表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/132

二人の願いは、未来のため

「アゼルさん!四人を助けてあげて!」

 マリヤのうたが流れて数分経ち、ノエルとクリルも、魔力の反動に耐えられず、苦しみ始めていた。側で支えているカリアの叫びも、アゼルにもリックにもどうすることができず、四人の姿が見れずにいた。反動の強さに苦しむメイナが、ポツリと呟いた

「……お母さん」

 すると、どこからか聞こえてくるマリヤのうたを一緒に奏でるように、誰かの声が微かに聞こえてくる。マリヤと同じく少しずつ大きくなっていく声は、女性の歌声。マリヤと共に奏で響く


「この歌声は……カナメ!」

 聞こえてきた懐かしい声にリックが叫ぶ

「それ、母さんの名前じゃ……」

「カナメ・バータナだと!どこにいるんだ!」

 その名前に、クリルが驚きバルバが叫ぶ。聞かれても答えられず言葉を濁しているリック。話さないならばと、代わりにアゼルが語り始める

「カナメさんは、マリヤと一緒にあの日、フラワードで亡くなったんだ。願いを叶えたいというマリヤと思いが一緒だったから」 

「……なんだと?」

 カノンが険しい表情で睨む。それに気にせずアゼルが話を続ける


「二人の願いは強かったんだ。午前(レクト)の人々が暮らす村で生まれたカナメさんと、午後(ラクト)として生まれ、嫌みがられ捨てられた姉妹。もう魔法は要らないと、お互いの時間の人達が楽しく暮らしてほしい。と幸せを願った、二人の願い。それを僕らが繋ぎ叶えようと思ったんだ。何が悪いんだ!」

 だんだんと荒く叫びだすアゼル。その睨みは誰に向けてか、更に険しくなっていく

「それは、ノエルやリエル、クリル君やメイナちゃんの未来のためだ!幸せな人生を願って、二人は……!」

 叫び話す内容に、何も言えないカノン達。アゼルの話を聞いたメイナが、苦しい表情をしながら立ち上がる


「お母さん!私、ここにいるよ!お兄ちゃんとリーリルも一緒にいるよ!リエルやノエルさんだって、一緒にいるんだよ!」

 歌声が響く空に叫ぶメイナ。その叫びにリックが背を向ける。泣いてしまったメイナに、少し離れていたリーリルが、トコトコとメイナの側に来て、優しくポンッと頭を触った

「……リーリル」

 いつの間にか巨大化が止まっていたリーリルに抱きつくと、それを見ていたリエルもリーリルに抱きついた


「あれ?……苦しくない?」

 ゆっくりと立ち上がるノエル。クリルも恐る恐る立ち上がる。大丈夫そうな四人を見て、カリアがほっと胸を撫で下ろす。カノン達も安心するが、まだ流れる二人の歌声の根元を探るように空を見る

「魔力が落ち着いてきているのか、二人のうたで……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ