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夢を叶えた反動

「夢を叶えた……?」

「お母さんの夢?」

「そうだよ。リエル、ノエル。ずっと寂しい思いをさせてゴメンね。もう大丈夫だよ」

 二人に微笑み、話しかけるアゼル。急な再会に二人とも、どう話せばいいのか分からず困惑している

「……カリアさん。お父さんが……」

 カリアに抱きついて離れないリエル。緊急事態に、カリアもカノン、他の隊員達も動けないまま、呆然としていると、バタバタと隊員が屋上にやって来た


「皆さん大変です!世界中の魔力が無くなってしまったそうです!現在、両方の時間の魔術が使えないと……!」

 隊員の報告に、更にざわめく屋上。魔術者達が、急いで魔術を使い始める。だが、報告通り魔術の反応がない

「どういうことだ!何をした!」

「んーと、だからね……」

 アゼルに怒鳴り詰め寄るカノン。飄々と楽しそうなアゼル。はぐらかそうと、無言になったり笑ったりと、カノンだけでなく、バルバやダングも余計に苛立たせてる


「お父さん……」

 リックに話しかけるメイナ。こちらでも気まずく戸惑って、どう話せば良いのか分からないまま、三人無言で見つめあう

「メイナ、クリル。すまなかったな」

 そう一言話すと、二人から目を離すリック。二人も何も言えないまま、ただ時間が過ぎていく


「……なんだ?」

 バルバか異変に気づく。地震か、地鳴りか。突然、大きな音が本部に響く。音と共に大きく揺れ出す本部。一斉にパニックになる隊員達。アゼルとリックは失敗かと、深いため息をつく


「カリア、四人と急いで避難を!他の者達もここからの避難と、寮に残っている人達の避難の手助け、町の状況も出来るならば確認を!」

 カノンの指示を聞いてすぐ、急いで屋上から去っていく隊員と魔術者達。カリアも四人と共に避難の準備をする

「さぁ、みんな急いで」

 屋上から離れようとした時、リーリルが突然メイナの腕から落ちた。強く抱きしめていたはずのリーリル。そして、魔力が無いという今、なぜかリーリルが勝手に動いて地面に立っている

「リーリル……?」

 二人の様子に、クリルが立ち止まる

「メイナ、どうした?」

「リーリルが、勝手に……」

 声に反応して、クルッと向きを変えるとメイナの方に向くリーリル

「どうしたの?リーリル?」

 リーリルの不穏な雰囲気と周りを音で、メイナがパニックになっていく


「早く避難を!急いで!」

 まだ屋上に残ったままのメイナ達に叫ぶカノン。段々と大きくなっていく本部の揺れ。だが、呆然とした三人とカリアの様子に気づいて、バルバやダングと共に駆けよる

「リーリル!どうしたの?元に戻って!」

 カノン達が見たのは、少しずつ巨大化していくリーリルの姿と、自分の意思ではない行動に、メイナが更にパニックになっていた。その騒ぎにリックとアゼルもやっと気づいた

「あのぬいぐるみは、カナメの……」

「おかしいなぁ。魔力はないはずじゃ……」

 勝手に動くリーリルを見て、驚くリックと不思議そうなアゼル。予想外の動きに、二人見合わせ首をかしげている


「……リエル!」

 みんながリーリルとメイナを見ている中、急にノエルが叫ぶ。隣でリエルが苦しそうに座り込んでいた

「お兄ちゃん……苦しい……」

 ノエル達もこの状況にパニックになっていると、またバタバタと、屋上へ隊員が大急ぎでやって来た

「たっ、大変です!魔力が……一時、完全に無くなってしまった反動か、爆発的に魔力が戻ってきているそうです。今、町の人々が、魔力の増加に耐えられず暴徒化しています!寮の方でも数名、暴徒化しています!」

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