12時になった瞬間に
「今日、いつもより人多くない?」
また屋上に入れる許可をもらって、隅っこに座るノエル達。今日はバルバやダングも一緒に隣で見学中。いつもよりも更に慌ただしい感じに、不安になるノエルとクリルをよそに、メイナが朝カリアから聞いた話を二人に説明していく
「今日は、12時なった時に結界を張るんだってさ」
「へぇ……なんで?」
「なんか両方の時間の魔力を、くっつけないといけないとか、なんとか……」
「これは……ナイスタイミング。カリアもいるし、カノンや両方の時間の上位魔術者が集まってるじゃない」
本部から遠く離れた場所で、アゼルが楽しそうに状況を話している隣で、不安そうな表情で最終確認をしている
「分かってたんだろ?」
「いや、これは嬉しい誤算。予想よりも人が多いよ」
対照的なテンションの二人。刻々と近づいてくる時に、ふと学園やフラワードの人々を思い出す
「ラックやフラワードの人達は大丈夫だろうか……」
「まあ、あまり二つの土地の魔力は、なるべく使わないようにしているから。ほとんどここの魔力だね。あっちの心配より、自分の心配したほうがいいよ」
話を進めながら一緒に屋上を見ていると、人影を見つけて動けなくなる
「あれは……」
そう呟いてじっと見つめたまま。アゼルがその目線の先を探し始めた。その見つめた先にいたのは、隅っこに座っている四人の姿
「メイナちゃんとクリル君。ノエルとリエルも……」
大きくなった姿をみて、しばらく動かず四人の姿を見入る二人。先に時間がないことに気づいたアゼルが、背中をバンっと思いっきり叩いた
「四人のためにも頑張らないとね。リック」
「そうだな。カナメのためにも」
「さて今日はいつもより、大変です。両時間帯の魔術者が一斉に魔力を集め、一気に結界を張ります。一瞬の魔力の増加と、時間による魔力の変化による反動に、皆さん負けないようくれぐれも気を付けて」
カノンの話に緊張感が高まっていく。少しずつ静かになっていく屋上
「大丈夫かな……?」
リエルの小声も響くほど、静寂な時間が過ぎていく。カリアとカノンが互いの時間の魔術者達の様子を確認をしていく
「では、午後12時になった瞬間です。用意は大丈夫ですか?」
そう話すと、入り口付近にいた女性隊員に合図を送る。時計を確認すると、ふぅ。と一呼吸の後、魔方陣の周りに集まっている魔術者達に大声で伝える
「……12時まであと30秒です」




