルが二人のもとへ、ゆっくり近づいていく


「お父さん……」

 リエルが一人、茫然とまだ空を見ているアゼルに声をかける

「……ノエル、リエル」

 話しかけたのにアゼルが話すと、ノエルの背に隠れると、ちょっと顔を出して恥ずかしそうに微笑む。ノエルもアゼルに微笑む。二人を見て涙が溢れ立ち尽くしてると、三人の間にカノンが割って入ってきた

「すみませんが、三人とも。感動の再会としたいのですが、一旦ここから避難をお願いします。アゼルとリック・バータナは私達と一緒に……。二人はカリアとクリル君達と一緒にいてね」

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